辞職峠と廃村　（大倉畑山）

2022年10月02日 08:18未分類全体に公開

私が以前に登った大倉畑山。
道なき道を登って非常に苦労した山だったが、記録を会のホームページにアップしたら辞職峠について教えてほしいとメールが来た。

ネットで調べてみると
畝畑地区に車道が通じて無い頃　若い女教師が畝畑地区の分校へ赴任することになったが　初めてその学校へ歩いて見学に行ってあまりの山深い場所に絶望して　帰り道の峠で辞職を決意したというものだった。
半日ほど山道を歩かないと隣の集落にたどり着けない完全に孤立した場所で　当時　木の伐採と筏流しで生計を立てていたらしい。

そのような話が残っている場所であることを私は全然知らなかったが、静閑瀞という景勝地のそばの山だった。

そのころはヤマレコはなかったと思うのだが（私が知らなかっただけかもしれないが）ここへ登るルートは地形図で調べただけで行った。点線があったので平集落から吊り橋があると思って行ったら橋は落ちてしまって跡形もなくなっていた。そして、平集落には廃屋が残っているだけで人の気配は無くなっていた。

そのうちの１軒のガラス戸から布団が干してあるのが見えたが周囲の畑は草が伸び放題で、植林した木も大きくなり　鬱蒼とした樹木で薄暗い集落は不気味な静けさが漂っていた。物陰から突然人が現れるのではないかと不安になった。歩きながらも後ろを振り返らずにはいられなかった。

・・・廃村という言葉が　頭をよぎった・・・

廃村の景色は　
人が住んでいたまま　どこかへ突然消えてしまった　
神隠しに会ったような　背筋が寒くなるような経験だった。

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