ラーツー
と言う言葉をよく目にする。
ラーメン ツーリング
バイクで、出かけて自然の中で(自然がやや疑問ではあるが)カップ麺(に限定らしい)を食べることらしい。
なら、ラーメン ハイキング。ラーハイ とかラーハイクがあってもいいな、と調べると あった。
ラーハイ。
……ただ、こちらの方はまだ人口にｶｲｼｬしてはいないらしい。
それに、何故か袋麺でもいいらしい。
袋麺は色々具を足したり、やや料理の叩き台的にもなるので、所謂『山ごはん』とかぶってしまう。
カップ麺に限定したところが、ライダーらしい潔さ？か。
それに、ツーリングとカップ麺の距離感に比べて、ハイキングとラーメンの距離感は近すぎて言葉としての面白味にかける。
山には、普通飯屋や店はないし、火器やクッカーを持っていくのはあたりまえだからだ。
が、しかし、ラーツーの目的論的解釈は魅力的ではある。
つまり、目的が逆になっていることだ。
ツーリングで、腹が減ったから何か食事をとるのではなく。
カップ麺を食べるためにツーリングに行く、のである。
カップ麺とマシンの対比に粋がある。
ハイキングには、食事の必然性が強すぎて、
この目的論的逆転が成されにくい。
つまり、
カップ麺食べるためにハイキングに行く。
と、いくら力んでも、「どうせ食事はとらなきゃならないんだから、そのメニューをカップ麺に限定する意味は？」
と、なってしまう。
ツーリングは、そもそもいくらでも飯屋もコンビニもあるし、家に帰ってたべてもいいのに、わざわざ湯を沸かしてカップ麺を食べる、ある種のナンセンスさが面白味になっている。
閑話休題…………
要するに、やや意外な組み合わせ、が、実はしっくり結合した。
ところに言葉としての妙味があるわけだ。
山で言えばどうなるのだろう？
２つの概念に距離感をもたせる？
「エクストリームごはん」
急峻な山頂(槍とか剣とか〜)とか、岩場で料理をしてごはんを食べること。……他人に迷惑だなぁ…、NG
ラーハイ百名山。必ず、同じ銘柄のカップ麺を山頂近辺で食べて百名山を達成する。……もはや宗教だな……お遍路に近いなぁ〜。NG
せいぜい「ごはん山」かな、
意味はごはんを食べる為だけに登山すること。
正しい作法は、武士道にのっとり正々堂々、単独行動、行動食なし、水は行動中に補給。
なるべく人のいない山頂近辺で黙々と食事をして、時に下山不可能な時間ならばそのまま野宿をして(キャンプ場はNG)、黙々と夜明けと共に降りてくる(目的は終わったので縦走などしない)。
美しい。
山ごはん、にはまだ「山やってまーす」的な優越感が見えなくもない。
ごはん山になると、もはや山は日常的背景になってしまう。
山は単なる人生の必然的場に過ぎない。
となると、当然、ご飯を炊かなくては駄目ではないか？
一汁一菜と、茶(当然日本茶)が好ましい。
ラーメンやパスタは純粋さに欠ける。
だらだら酒を飲むのも見苦しい。
そうだ、野点ﾉﾀﾞﾃ。野点の登山版だな。
野で、茶会はラーツーと同じく意外なマッチングがある。
山とごはんには、ほとんど意外性はない。あたりまえだ。
ならば、せめて、様式が必要だ。
何らかの様式美を繰り込まなくては行為として、言葉として成立しがたい。
一人黙々と飯を炊き、茶を飲み、黙々と下山する。
また、美しからざるや。だ。
どっちにしたって、山は腹が減るからねー。
from 兀狄山人gotuteki
