歩きはじめたのは私ひとりだった。
まもなく別の登山口から登ってきた男性と一緒になった。山慣れた感じで歩くのも早そうだ。私は普段通り挨拶して、先に行ってもらうつもりだったが
話し好きなのか、自分が80歳でこの山には毎週登っていることや、歩き方を指導してくれる…そんなに休んではダメ、もっと早く歩きなさい…洋服を着過ぎだから、脱ぎなさい…
山で会ったときは挨拶してふたこと、みこと雑談するのは歓迎、むしろ挨拶して無視されたときよりココロが温かくなる。
しかし、ずっと一緒に歩いて世話を焼かれては気が休まらない。先に行ってもらうよう何度もお願いしたが離れてもらえない。私の足が早ければ追い越して離れることができたのだが…情けないことに80歳相手でも無理そうだった。
結局、頂上まで一緒に歩いた。この調子だと下山も一緒になってしまうので、そのヒトが食事の準備を始めたのを確認してから、写真だけを撮って急いで下山した。富士山を眺めながらの山ゴハンを楽しみにしていただけに残念で仕方なかった。
初心者っぽい女性がひとりで歩いていたら世話を焼きたくなるヒトがいるかもしれないが、意気投合したわけでもなく、頼まれたのでもなければ、これは迷惑行為かもしれない…
沈黙を楽しみ鳥の声を聞き、季節の花を探して自分のペースで歩く、景色を眺め写真を撮り、オヤツや山ゴハンを食べる…ソロなりに楽しんでいるのだから。
何年もずっとモヤモヤしていたことを書かせていただきました。読んでくださってありがとうございました。