もうすっかり時間が経っちゃったけど、前回の続き。
ちょうどお盆の頃に、読売や朝日の３面に特集記事が出ていたけど、
遭難したツアーパーティは、テントを持ってなかったそうだ。
救出時に使っていたのは、現地調達したとか・・・。
「そりゃひどいなぁ」
と一瞬思ったけど、
小屋泊まりの計画なら、テントが無いのは当然かも。
と考え直したのは、僕が山に登る人だから。
一般の人から見たら、
テントが無いのは、やっぱりおかしいのかも。
とも思ってみた。
トムラの事故について、なんでいろいろ考えるのかというと、
ちょうど、この夏、裁判員制度が始まったので、
『もし、この事故の裁判に参加することになったら、
なにをどう考えるかな。』
と、思いまして。
いろんなことをいろんな面から考えて、
前回のような考えに落ち着いているところです。
でも、それはひとまず置いといて。
『再発防止』の面からちょっと考えたことを書いておきます。
ガイドやツアー会社の責任となった場合、
再発防止策は、ガイドの免許制度や旅行業法の改正など規制の強化（？）になると思う。
だけど、本当に再発が防げるのだろうか。
今回は、ベテランのガイドも亡くなっているし、
一般登山者も亡くなっている。
２００２年７月にも同様の事故が起きている。
トムラの登山口やピークには、
環境省や北海道が立てた立派な案内板や標柱がある。
地域や地元でも観光ＰＲにトムラを利用している。
安易な登山を助長しているといえなくもない。
縦走するにしても、往復するにしても、
１０時間以上かかるコースに、
しかも、過去にも事故が起きているのに、
避難小屋の１つも作られていない。
『仏作って魂いれず』
という言葉があてはまるかどうかはわからないけど、
立派な看板つけるなら、整備もしっかりやって頂きたい。
むしろその方が優先かも。
『再発防止策』が、役立たない場合は、
システムの不具合対策と同じで、
元々の原因究明が、ちゃんとできていない場合が多い。
同じ地域で、同じような事故が、何年かおきに発生する。
そのまま放置しておいたのでは、
亡くなった方々も報われないのじゃないかと思う。
少なくとも、ケルン作るくらいしても良いんじゃないかな。
できれば、風よけになるくらいの立派なのがいいな。
＜閑話休題＞
兵庫佐用の豪雨災害で、山友達が一人死んだ。
報道によれば、役所が避難勧告を出す時間が不適切だったとか。
静岡の地震では、東名高速が崩壊した。
東海道新幹線は、補強工事をしてたので、大丈夫だったそうだ。
死んじゃった友達には、まだ小さい子どもがいるけど、
もうがんばるしかないのだ。
天変地異は、簡単に人の命を奪うけど、
人が、力を合わせて準備しておけば、いくらかそれを回避できると思う。
裁判は、なにかの責任を個人に負わせることもできるけど、
それで解決できることってどれくらいなんだろう。
それで発生する負担ってどれくらいなんだろう。
いろいろ考えた夏でした。
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日記
トムラウシでの遭難事故 私感 その２
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ihara1990さん、こんにちは。
この事故に限らず、登山事故の情報は、その殆どが詳細すら明らかにされないまま終わっている様な気がします。
私が一番違和感を覚えるのが、警察からの情報が断片的に小出しされることです。
テントを持っていたかどうか等は、事故当日でも判っていたはず。
それを今頃になって「新事実」のようにマスコミに流す警察のやり方は、事件として立件するための捜査情報の秘匿が原因だと思います。
そこには、再発防止の観点は微塵もなく、ただ単に責任者を処罰できるかどうかだけです。
おそらく関係者も「捜査中の事件ですので」ということで、迂闊には情報開示は出来ないでしょう。
参加者がどんな装備、服装だったのかをもっと詳しく開示して欲しいと思っています。
MATSUさん、こんちは。
警察というやからは、僕も好きではありません。
けど、警察が情報を開示する必要はないと思います。
（隠す必要もないけど）
テントを持っていたかどうかも、当日に分かるとは思いません。
