山での出会い

先日、下ノ廊下にある十字峡の吊橋を渡ろうとした際、橋上で男性２人組がポーズをとり楽しそうに撮影されていた。
撮影の邪魔にならないよう私は暫し橋の手前で待機。
少ししてお二方の撮影も終わり、お声掛けして先に行かせて頂いた

雨中の十字峡から東谷吊橋の区間では誰にも会わず一人旅。
地下発電所先のスノーシェッドを通過したところで何気なく後ろを振り返ると物凄い勢いで男性１名がこちらに向かってくるのが見えた。
先ほど十字峡の吊橋で撮影されていた２人組の方だ。

私に追いつくと「どこかに人は居ませんか？」と聞いてきた。
「どうしたんですか？」と聞くと連れの方が遭難したという。
（遭難も何も一本道なので道間違いする事はない、嫌な胸騒ぎを覚えつつ）
「えっ、落ちたんですか！？」
男性はうなづく。。。

うわ〜と思いながら、「この先にある仙人谷ダムに従業員がいると思います」
男性は急ぎ足でダムへ向かう。

その後、私もダムに到着しダム事務所で男性が職員に状況を話されているを見て、私には何も出来る事はないと思い（大変失礼ながら）阿曽原温泉小屋へ向かわせて頂いた。

小屋へ向かう道中、そして当日の夜は滑落された方のことが気になって仕方なかった。
翌日、小屋を出発し欅平駅へ向かう水平歩道では擦れ違う多くの中高年の方に“昨日滑落があった事”そして “道中、気を付けて下さい”とお話しさせて頂いた。
その時は滑落者を出さないために私にできる唯一の行動だと思いこみ、注意喚起をさせて頂いたが、今考えると全く持って大きなお世話的な行動であったと反省しています。

当日、私の行動で少しでも不快に思われた方がおりましたら、この場を借りてお詫びさせて頂きます。

宇奈月に着き、ネットニュースを見て昨日滑落された方がお亡くなりになった事を知る。

基本、山から帰宅翌日にはヤマレコをＵＰするようにしているが今回はすぐにＵＰする気になれなかった。
山での出来事を引きずりながら一週間の仕事を務め終え、ヤマレコ作成に取り掛かった。

昨晩、仙人谷ダムで会った方より突然連絡があった。
明日、連れの方の通夜があり、私が撮影した写真を使用させて頂けないかという内容であった。
最後に見た風景をご遺族にお見せするのであろうと察し、ご自由に利用頂く様に返答させていただいた。

今朝、男性より連絡があり、ご遺族の方が写真を見て涙を浮かばれていたこと、
そして、その男性が今後も安全な登山を心がけること、山でまた私と会えることを楽しみにしていると
大変申し訳ないくらい丁寧な連絡を頂いた。

山での出会いは深い・・

その方は連れが滑落死した現場に立ち会い、今後も重い十字架を背負って山を登られるのかもしれない。。
もし、十字架を背負っているならば、登山を重ねるにつれ少しずつでも十字架が軽く、小さくなり、一日でも早く十字架が無くなることを切に想います。

亡くなった連れの方も、それを心より願っている事と思います。

コメント

アンディー(ちび)

RE: 山での出会い
junさま…先ほど下ノ廊下レコ本編拝見しました
今回は通り抜け、ということで、スクーター遠征ではなかったのですね（内心ほっとしました）最近わが町から高速バスも便利になり、助かります。

さて。山行途中にそんなことがあったのですね…
遭難した方の連れの方のお気持ちは如何ばかりかと…
また、亡くなった方のご遺族のお気持ちも…
そして、そのパーティーと行き会ったjunさまのお気持ちも。お察し申し上げます。

レコに着手するまでの一週間、いろいろな感情が去来したかと存じます。
そして、亡くなる直前の写真が手元にあったこと、それをご遺族に提供されたこと…ご遺族も、それをご覧になったことで真の意味での最後のお別れが出来たかと思います。
Aも去年、直接ではありませんが、重たい出会いがありました…
北穂遠征の途中警察のヘリを目撃しましたが、実はそれは…
詳細は下記レコのenosukebeさんのコメントご覧ください
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1253740.html

山行を重ねていくといろんな場面に遭遇すると思います。自他ともに安全登山を願ってやみません。

jundaigo

RE: 山での出会い
アンディーさん、こんばんは。

直接に関わっていない私でも、これだけ引きずるのですから遺族、連れの方の悲しい気持ちは計り知れません。

色々な事を思い、そして感じた一生忘れられない登山となりました。