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やっぱり山の頂は気持ちが良い。周囲に自分が今立っている地点より高いところがない。あるのは限りなく広がる天の空間。そこには青く澄み渡った空と自由な雲のみ（天気が良ければだが）。天と一体になれる。
地上を見下ろすと遠くに灰色の街。街の上空のみ空気が澱んでいるのが見える。わたしたちが住む街は、地べたに張りついたなんて薄っぺらいものなのだろうか。
そうした環境の山頂では広い視野で客観的に物事を考えることができる。普段の悩みなど、なんてちっぽけなことなのだろうか。悩んでいたことが馬鹿げて思えることもある。
「どうして山に登るのか？」という問いに「そこに山があるから」との答はあまりにも有名だが、若い頃は、なんて馬鹿なことを言っているのだ、答になっていないではないか、と思っていた。しかし「そこにある山」、それは単なる地球の出っぱりではなく、自分を解き放つ場所としての山、客観的に物事を見せてくれる山、健康管理をしてくれる山……。いろいろな意味のある「山」であることが近年は感じられるようになってきた。そんな山がそこにあるから登るのである。
また、山の頂では地球の存在を感じられる。宇宙からでなくともそれは感じられる。広大な天空のもとでは街も山も海もが一体化して見える。一つの地球の上に。この何もかもが繋がっている地球は唯一で偉大な存在だ。本当に地球はかけがえのないものだということが一眼で理解できる。同じ地球上の全ての人間、全ての生きものたち、みんながいてのみんなの地球なのだと。
昔から、人々は山には神が宿るとして信仰の対象にしてきた。この訳と意味を長年山に登ることによって、多少なりとも理解できた気がする。
Vivre 2024.9月号より
写真は左から、富士山頂より三浦半島方面を望む、比良山より南東方面を見下ろす、剱岳早月尾根から富山市方面を望む
※連載に追いついたので今回で一旦終了です。
仰るとおり、山は色んなことを教えてくれる存在です。私の場合は、身体的、精神的な健康を維持する重要な要素です。
日本人は古来、山を神として尊崇してきましたが、山は人間が生きる上で不可欠な「水」が生まれ出る所ですよね。昔の人の観察眼は凄いです。科学的な知識はなくとも生活体験として理解していた訳です。山を神として崇め、大切に守って来たから、豊かな自然が守られました。
長年山を歩き続けて、その意味が理解できるようになりました。
連載を楽しみにしていましたが、一区切りついたのですね。次のシリーズ楽しみにしています。
コメントありがとうございます！
山にも神がおられる、滝にも、木にも。
日本特有の八百万の神という考えは素晴らしいものですね。
八百万のものを敬い崇める、人類全員がこういう考えを持っていればと思ってしまいます。
連載は続いているので、いずれまたここへの掲載もできればと思っています。
何年も先になるかもしれませんが......
ありがとうございました。
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