持っていたという人もいれば、持っていないという人もいるだろうから、確実な証拠を探す必要があるからです。
そもそも、警察にしてみれば、登山を推奨しているわけではなく、みんなが勝手に山登りして事故を起こすので、しかたなく捜査もしなければならない立場だと思います。
参加者の装備や遭難の状況を、調査したり検証したりするのは、登山を助長？普及？利用？している、関係団体や出版社、環境省や地元自治体がすればよいのではないでしょうか。
その際に、取材すれば、警察も必要以上に隠すことはないと思います。
それまでには、多少の時間がかかるかもしれません。
また、被害（災）者の服装などを開示する事で、必要以上に「個人」の落ち度が指摘されることもあるかと思います。
例えば、婦女暴行事件などでも、被害者の服装や行動を警察が、開示する必要があるのでしょうか？
適切なたとえでは無いかもしれないけど、
警察は、冷静な捜査をすれば、それで良いのでは無いのでしょうか。
ihara1990さんこんにちは。
遭難の状況を調査、検証するのはやはり捜査権限を有する警察の仕事ではないでしょうか。
出版社や自治体にその義務も権限も無いことはお分かりだと思います。
情報を持っているところが情報を開示しない限り、ihara1990さんが主張されている「原因追及」も出来ないのではないでしょうか。
テントの有無の情報が１ヶ月以上捜査しないと得られない情報か否かを皆さんも考えて頂きたいと思います。
MATSUさん。どもです。
調査・検証をするとしても、立場によって目的が違ってくるのでは無いでしょうか？MATSUさんが、参加者の装備、服装を知りたい目的とはなんでしょうか？
警察の『捜査』目的は、適法・違法の判断の為の事実関係の確認だと思います。とりあえずは、それ以外のことは考えずに捜査に専念するのが仕事なのではないでしょうか。
なので、MATSUさんのいう「再発防止の観点は微塵もなく」もいたしかたないかと思います。（責任者の処罰は司法がするのことで、警察はしませが・・・。）むしろ再発防止は、警察権力がやることではなく、行政なり登山（ツアー）関連団体がすることだと思います。
また、官公庁であれ民間企業であれ、職務上知り得た情報は、安易に公表するものではないと思います。特別な権限をもって捜査をするのなら、更に慎重になるのも当然なのではないかしら。
ついでに、ぼくは「原因追及」を主張した覚えはありません。また、「テントの有無の情報が１ヶ月以上捜査しないと得られない情報か？」とのことですが、新聞社が特集を組んだのが、ちょうど１ヶ月の日だったので、それ以前に開示されている情報の筈ですよ。警察が公表したのか、新聞社が取材したのかは知りませんが。
MATSUさんのお気持ちも分からないではないですが、今後、長期の縦走や冬山登山をするのならば、装備や服装や知識も必要ですが、冷静さと思慮深さも大切だと思います。僕にとっても大きな課題ですけど。
まぁいずれのことも時間がかかることと思いますので、気長に心に留めておくのが良いんじゃないでしょーか。
これからの秋山シーズン楽しみましょう
ihara1990さんへ
＞縦走するにしても、往復するにしても、
＞１０時間以上かかるコースに、
＞しかも、過去にも事故が起きているのに、
＞避難小屋の１つも作られていない。
＞『仏作って魂いれず』
避難小屋の新設のことは、事故の少し後に、地元の町が意見を出していました。
そのことは、私の日記で批判的に取り上げていましたが、ihara1990さんも書かれたので、改めて私見を述べておきます。
小屋は、新設するとすれば南沼、前トム平の一帯になるでしょう。
現地は、原生的自然環境保全地域に近く、とくに南沼の一帯は大雪山系のなかでもっとも自然が良好に保存されている一帯です。この問題は遭難事件の角度からのみでなく、また観光的目的などの地元の意図などからではなく、小屋をつくることによる安易な利用者の増加等々もふくめて、慎重な調査と検討が必要と思います。
なお、私は「百名山ブーム」はすでに陰りが見えて、先も見えだしていると思っていますので、避難小屋建設の是非は、長い目でみて考えるべきだと思っています。百名山以外の各地の避難小屋では、相当な荒廃がすすんでいる地域もあります。
