昔、ある山小屋を手伝わせて頂いていた。
ひとくちで、山小屋の仕事と言っても色々ある。
ビールや米や燃料の歩荷・掃除・薪割り・火おこし・調理に配膳、布団敷き等など…。
受付と寝床割りも大事な仕事でした。
一度経験してみたかったのは、ヘリが吊るして来た大きな荷物をヘルメット被って、下で受け取るやつですが、
その小屋はそんなに大きな小屋ではなかったですし、地形的にも難しい面がありヘリでの荷揚げは無かったので残念ながらした事がありません。
色々ある仕事の中で一番好きだったのが、お客さんの夕食が終わる頃から、
スタッフ一同が各々勝手に飲み始めて、消灯後まで大騒ぎをする仕事でした。
いや、あれは仕事ではなかったのかな。仕事じゃない割には、毎日律儀に行っていたな。
継続は力なり。
ヘリ荷揚げがないという事は、小屋で賄う資材は全て人力で荷揚げする事になるのだが、
その小屋には�犲�分が担ぎ上げてきた酒は好きに飲んで良し�瓩箸いμ瓦陵佑勉櫃�あった。
明文化されてそんな掟があったわけではないのだが、ある日ボスがその様な意味の事を言ったのを聞き逃さず、忠実に守り続けたのだ。…一応遠慮しているフリだけしながら。
…という事で、毎夜毎夜の宴は消灯時間を2〜4時間も過ぎ、
全員潰れるか、下戸のスタッフがキレるまで続くのだが、
どんなに遅くても、日付が変わる頃にはさすがに終宴となり、第二消灯として、みんなが眠りにつく。
しかし私は、自分が歩荷してきたビールケースから1本抜き取って隠しておき、
みんなが寝静まったあと小屋の前に出て一杯やるのが好きだった。
歩荷して小屋に着いたら昼食を摂るのだが、この昼食もよく小屋の前で食べていた。
そこから見る○ヶ岳がとてもカッコ良くて、それを見ながらだと昼食もビールもとても美味いのだ。
あれ？
酒の話しじゃなくて仕事の話しだったな。
閑話休題。
夜な夜な続いた宴が仕事のうちに入らないのなら(入るわけがないが。)
一番好きな仕事は�爐�見送り�瓩世辰拭�
夜の街で着飾った女性達が酔客相手に店の前でやっているアレである。
もっとも、これも仕事のうちにはあまり入らず、朝食時のゴッタ返した状態で
暢気にこれをして小屋内に戻ると、他のスタッフから犯罪者を見る様な目で見られる事になるのだが。
お見送りの何が好きだったかというと、
山行く人の姿を眺めるのが好きだったのだ。
通り一遍の挨拶が終わると
「では！」
とお客様達が歩き出す。
見えなくなる直前まで後姿を見送って、
小屋の前に吊るされた鐘を鳴らす。
すると、小さくなった登山者がこっちを振り返って手を振ってくれるので、
「ありがとうございました」
という気持ちをこめてお辞儀をしてから
「しっかり登れよ！」
という気持ちをこめてガッツポーズを返す。
すると、登山者は前を向き、それぞれの目的地へと足を向けていく。
…とまあ、文才の欠片もない人間が描写するとこれだけの事なんだが、
この時間がたまらなく良い。
やはり、山行く人の姿は美しいのだ。
故に私は、人と山に登る時は基本的に先に山頂を踏んで貰う様にする。
これを下から見上げているのもまた堪えられない。
昨今は機会がないが、複数で行くビレイが必要な山行の時も理想のポジションはセカンドである。
これは、単にトップを張るには力量不足なだけ、という噂もあるが。
まあ、なんにつけても山行く人というのはカッコイイので
それを眺めて酒さえ飲んでりゃ仕事になる、ってのは素晴らしい事だ。
ちなみに、私がお世話になった小屋は現在、営業を休止してしまっているが、
上記、私の勤務態度のせいでは無い筈なのであしからず。
takecさん、こんばんは
実際の山小屋というモノを見た(入った)のは、先日の鍋割山が初めてです。
チラッと足を踏み入れただけなので、山小屋の何たるかを垣間みるコトはできなかったのですが、tekecさんの日記を読ませていただくと人間が大好きなhirorineは“良いお仕事だな”って思いました。
もちろんお仕事なので楽しいばかりではないだろーけど
お見送りの儀式、hirorineも受けたかったです。
＞山行く人の姿は美しい。
残念ながらhirorineは美しいには程遠く、ひーひ−ぜーぜー苦し紛れの毒舌を言いながら、足下の石や根っこに八つ当たりし、トレッキングポールに寄りかかり、髪を振り乱し、汗をしたたらせ、腰をさすりつつ…
あ、でも歩き始めくらいは「では!」と意気揚々と歩き出しているかな
いずれにしてもtakecさん、この日記を拝見させていただくと、いつぞやアップされていた山小屋のオヤジ云々…実はマジ？
こんばんは。
鍋割山荘は丹沢屈指の名物小屋ですね。
正直、どうしてもそこに無いといけない…という立地ではないにも関わらず、
あれだけの名物小屋になったのは、ひとえに草野さんのお人柄なんでしょうね。
＞山小屋の何たるか
…知った風な日記を書いといてなんですが、実は私もよく知りません。
いかんせん
