4人パーティ(男性2名・女性2名)平均年齢60歳とちょっと高齢パーティで向かった。うち1名は、沢登りをしたくて当山岳会へ入会したばかりで入会後たった3回目だ。今回、残念ながら負傷した方は、山歴20年以上の大大ベテランさん。だが・・・病気・怪我が続き、入山チャンスが激減し、今年ようやく復帰し始めたばかりの、今回のパーティの最年長者だ。
ワタシは当山岳会へ入会し8年経過したが、負傷した方は、冬山と沢登りをしたいワタシを入会後から、積極的にあちこちへ連れて行ってくれた、言わば師匠のような存在だ。
なので、先輩のバイタリティを間近で見てきたし、病気・怪我をしてからの変貌も間近で見て、近い将来、自分にも来るであろう「衰え」にかなり警戒心を抱いている。
話しは逸れたが・・・その先輩の昨年の事故に引き続き、今回も怪我の場面に居合わせてしまった。
リーダーに続き順調に源頭部を降下し、水が流れる沢へ入り互いに「気をつけよう」と注意喚起した矢先に起こった。
13時半、キャーと言う悲鳴に振り向くと、先輩が回転しながら沢を転げ落ちていた。ワタシは10m程先を降りていたがすぐに駆け上り先輩の容体を確認した。意識鮮明・頚部の違和感なし。だけど、膝関節に違和感あり。下肢の各関節は疼痛を伴うことなく動くが、膝関節の脱力感が著明のようだ。靱帯を痛めている可能性大だ。
救急要請をしたいが、登山口にある山荘も電波は通じていないこの山、試してみるがやはり電波は通じることは無かった。
ワタシは骨折を伴っているかどうか不明ではあるが、どちらにしても患部の安静をすべきと考え、三角巾と弾性包帯で固定した。皆で相談し、介助しながらゆっくりゆっくり降り始めた。しかし、1時間程進んだところで、激痛発症、もう1歩も動けない!となった。時間は15時、ワタシは先輩に付き添いそこでビバークすることを決意し、男性2人には先に下山してもらい救助要請をお願いした。登りに6時間半要したこの沢、下りもほぼ同様の時間を見込んでいたので、本日の救助は不可であることは覚悟だ。真夏と言っても北海道の山はどれ位冷え込むかは知っている。負傷者をこのまま放置していくわけに行かない、そんな思いでワタシも残ったのだが・・・。果たして最善策だったのかは、今でも迷いはある。何故かというと、結局、翌朝(7時頃)ヘリで救助されたのだが、付き添ったワタシもヘリで救助、つまり2機もワタシ達のためにヘリが出動したのだ。負傷者の先輩は必要だが、元気なワタシは自力下山出来ず余計にヘリを使う事になったことに対し、本当にこれが最善策だったのかと思う点なのだ。
ビバーク準備を施しひとり待機してもらう策もあったかもしれない。しかし、あのとてつもなく長い時間を、絶対救助に来てもらえると分っていても襲う不安と不定期に襲ってくる痛み、あんな状況にひとり置いていけるだろうか。
もし自分だったら・・・?ビバーク準備を施してもらったらひとりで頑張ることを選択したと思う。自分なら頑張れる、でもきっと辛いと思う。
先輩は、結局長い治療に入った。
救助者側への負担増はあったかもしれませんが、負傷して一人のみでビバークというのはなかなか辛いもので、パーティである限り、基本的には負傷者を一人残しておくというのはいけないだろうと思います。
2人パーティであればそうせざるを得ないでしょうが、3人パーティだと少し悩ましくはありますね。救助要請の下山者を1人にするか2人にするか…。ビバーク中の安全が確保できれば、一人で残っていてもらったほうがいいでしょうか。行動中は別の事故の可能性がなきにしもあらずですから。
経験豊富なにっしーさんの貴重なご意見、ありがとうございます。
今回の体験は、浮かれ気味の自分にとって、色々な意味で貴重だったかもしれません。
事故パーティの了解を得て、私が稜線まで上がって無線機(携帯電話がない時代でした。)で救助要請を行ったところ、翌朝までヘリは飛べないので、ヘリが来るまでの間、要救者に付き添うよう警察から指示されて、翌朝まで事故パーティに付き添ったことがあります。
事故パーティは高齢者のメンバーで疲労感に満ちていたので、二十代後半〜三十代前半の私たち二人が交代で要救者に付き添いました。付き添っている時はずいぶんと寒かった記憶があります。
翌朝、ヘリが飛んで、要救者は無事ピックアップされました。朝日が上がってくるともに飛んできたヘリ、ヘリから下りてきた道警山岳救助隊の方々は実に頼もしくカッコよく見えました。話はそれますが、ホバリング中は沢の水が巻きあがって、シャワーのように私たちに降りかかってきました。
要救者がピックアップされた後、事故パーティの中で弱っている方も若干名ヘリでピックアップされたような気がします(おぼろげな記憶)。若かりし私たち二人は自力下山。下山途中で事故パーティが所属する山岳会や地元遭対協の救助隊とすれ違いました。ヘリでの救助活動にあわせて、下からの救助活動も行われていました。
上記報告を読む限りにおいて、事故当日のshinobu49さんのパーティがとった行動は間違っていないと思います。
今回の事故対応の振り返りとして、付き添いで残ったshinobu49さんへの対応(救助要請後のメンバーがどう行動すべきだったか、所属する山の会としての対応はどうだったのかなど)について、話し合ってみてはいかがでしょうか。
貴重な体験談、ありがとうございます。
ひとりで悶々とせず、仰る通り会の仲間と振り返り、今回の体験を前向きに役立てて行けるようにしたいと思います。
ところで・・・
こんなものホントに使うかなーと思いながら、いつも背負っている物がほとんど役に立ちました。
三角巾・弾性包帯やツエルト・エマージェンシーシートは勿論、この真夏のダウンや使い捨てカイロ、のこぎり兼用ナイフ等々・・・。
多少「お荷物」に感じても必要であることを実感出来ました(汗)
4人パーティならば1名は負傷者に付き添いビバークし、2名で下山して救助要請は適切な判断だったと思います。山岳会ならば沢登りの訓練もされていると思うし、たとえ経験豊富だったとしても、ほんの一瞬で事故は起こります。
怪我をして一人でビバークするのは不安でしょうから、とても心強かったと思います。パーティの人数は多すぎると分散することもあるので、2〜4人がベストではないでしょうか。
ハインリッヒの法則では、1つの重大な事故の背景には29の軽微な事故があり、300のヒヤリ・ハットが存在するといいますから、山に限らず事故は起こります。山では自分の身を守ることが仲間の身を守ることになるので、気を引き締めていきたいと思いました。
情報提供ありがとうございます。
貴重なご感想をありがとうございます。
本日、職場である事例を用いてKYT(危険予知訓練)をしましたが、dominonさんの言葉(ハインリッヒの法則?)を思い出しながら、どんな事例にも通じるなーと痛感していました。
本来なら伏せておきたい事例ではありますが、どうも、自身がモヤモヤしたままだったので載せてしましました。皆様からご意見をいただき、自身の中で整理できそうな気がしています。
ありがとうございます。
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