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先ず「富士登山オフィシャルサイト」(以下「オフィシャルサイト」)には、開山期以外(以下、「閉山期」と言う)の登山について触れられた「富士登山における安全確保のためのガイドライン」(以下「ガイドライン」)が掲載されている。このオフィシャルサイトは、環境省・山梨県・静岡県が運営主体なので、ガイドラインの内容は環境省・山梨県・静岡県の公的な見解ということになる。
以下、「登山道」とは、五合目〜山頂に至る、吉田・須走・御殿場・富士宮の各ルートを総称する意味で用いる。オフィシャルサイト及びガイドラインでは、道路法第46条を根拠として「閉山期の登山道は通行禁止」と記載されている。(但し、富士宮ルート5合目〜6合目までは通行可能期間が他区間と異なる、とも記載されている。)
ここで重要なのは、道路法第46条を根拠として登山道が通行禁止と謳っているものの、「登山禁止」とは書かれていないこと。このことから、道路法第46条との関係では、登山道を通行することは禁止できるが、登山道を通行しないで登山することまでは禁止できない、ということが把握できる。
ちなみに道路法第46条は以下の様に規定されている。
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第46条
1.道路管理者は、左の各号の一に掲げる場合においては、道路の構造を保全し、又は交通の危険を防止するため、区間を定めて、道路の通行を禁止し、又は制限することができる。
1.道路の破損、欠壊その他の事由に因り交通が危険であると認められる場合
2.道路に関する工事のためやむを得ないと認められる場合
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従って環境省・山梨県・静岡県が、閉山期に富士登山道を道路法第46条を根拠に通行禁止とすることは、法律上は根拠があるということになる。
それ故、閉山期に通行禁止のバリケードをすり抜け、「登山道を利用」することは、違法であり、道路法第103条第4号に規定された「六月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金」ということになり、これはオフィシャルサイトに記載された罰則と一致する。
ここで少し余談。
富士登山道が「道路法上の道路」に該当するかどうかに関し、道路法第2条及び第3条によれば、道路法上の道路には都道府県道が含まれる。調べたところ富士登山道は確かに県道として認定されており、よって富士登山道も、条文上は道路法上の道路となる。この点に関し、一部では否定的見方もあるようだが、裁判で争われたことはなく(ChatGPTで確認)、あくまで現時点で明らかなことは、条文上は道路法上の道路であり、環境省・山梨県・静岡県が道路法第46条を根拠に通行禁止とすることには根拠があるということ。
尚、最高裁判決(1964年4月17日)により、8合目以上の土地は富士山本宮浅間大社が所有権を有するとなっているが、その際、登山道や測候所など、国や県が公用地として使用している部分は除外される、と判示されている為、富士登山道は頂上まで含めて県道である。(以上余談)
次に気になるのは、ガイドラインでは、一定条件(十分な装備等)のもとで、登山を許容するように読める記載があること。この点に関し、ガイドラインに記載された問い合わせ先に問い合わせをしてみた(どういう趣旨なのか?)。その結果、以下の通り。
・「登山」はあくまで自己責任において行われるものであるため、登山道を利用しない「登山」という行為そのものを禁止することはできない。
・しかし実際に封鎖を突破し、個人の自由の下で登山を決行する方もおり、それによる遭難事故も多く発生しているため、こうした遭難事故の防止や自然環境を保全するため、環境省、静岡、山梨両県でガイドラインを作成した。
・ガイドラインを遵守していたとしても、通行禁止区間の登山道を通行している場合には道路法違反となり、6箇月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金が科せられる可能性がある。
・・・とのことで、ほぼガイドラインに記載された通りの回答。
尚、オフィシャルサイトには、法律の規定ではないが以下の記載がある。
「「厳冬期は無理でも開山直前や閉山直後なら行けるんじゃないか」と考える人がいるかも知れません。しかし、開山前後の時期は、山小屋の補修・改修が行われたり、導流堤などの設備を工事したりするなど、富士山の各施設のメンテナンスのために必要な貴重な期間です。厳冬期以外の限られた期間に、天気も見ながら予定の工事をやり遂げなければなりません。山小屋前の登山道が塞がれ、資材を運ぶ車両が行き交う中で登山者が登って来る行為はどうでしょう? 作業の支障となり、富士山に「迷惑」となります。次の年に向けての大事なメンテナンスでもあることから、ぜひご理解頂きたいです。」