自分がもてなす側なら良いのですが、小屋泊派か、テン泊派か、と問われたら100％テン泊派なもんで、
建物内に宿泊した山小屋なんて片手で数えられる程度なんです。
＞お見送りの儀式、hirorineも受けたかったです。
是非、させて頂きたかったです。
機会があれば、富士山から宝永山を登り行くhirorineさんをお見送りしますが…。
＞山小屋のオヤジ云々…実はマジ？
マジでなくもないんですが、山行く人々を眺めながら一杯やるのが山小屋の仕事だと思っている様な人間に務まる仕事ではないと思われますので精進します。
再びこんばんは！
hirorineにとって今の仕事は生きるための糧を得る手段でしかないので、好きなコト、好きで続けてきたコトを仕事になさることは凄く羨ましく思います。
山行くヒトを眺めながら一杯やりたい、ワクワクやドキドキを抱えながら山へ発ってゆくヒトを「しっかり登れよ」と見送る時が好き、それで充分じゃないですか
hirorineさんは本当に考え方お気持ちが温かいのでしょう、いつもながらやさしいコメントをありがとうございます。
私なんてhirorineさんの日記欄で
聡明かつ眉目秀麗なる御子息様に危うく暴言を吐きかけたというのに。
大変反省しております。
と、同時にますます小屋オヤジがマジになりそうでちょっとヤバいですね。
takecさん こんばんわ。
山小屋の仕事
憧れました。大学生の頃
チャンスが いくらでも
あったのに 山から離れてしまって 定年後雇って
くれる山小屋無いですかね
憧れます。。山小屋の仕事。
＞やはり、山行く人の姿は美しいのだ。
読ませて頂いて海抜0mの胸がほんわかしました（素面です）。。。
こんばんは。コメントありがとうございます。
〉定年後雇ってくれる山小屋
小屋仕事を紹介してくれるシルバー人材センターがあったら、中高年登山者の長蛇の列でしょうね。
むしろ、その路線でニュービジネスを立ち上げてみるとかいかがでしょう。
こんばんは。素面コメントありがとうございます。
カッコよく、そして美しいと、僕はそう思います。
それを眺めて熱くなれるのは、とても幸せな時間でした。
takecさんが、乾徳山の高原ロッジのオヤジになったら、貴方の好きなシングルモルトを持って通いますよ。
だから見送りは他人に任せないで、takecさんがしてくださいね。
以前の話ですが、山の合宿の、雨で停滞のとき、決まって酒買って来いとの命令があります。半日コースのトレーニングのつもりで、いつも私は手をあげました。
この特点は、割り勘の人数から除外されるからです。
貧乏学生にとってこたえられませんでした。
｢帰りは、ルンゼを登らず、尾根道で来いよ、もし落ちて酒瓶割ったら大変だからな｣といつも優しい？リーダーの声が飛びました。
こんにちは。
夢想妄想レベルの段階での来訪宣言ありがとうございます。
シングルモルト、お持ち頂くどころか、kazuhiさんにお越し頂けるなら
必ずやご用意してお待ちしております。
もっともラガヴーリン16yを用意出来る程、気もきかなければ財力もございませんので
ありふれた12y程度の物しかご用意できないかもしれませんが。
(経営が傾いてきたら中身がブラックニッカに変わるという噂も…)
kazuhiさんの純粋培養真っ最中のお話しは、いつも楽しく拝読させて頂いているのですが、
＞｢帰りは、ルンゼを登らず、尾根道で来いよ、もし落ちて酒瓶割ったら
…と言う事は、行きは御身一つで雨の中ルンゼを下って買出し…という事でしょうか。
楽しいばかりではない、恐るべし山岳部ですね。
takecさん こんにちは。
定年後の登山者を対象に
山小屋の仕事や山関係の
仕事を募集したら
かなりの人が飛び付きそうですね。でも私が
いの一番に
飛び付きそうです。
またそれを
紹介するビジネス
将来性ありそうですね。
私も紹介する側より、される側としていの一番に飛び付く組になりそうです。
しかし、猫も杓子も中高年登山者バッシングという風潮になってきてしまった昨今、
何かあったら即、山荘と派遣元の管理責任を問われそうで恐いですね。
とても良い日記ですね
見送って下さるのは、登山者にとってはとても嬉しく、そして気が引き締まります
私も何度かお見送り頂いた事がありますが、ちょっとバテ気味になった時、『見送ってもらったから、ちゃんと無事に帰らなきゃ。』と心に渇が入りました
takecさんの日記で、お忙しい中見送って下さった事に気付かされ、改めて感謝の気持ち一杯です
こんにちは。コメント＆お褒め頂きありがとうございます。
＞見送ってもらったから、ちゃんと無事に帰らなきゃ
こんな風に思っていただけたら見送った方も本望でしょうが、
私の様に、個人的趣味＆サボリたいだけ、という輩が見送っている場合もあるかもしれないのでご注意下さい。
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