本論ですが、私は、遭難防止対策を施設の問題にもっていく、こうした意見には賛成できません。
それこそ、「小屋をつくって、魂入れず」になるのではないでしょうか。原因、ここで言われる「魂」とは何かをまず明確にして、対策を考えるべきです。
（と、ここから述べる話は、実はihara1990さんや他のみなさんと大きくは違わない話になると思います。）
逆説的な話になりますが、もし前トム平あたりに避難小屋があったとして、今度の遭難は防げたのでしょうか？ 犠牲者の一部が助かっただけと思います。このパーティーは、事が起こってからも、全体が危機にさらされているという認識がそもそも希薄だったのですから。それに小屋があっても低体温症にたいする対処を知らなければ、以前の十勝岳遭難と同じ結果になります。
また、小屋があれば、今度のような「低体温症」の認識も、備えもないパーティーは、当日、風雨のなかで行動を起こす可能性がますます高まると思います。「行け」の判断がさらに安易になりえます。
小屋に頼って、安易な装備で入山する登山者も増えるでしょう。難易度が下がったように見えるとそうなるのは、各地の山の実態がそうです。残雪期の登山者が増える可能性もあります。
立山でも、白馬岳でも、十勝岳でも、今度の美瑛岳もそうですが、小屋があり、そこそこ行動時間が短くとも、低体温症による遭難は起こっています。「認識」と「備え」をはっきりさせないと、施設の拡充と受けとめられる対策は、とくにトムラウシのような場合は、裏目に出る可能性もあります。
つまり、遭難事故は、それにふさわしい原因と責任を明確にして、多くの登山者のものにしないと、そして今回の場合はガイド問題やツアー会社の責任問題で、明確な法制度を設けないと、遭難そのものを減らすことにはつながりません。また「低体温症」の危険は、多くの登山者の認識にしなければなりません。
これが一番の防止策です。
小屋に関連して、今度のパーティーとツアー会社の実態を「登山不適格者」などの本があり、ガイドでもある岩崎元郎さんが、９月号の「文春」に書いていました。
岩崎さんによると、この会社は、大雪山系や屋久島などの避難小屋で、ガイドによる「場所取り」を常態化させていたそうです。
ガイドが１人、パーティーを離れてはるかに先行してしまい、避難小屋にシートを敷き詰めるなどして、他のパーティーが泊まれないような「場所取り」と続けてきたのだそうです。だから岩崎さんは、今度の事故のあと、あの会社なら、と、ぴんときたそうです。
しかし、ガイドがこれでは、ガイドの役に立ちません。
こういう会社が、いまは避難小屋を足場に営業行為をおこなっていることに、まず手を打つべきだと思います。そもそも初歩的なマナー違反ですが、この場合は当事者のパーティーにとっても、他の登山者にとっても、危険と背中合わせの行為です。
小屋には、管理主体があります。５人以上の使用は許可制、１０人以上の使用は特別な場合に限り、原則禁止にしないと、一般の人は避難小屋として使えません。
私の記憶では、北大や北海学園大学が管理する山小屋も、そもそも利用は事前届出ですし、多人数の使用は混雑期は敬遠していたと思います。ルール以前の問題ですが。
地元の自治体がまず、小屋についてこのルールを実施するだけでも、無謀で無計画で装備も不備の入山パーティーは激減するでしょう。
先輩、まいどです。
tanigawaさんの日記は以前読みました。コメントもお待ちしてましたって感じです。確かに、貴重な自然のあるところに小屋を作るのは、愉快なことじゃないですよね。
とはいえ、避難小屋や石室くらいはあっても良いかな。と思います。というか、地元が望むなら反対する理由はないですね。ちゃんと魂入れて作れば良いんじゃないでしょうか。
自然保護的には、
正直言うと、小屋も、案内板も、ピークの標柱もいらないくらいです。三角点ひとつあれば充分だと思いますよ。
けど、エアコン効いた部屋で仕事して、原発の電力使ってネット楽しんで、徒歩３分でコンビニ利用できる環境にどっぷりはまっている身としては、あまり偉そうなことを言う気もないっす。
まぁ、本文にも書いたけど、案内板とか標柱だけ立派なのに作り替えておいて、中身は昔のまんまというのは、いかがなものかって感じです。