次に、登山道を利用しないで登山することを法律的観点で調べてみた。
富士五合目以上は、国立公園の特別保護地区・特別地域に指定されており、植物を踏み荒らしたり、石を動かしたりすることは自然公園法で禁止されており、罰則もあるが、歩くことそのものを禁止する条文は自分が調べた限り自然公園法では見あたらなかった。
尚、オフィシャルサイトでは、法律の規定ではないが「登山道を外れて歩くと落石を起こす可能性があります。過去には落石による大事故も発生していることから、歩行の際には登山道を外れることがないようにしましょう。」と記載されており、モラル面では大きな問題がありそう。
尚、8合目以上に関し、富士山本宮浅間大社が、所有する土地(県道等以外の部分)に踏み入ることを禁止しているかどうかまでは、今回は調べていない。
以上までが、今回調べて判ったこと。
以下は、自身の結論。結局、閉山期に富士登山をする場合、法律的及び自然保護の観点から最も問題が生じなさそうな登山形態は、おそらく、「(十分な装備等のもとで)積雪期に、登山道を通らず(そもそもどこが登山道か判らないかもだけど)、雪や氷で覆われた斜面を登ること」であり、自分には到底できないレベルの登山。
ということで、閉山期の富士登山はすっきり諦めることができた。
尚、オフィシャルサイト及びガイドラインは、誤解を招きやすい記載になっているように感じる。書き方を改めたほうが良いのではないかなぁと個人的には思う。
https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/072/062/mtfujilaw.pdf
法的にはガイドライン(指針)より県条例の方が上位です。もっとも道路法は国会法ですが。もし、静岡の県知事の名で発行された入山証があっても登山道を通ったと道路法で逮捕されるのでしょうか。それとも登山道を通る計画では入山証は交付されないのですかね。
御記載の条例は自分も見ています。が、これは開山期に係わるものであり(第2条(2)「登山者 開山期に富士登山をする者をいう。」、閉山期に関するものではありません。静岡県議会が今年から料金徴収する為に3月に可決した条例です。
大変に失礼致しました。御教授ありがとうございます。
ガイドラインには
夏山期間以外の時期は、充分な技術・経験・知識としっかりとした装備・計画を持った者の登山は妨げるものではない
とある一方で
なお、「登山計画書」を提出したとしても、そのことをもって登山道の通行を許可したことにはならない。
ともありました。
ブルドーザー道はどうなのでしょうね。
手っ取り早くChatGPTに調べて貰ったところ、ブル道に関しては以下の通りでした(要約)。直接それぞれの出典を確認してはいませんのでご了承ください。(疑義があるようでしたらご自身で確認頂けると助かります)
・静岡県・山梨県や地元山小屋組合は、ブル道について「資材運搬専用であり登山者の通行は禁止」と明示している。
・法律そのものに「登山者はブル道を歩いてはいけない」と書かれているわけではない。
・但し実際には、
1.土地所有権(国や県)による立入禁止権限(民法)
2.自然公園法による利用規制(植生破壊等の観点)
3.行政や管理者の禁止表示・規則
に基づき、「一般登山者がブル道を通行することは許可されない」状態になっている。
夜分 遅くに、こんばんは〜 😊
私は、3年か 4年前に
主杖流し・執杖流し を 登ったのですけれど
今度は、箱荒沢 から登って
帰りは 主杖流しを下ろうと思っています
登山道を歩いて、捕まるのはイヤなので〜 😬
今、YAMAPから ヤマレコへ
移行してみました
写真は、もう 全て 消しちゃったので、
写真無し です
バリルートですね。他の方の写真付きの記録も少し拝見しましたが、自分にはちょっと無理そうなレベルです。 尚、バリルートの法的扱いは調べていません。記載したように8合目以上は浅間大社の所有地ですが、5合目〜8合目の土地(登山道以外の部分)の正確な所有者、管理者を調べるのが難しかったのと(山梨県側は山梨県、静岡県側は国、という未確認情報もありますが)、仮に国・県だとして、そこから更に、歩くこと自体の法的根拠を正確に調べるのが難しく、この点に関しては日記の記載通りの内容となりました。なので調査はここまでとしたいと考えています。想像ですが、行政としての要請、条例、自然公園法のレベルを超え、民法などの上位法域に踏み入る必要があるように思います。
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