今度は『野性の呼び声』を「深町眞理子」訳の光文社古典新訳文庫版で読みました。
裕福な家で飼われていたバックという名の犬が
ひょんなことから売られてしまい、
ゴールドラッシュに沸く極北の地で橇を引くこととなった。
人間からひどい扱いを受けても誇りを失わず、
犬同士の壮絶な争いや、
極北の地の冒険旅行をとおしていつしか野性に目覚める、
と、言ってしまえば、ある意味単純なストーリーではありました。
しかし、これはやはり「読ませる」小説でした。
橇犬としての仕事を全うする使命感や誇り、
橇を率いての旅の疾走感とか、最速記録を打ち立てた時の興奮、
命を救ってくれた人間に対する命がけの献身、
そして野性に目覚める、
いや、自分自身の内にもともと備わっていた野性が呼び覚まされていく様子、、、。
それ以外にも、
バックから見た人間観察・人間描写がとても興味深かったり、
動物達の生き生きとした生態が嘘くさくない感じでリアルに描かれていたりして、そういったところも作品の質を底上げしているように思いました。
出会ってラッキーだったと思える小説家の一群の中にしっかりと入りました、ジャック・ロンドンは。
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