来間島、晴れ。

予定通り、来間島に行って来た。
背中のデイパックにはお弁当のねこまんま。
自転車で２０分くらいである。
来間島は宮古島の南に位置する小島。
東洋一の呼び声も高い前浜ビーチの脇から
橋で渡れる。“なんもなさ”が売りのやうな
ちっぽけな島である。しかし今のご時世、
なんもないってのが贅沢だったりする。
なんもなさも北大東島くらいまで行くと
度が過ぎているやうな気もするが、
来間島は程ほどにツーリストを迎え入れる
下地もあって、大変好印象。

取り敢えず、一番人気の長間浜へ。
一番人気っつっても来間島でって話。
この島自体マニアックだから、人影はまばら。
東よりの風がやや強かったが、ちょうど風下になって
波は穏やか。真っ青である。この色を一番身近なもので
例えるとクリームソーダってことになる。子供心に憧れた、
フルーツパーラーのアレである。
さっそく泳ぐ。色合いからして分かるやうに、海底は砂地である。
点在するサンゴの根をたどっていく。透明度は２０メートルくらい。
あー、なんかもう、気持ち良くってせうがない。
水深は深いところでもせいぜい７〜８メートルくらい。
素潜りとしては物足りないが、たいした緊迫感もなく
存分に浮遊感を楽しめる。
僕はこれまで砂地の海の青さでは、波照間の西浜ビーチが
最強だらうと、勝手に思っていたのだが、浅薄だった。
ロケーションからするとここの方が上かも。
ひとしきり堪能して、浜に上がるとおもむろに昼寝。
惜しげもなく降り注ぐ太陽の光を浴びながら惰眠を貪る。
シュノーケリングの醍醐味はここにあるといっても過言ではない。
空の青やら、海の青やら、波の音やら、風の歌やら・・・
あぁ、沁みる、沁みるやうだ。頭が変になりさうだ。
「泳ぐ→寝る→バカになる」
これをひとサイクルとして何度も繰り返す。
プー太郎の悲しい性で止められねえ。

帰りに宮古本島の南海岸を偵察してみる。
来間大橋から東海上を見ると来間島から宮古島にかけて
リーフが続いているやうに見える。
宮古島との接点あたりを狙えば容易にリーフに出れるのでは?
というわけで、てきとーにあたりをつけて
犬に吠えられつつ路地裏に分け入っていくと、
道はゴルフ場の裏手に出る。その反対側が砂浜なので。
かなり沖合いの方で白波が立っている。
どうも橋からの遠望とは勝手が違うやうだ。
更に辺りを物色していると、鳥居に出くわす。
「赤崎ガマ」である。細い踏み跡をたどっていくと
潅木の茂みの中にひっそりと神聖な場所が確保されている。
寺社仏閣などと違ってパッケージされていないので
生々しい迫力がある。思わず手を合わせてしまった。
ゴルフ場などのリゾート開発もここまでは
犯す事が出来なかったのだらう。
たとえどんなにハンディが減ったって
ここには辿り着けやしないんだ。

下見と称して最後にもう一度だけ泳ぐ。
明日晴れるとは限らんしな。
日が傾いて少々寒い。
登山家の野口某氏はヒマラヤでの清掃登山が終わって
日本に帰って来ると、真っ先に海へ向かうらしい。
その気持ち分かる気がする。全く以って正しいチョイスだ。
やっぱり海はいいよなぁ、
元気になるもんなぁ。