『山小屋があっても、遭難は減らず、むしろ危険が増すのじゃないか？！』
とのことですが、僕はそうは思いません。
今回の事故が防げたかどうかは分かりませんが、前トムあたりに小舎があれば、そもそも、２泊３日の計画は組まなかったと思います。
また、縦走するパーティにとっては、進め方にも柔軟性が生まれるし、心理的にも余裕ができて、冷静な判断をする助けになるんじゃないでしょうか。
一般的には、どうなのかしら？
小屋があると無理をするのが普通なのでしょうか？
小屋があると余裕ができるのが普通なのでしょうか？
ヤマレコの記録を見ても、トムラ日帰りのものをよく見ますが、小舎があれば、１泊したい方もたくさんいると思います。
なにより、ガイドブックでも『日帰り１４時間』というような紹介はしないでしょう。
また、小屋の周辺に遭難の慰霊碑や低体温症のプレートなどを建てておけば、登山者に注意を促すこともできるし、ガイドブック等に小屋設立の経緯をコラム的を載せたり、と実質的な啓蒙ができると思います。
それに、トムラウシまで来て日帰り１４時間では、ちょっと気ぜわしいですよね。せっかくなら貴重な自然をゆっくり肌で感じて、帰って欲しいものです。
自然保護については、山小屋が原因ということもあるけれど、登山者のマナーによる方が大きいのではないでしょうか。とはいえ、僕自身、お上品な登山をしてる訳ではないので、こればっかりはなんとも言えないですなぁ。
まぁ、トムラウシは、既に『日本百名山』になっちゃってるので、登山する人達が余裕を持って楽しめるような山になるのも良いかと思います。
最後に、「〜しなければならない」とか「許可制」とかってのは、苦手ですね。はやりの漫画じゃないけれど、山は自由で自己責任なのがいいなー。
ihara1990さんへ
＞ 最後に、「〜しなければならない」とか「許可制」とかってのは、苦手ですね。はやりの漫画じゃないけれど、山は自由で自己責任なのがいいなー。
こういう意見をいう登山者がよくおられます。
しかし、そういう方に限って、小屋であれ、登山道であれ、林道であれ、遭難救助であれ、どのような社会的サポートや制度のもとで登山が条件づけられているのかを、考えておられないのですね。
賛否はあると思いますが、カウンナイ川のようなまったく人工物がないルートでさえ、遭難問題で一時、入渓禁止が一方的に行われました。これは一面で、どんな自力の自由な登山でも、管理者（たとえば森林管理者）や救助の側との微妙な緊張状態のなかで、登山者側の安全対策や心得があって、登山として成り立っていることの事例です。
問題があって事が明瞭になるわけですが、登山というのはそういう社会的な存在です。
心底自由な登山をというのであれば、国内にどこかあるのかもしれませんが、小屋も、林道も、登山道もない場所で、人知れず山に入るということを実行するしかありません。
それから、ルールは当事者の権利を生かす、希望をかなえるための側面もあるのです。
運転免許や交通ルールもそうです。ルール＝自由の妨害ではありません。
悪天候で逃げ込んだ小屋に、こんなパーティーが場所取りをしていたら、困るのは登山者自身です。
私が許可制と原則禁止を小屋の件で言っているのは、利用者が多い避難小屋に大人数で押しかけるような、営利目的の登山行為についてです。規模もある程度になれば、その登山自体が、他人の「自由な登山」に対して社会的影響を与えるものになります。
大人数を原則禁止にしたり、許可制にしたりしても、一般の通常の利用者は、何も困りませんし、管理機関を通じて事前に混み具合が情報で入れば、備えもできるしょう。
普通なら常識で判断して、混雑期に２０人近い団体の小屋利用は避けるでしょう。とくにヒサゴ沼はテン場にも事欠くのが、シーズン盛期の状態です。それが常識というものです。
その常識が通用しないばかりか、場所取りまでしているのが、相手の実態ですから、安全第一で効き目のある対策をお願いしたいです。
というわけですから、たとえトムラウシの南面に無人の避難小屋を造っても、同じ使用実態がエスカレートするなら、意味がありません。そういう登山の増加に比例して、遭難も増えるかもしれません。
