![]() |
![]() |
![]() |
同じ日にP1尾根のほぼ同じ場所で2件の遭難が発生
どちらも標高1800m付近を下山中の事故とのこと
この山域はかなり急峻で尖った尾根、稜線を有している。
西岳本峰から連なる稜線の各ピークに第一峰(PEAK1ということで通称P1)から第六峰までの名称がついている。
そして、その各ピークから伸びる尾根にそれぞれP○尾根という名称がついている。
今回の遭難の現場であればP1から伸びる尾根ということてP1尾根と呼ばれている。
他の尾根に比べるとP1尾根が1番人気で人が入っているようである。
冬の戸隠連峰は積雪の多さと非常に狭い尾根、そしてそこを抜ける風の影響か独特の雪の付き方をする。
これを【キノコ雪】言って、戸隠の雪稜の代名詞となっている。そのため戸隠の雪稜をやるというとこのキノコ雪との奮闘を指すことが多い
場所によっては人間1人がやっと通れる狭い尾根の上に尾根よりも広くモコッと雪が乗っていたりする。
そのため、歩いているときは本当に尾根の上を歩いているのか分からなくなる。
薮の上に雪が乗っていることもあるので踏み抜いて、落ちそうになったり、薮にアイゼンが引っかかってバランスを崩すこともある。
そして、尾根を登るにつれて急傾斜になっていくので顔の目の前、もしくは頭上の雪を崩しながら登る必要が出てくる。
雪質もドライな場合が多く安定しないため、通常の雪壁・雪稜登りで使うようなダブルアックススタイルでは歯が立たず、スコップを手に登るスコップスタイルの方が登りやすいことも多い。
スコップの方が雪に刺したときに面積が広いので安定するし、目の前・頭上の雪を効率よく崩せる。
足元も崩れて安定しないので、微妙なバランスの中目の前の雪を崩して登っていくことになる
そして、このような場所では支点も取りづらいため、ランナウトが長くなる。掘ってて薮が出ればラッキーだ
そして、下降も判断を含めて難しい。
薮や木があれば懸垂下降も出来るし、雪はたっぷりあるので土嚢袋に雪を詰めて埋めれば、それも懸垂の支点になる。ただクライミング・登山の常であるがロープを多用すればその分だけ時間がかかる。
なので、ロープを使わずに急傾斜、狭い尾根を降りていく場合も多い 登りでもバランシーだった場所は降りではさらにバランシーになる場合が多い。
ましてや、雪の下には薮が埋まっていて靴やアイゼンが引っかかる可能性もある。
今回の2件はどちらも下山中の滑落で、標高1800m付近とのこと。
標高1875mの【無念の峰】から1630m付近まではずっと急傾斜になっていて、以前行ったときは何回か懸垂下降をした記憶がある。
今回の積雪の状況やロープ使用の判断などは現地にいた人にしか分からないと思うが、戸隠の西岳P1尾根の登山がどのような感じなのかこの日記でイメージしやすくなれば幸いである。
そして、今年は暖冬小雪傾向にあるので、例年とは積雪の状況が違っていそうである。
簡単になるのか、逆に難しくなっているのか?
まだ2件とも救助は出来ていないとのことで、早い救助を願っている。
ちなみに私が以前行ったときの敗退の記録はこちら
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1385977.html
⬇️以下はネットニュースに載っていたSBC信越放送の記事をコピペ
「最高難度のルート」戸隠連峰西岳P1尾根で男性2人が相次ぎ滑落…うち1人は仲間が救命措置するも次第に呼びかけに応じなくなる、西岳は「のこぎりの歯」とも…天候の回復待って27日に救助活動再開へ
2/26(月) 17:31配信
SBC信越放送
信越放送
長野市の戸隠連峰で24日、男性2人が相次いで滑落しましたが、悪天候のため、26日現在も救助されていません。
最高難度と言われる現場はどんな場所なのか、取材しました。
標高2053メートル。
戸隠連峰西岳(にしだけ)は、その切り立った形状から「のこぎりの歯」とも表現される、険しい山並みが特徴です。
滑落事故があったのは、この西岳に通じる「P1尾根(ピーワンおね)」と呼ばれる登山ルートです。
大塚記者:
「遭難した2人は、この登山道から入山したが、いまは廃道となっていて利用する人は少ない」
警察によりますと2人が入山したのは、上楠川(かみくすがわ)脇の登山口。
24日午前7時半ごろ、4人パーティーで下山中だった神奈川県の41歳の男性が、P1尾根の標高1800メートル付近で20メートルほど滑落。
仲間が駆け付けた当初は意識があり、救命措置を行いましたが、呼びかけに応じなくなったといいます。
その3時間後には、別の2人パーティーで下山していた栃木県の58歳の男性が、ほぼ同じ場所で滑落。
尾根から姿が確認できない場所に転落したということです。
県警は25日と26日、救助を予定していましたが、雪のため地上からの捜索を断念。
一瞬の晴れ間を狙って、ヘリでの捜索を試みましたが、ガスが濃く、発見には至らなかったということです。
P1尾根とはどんなルートなのか。
西岳に登って50年以上、地元で喫茶店を営む高橋博文(たかはしひろふみ)さんは「十分な知識と経験が必要な最高難度のルート」だと指摘します。
高橋博文さん:
「難しいルート、危険なルート」
「尾根筋がかなり急峻であるといこと」
「上級者、かなり危険度を伴うところ。相当熟達者じゃないと行かないと思う」
特に冬場は、雪の質や積もり方の見極めが重要になると話します。
高橋博文さん:
「今年みたいに雪が少ない場合、雪庇(せっぴ)の張り方によってはそれが崩れる」
「下が凍ったうえに、上がふかふかの雪だったり、その逆だったりしますので」
関係者によりますと、遭難した2人は十分な装備を持った経験者だったということで、警察では、当時の気象やルートの状態を仲間から聞き取るとともに、27日以降、天候の回復を待って救助するとしています。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する