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2016年02月26日 19:56山歩記全体に公開

冬の薊岳

薊岳は、台高山脈の明神平から西へ派生した支稜上にある最高点だ。標高は1406m。雄岳雌岳を越えて、更に西へ下っていくと大又集落の笹野神社脇へと出る。

子どもの頃の耐寒登山で金剛山や葛城山に登ったことを除けば、この山が、私が初めて登った雪山になると思う。その年月を正確に覚えていないが、手元にある昭文社の一番古い地図が1996年版の「大台ケ原」と「大峰山」なので、たぶんこの年から山登りを始め、翌年の1月か2月に入ったのだと思う。とすると19年前になるのだろうか?

前夜に雪が降ったのだろうが、途中の家々の屋根に積もった雪の厚さが、大阪からたかだか二時間弱で来れる処とは思えない雪国の風情だった。笹野神社裏手の舗装路から木馬道に入り、植林の雪道を登って行った。

登り始めてしばらく、木々の隙間から向こう側の山肌が黄色く染まっていた。初めて見たモルゲンロートだった。

木の幹をみると、半分が白くその裏側は茶色い。前夜の雪は、横殴りの吹雪でこうなったのだろうか。そして、雪が付いた側に向かって森を見ると、白いカーテンのようだった。

さらに、ときおり、あちらこちらで杉の木の上に積もった雪がばさっと落ち、その後、サラサラっと一本の白く細い筋がしばらく糸を引くように落ちていった。それはまるで映画「風の谷のナウシカ」で、ナウシカが落ちた腐海のシーンのようだった。

こうして植林帯の道を二時間ほど登り、そろそろ大鏡池、そして尾根筋に出ると思った頃、それまで確かにあった足跡が急に無くなった。降雪後の足跡だから、昨日までのじゃなく私の先を行く人のものと思っていたのに、その足跡が急に無くなった。赤テープはしっかり捕捉できてるので道間違いじゃなさそう。じゃあ、あのあの足跡の主はどこへ行った?まったく狐につままれた感じとしか言いようがなかったのだけど、とにかく赤テープは辿って進んでいくことにした。

さて、足跡が無くなってからの尾根筋は、もうずこっ、ずこっと膝下ぐらいまで足が沈む雪深さ。初めてのラッセル体験。最初は比較的平坦な尾根歩きだったけど、やがて目の前に(たぶん)小ピーク。とてもあれを乗り越えて進んでいく脚力は無いと言い聞かせて引き返すことにしたのでした。薊岳は、雪山歩きの感動を沢山くれた山でした。

で、帰ってソッコー輪カン購入。翌週は観音峯に出かけ、ワカン歩きの面白さを体験したのでした。もーう、ミズスマシ気分。

で、雪山登山の魅力を教えてくれた山なのに、その後冬に登らなかったのは、その年の四月に、大又〜薊岳〜明神平〜大又の周回を果たしたんだけど、頂上周辺は結構岩登りっぽいところが連続したので、冬は危険と思ったからかも知れない。観音峯はめっちゃ楽やし〜。

さて、それから十数年。スリーシーズンでは度々登り、テント泊をしたり楽しんできた明神平だけど、去年、(明神平の方へは)初めて冬に入ってみた。そしてまたまた冬の明神平に魅了され、昨シーズンは何と6回も入ってしまった。

こうして冬に明神平から桧塚奥峰までの雪山歩きを重ねると、当然思いは薊岳に向くのだ。で、今季は19年前のリベンジに、是非冬の薊岳へ登ってみたいと思った次第なわけです。で、あの時と同じように大又から登るのがいいのだけど、実はあの時どこに車を留めて登ったのか思い出せない。その後度々訪れているのだけど、あの狭い道のどこにも駐車スペースが見つけられないのだ。

そんな訳で、林道終点駐車場から明神平に一旦登り、そこから薊岳を往復するコースで目指すことにした。

で、一回目は1月20日に職場の同僚と目指したが、明神の滝をすぎたあたりから早くもラッセルで、途中昼食を取ったとはいえ、四時間近く掛かってようやく明神平に到着。とてもそこから目指せるはずもなく、この日はここでUターン。

二回目は1月27日。ソロで。この日は明神平からワカンを着け前山をまず目指したが、早くも雪深く、先行者の踏み跡を借りて登ったのだが結構堪えた。で、そこから尾根伝いに薊岳へ歩きだしたのだけど、こんどはノートレース。結局前山と薊岳の中間ほどで帰りの登り返しを考えて引き返したのでした。

で、三回目が2月22日。ソロで。この日は、ワカンを着けるかどうか迷う程度の積雪状態。結局着けなかったけど、はまるときは膝まではまる。でも、これまででは一番歩きやすく、19年ぶりにして、そして今年三度目の挑戦でようやく到達!曇ってはいたけど、遠くまで展望でき、もう感無量でした。

写真1:明神平から望む薊岳
写真2:薊岳山頂からは金剛山(左)、葛城山(右)も見えました。
写真3:薊岳山頂から山上ヶ岳、大普賢岳方向


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