それから、自然の保全では、そもそも北沼が幕営禁止にされたんですよね。やむをえないことと受けとめてきました。南沼も、いつまで続けられるかという面があると思います。ヒサゴ沼もひどい変貌ぶりです。いまのトムラウシは、ちょっと限界かなと感じます。
南アの仙丈ヶ岳のように、キャンプを禁止し、小屋にして目を届かせるという方式も、自然の保全の面から選択肢になる場合があります。有人小屋ですね。仙丈のカールは、壊れかかった避難小屋があった以前とことなり、身奇麗にはなりましたが、いかにも人工的なカール底になってしまいました。原始性なんて皆無です。
あのような土木工事、土留め、植生の破壊は、それ以前の避難小屋時代があまりに荒んでいたから、まだ許容されたのでしょうか。
同じことを、各地の自然が残されている山に広げてほしくありません。
有人小屋の案は、管理は行き届く点がメリットですが、自然にはやはりインパクトがあります。道内の自然保護団体は許容できないように思います。
私は日本の山に１つぐらいは、トムラウシのようにごく原始的な登山でしかは入れない山があってもいいと思ってきました。欧州では、一般の登山者が誰でも登れるわけではない難しい山が人気ですよね。
そういうトムラウシの良さが、「短縮登山道」やロックガーデンの木道設置などで、かなり変貌させられてきたように思います。
全部、やめて、元にもどすということも、安全上、効果的な「大穴」の選択肢になるかもしれません。
ihara1990さんへ
＞また、被害（災）者の服装などを開示する事で、必要以上に「個人」の落ち度が指摘されることもあるかと思います。
低体温症へすすんだ原因が、本人の用意にもあったのか、あるいは指揮者の側の認識や判断の誤りにあったのかは、今回のケースで刑事事件としては必ず問題になります。
その一つのデータとして、参加者の服装は、警察や検察が認識する水準で、おそらく調べられるでしょう。
これらは、個人の落ち度が誰かから指摘されるかどうかという問題で見る問題ではなく、「事件」の基本内容を構成する問題です。放っておいても、ある程度は調べがおこなわれているでしょう。
ihara1990さんは、服装の件を遭難の原因にかかわるものとして、軽く見てはおられないですよね。この件はむしろ、多くの登山者に広く知っていただきたいことだと、私自身は考えています。
公表も、過去の報道の事例では個人名を出さないケースが普通です。パーティーのうち下着、雨具の実態と死亡・行動不能の相関を見るのが目的ですから。従来は、きわめて明瞭な相関が出ていました。
服装を詮索するのは行き過ぎだという考えがもしあるとしたら、その人が登山者であれば、おそらく過去の遭難事例を登山者に必要な水準で、知る機会がなかったということになります。遭難を扱った多くの本や事故報道で、この件はごく基本的な要素として検討されてきました。
また登山者の側でも下着や雨具問題は、遭難にかかわる基本事項として、位置づけて考えているのが基本だと思っています。
さて上で「認識する水準で」と書きました。
これは、今回の報道のなかで、下着の防寒性の認識に意外な盲点があることがわかったからです。ある有名な登山者が、ある雑誌で、速乾性のある化繊下着と、防寒用の下着の区別ができないでいたからです。
事故のあと、札幌の登山用具店でフリースや薄手羽毛服を用意して北海道の山へ入る様子が報道されました。しかし、下着の素材の見極めは、伝えられていませんでした。
先々週、札幌に行ってきたのですが、その店にも、また東３丁目の専門店街（レンガ工場を模したショップ）にも、ちゃんと「防寒用」の化繊下着は置いていました。
とにかく、このyamarecoでも種々の見方が出、他の媒体でもいろいろ言われ、登山用具店の店員もちゃんと区別をアドバイスしきれていない問題があります。
これだけが決定的とはいいませんが、汗抜けと通気性を売りにした真夏用の下着の用意だけで７月や９月の北海道の山へ行くのは、状況次第ではうまくないと思います。これからの秋山はなおさらです。
tanigawaさんへ
おっしゃることはもっともなので、特に反論もないのですが、カウンナイの規制ってもう解除されたんですか？
本当なら、是非一度行ってみたいです。
それと、最後の『全部、やめて、元にもどす』ってのは、なかなか愉快です。先輩がやると言うなら、僕も手伝わない訳にはいきませんので、日程が決まったら教えてください。10kgハンマー担いで馳せ参じます。
tanigawaさんへ
警察や検察は、彼らの仕事をやればいいんじゃないですか。マスコミとかが偏った主観で『個人批判』を煽動するのは好きじゃないですけど。
服装については、MATSUさんも知りたいと言ってますよね。他にもたくさん、知りたい人もいると思います。
ただ、僕が思うに、遭難者の服装・装備等が分かったところで、今まで登山入門書に書かれてきた内容が、大きく変化するほどの事実が出てくるとは思いません。
tanigawaさんが、懸命に指摘している下着についても、２０年も前から、登山入門書に書いてあることなので、間違ってはいないけど「今更何言ってるの？」って感じです。
つまり、登山する者としては、入門書やガイドに書いてある山登りの基本に忠実であればいいわけで、遭難者個人の服装等を詮索することは、いささか野暮ったいなぁって感じです。
純粋に知りたいという気持ちは分からないでもないですが、tanigawaさんが日記に書かれていたように、山渓なり文登研（環境省よりふさわしいですね）なりの報告を待てば良いのではないでしょうか。
まぁ、それはともかく、北海道の自然にいろいろ教えて貰った僕達ぐらいだけでも、『こういう記事や議論をしつこくやる』ってのはいいですね。
これからもよろしくお願いします。
＞ただ、僕が思うに、遭難者の服装・装備等が分かったところで、今まで登山入門書に書かれてきた内容が、大きく変化するほどの事実が出てくるとは思いません。
ihara1990さんがすでにご存知のことかどうかという問題と、今回のツアー参加者やガイドのレベルではどうかという問題と、両方あると思います。
問題点をより明確にするならば、低体温症への認識との関係で、服装・下着をどうとらえているかということです。
ihara1990さんは認識していて、
＞「今更何言ってるの？」って感じです。
と書かれている。
でも、今度のパーティーにしろ、ガイドにしろ、この点はクリアできていません。
そして、おそらく相当な割合の登山者が、同様の条件にあるのではないかと、私は考えています。
もう１つは、私も、そしてihara1990さんもまだ知りえていない問題として、ゴアテックス雨具のこの条件での問題点と、汗抜け本位の夏用下着の、危険性です。
これはまだ検証されていない。
＞遭難者個人の服装等を詮索することは、いささか野暮ったいなぁって感じです。
繰り返していいますが、個人名を挙げて公表すべきといっているのではないのです。
未解明の点もあるのですから、雨具・下着の材質・特性と、死亡・行動不能者との関係に、相関があるのかどうか、このことの検証、教訓化が必要といっているのです。
これは生還者の場合にも、どういう備えを当日も含めてし、何を着用し、カロリー補給をどうしたか、などのことが貴重なデータになると思います。
現に、ihara1990さんの場合も、当日このルートを踏破した別のパーティーを含めて、服装の保温性の差異が生死を分けた大事な問題の１つであったことは、否定できないでしょう。
別の欄で介抱に奮闘した女性の例を紹介しましたが、彼女は雨具の下の肩の部分に、タオルを加工（首抜けの穴をあけた）して、当日朝、装着していたそうです（ＮＨＫ報道）。他の事例もあります。
これらの問題は認識や問題意識が希薄であれば、捜査でも中途半端にしか出ないでしょう。
また、取材を通して明らかにする条件は、これだけ日時がたったあとでは、犠牲者については難しい面があります。
以上から結論できることは、今後、秋山登山を含めて、同じ問題がまた繰り返すということです。
ihara1990さん。今回の私とのこのやりとりを、何年後になるかわかりませんが、次の問題の一つの視点として、ぜひご記憶にとどめておいていただきたいと思います。
一般に、多くの方は、しばしば今度のような問題でも、我が事としては忘れてしまうものです。とくに今度のように事件そのものは大々的に伝えられても、カナメの問題が明示されていない場合は、そうなることが多いと予想します。
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