遭難者、S さん(京都在住の医者、63歳)は先週の土曜日(1/31)に家を出て、翌日曜日に家に「道に迷った」と連絡があった。それから、家族から警察に連絡があったとと思われるが、時間は分らない。何処から電話があったかも分っていない。ただ、電波の方向が比良山の方だと言ふ事だけが分っていた。
これだけで、遭難したと言われれば、警察も消防も捜索をしない訳にはいかないが、まるで雲を掴む様な話ではないか。実際にその他の団体、岳連なども、どう仕様もない中、各々が思い思いにあちらこちらを探し回っていたようだ。
上の方は2mの積雪が在ると言ふのに、犬も歩けば棒に当たる、と言ふ訳には行かない。
◆ 私は、心無い登山者の為に、皆さん大変だなぁ・・と思っていた。こんな骨折り損のくたびれ儲けみたいな事を、何時まで続けるのかと心配していた。
そして、今朝、2/5 に捜索を打ち切った事を聞いた。私は正直な所、ほっとした気持ちになった。
◆ 私が不可解なのは、登山やBCの遭難が多いと厳しく言われている最中に、何でこんなに幼稚な遭難が起きるのか、と言ふことだ。
◆ S さんは京都在住と言ふ事だから、比良山は十分知っていて、恐らく何回も登っていると思われる。
だからかどうかは分らないが、登山届けも出さず、家にも何処へ行くか言っていない。
◆ 車で出かけていたら、その登山口が分るが、そうではなく、バスで来たのだろう。
◆ 本人から家に連絡があったのは、日曜日と言ふから、土曜日に既に道に迷っていたのか、それともテン泊の予定で、日曜日に遭難したのかもはっきりしない。
◆ 私が一番惜しい事をしたと思うのは、S さんが電話をした時、家ではなく、先ず警察か消防に電話すべきであった事だ。
家に電話しても、家人には山の中の事は分らない事が多い。まして何も知らせず、ルートを書いたもの等残していない様な時は尚更だ。
それより、何時まで通話が出来るか分らない様な緊急の場合は、警察に真っ先に通報すべきだ。そこには山に詳しい担当者がいる筈だし、少なくとも何処から登って、現在どの辺りにいるか、と言ふ肝心な情報は伝わる筈だ。
◆ これに似た遭難は、数年前に実際に神戸の鉄拐山であった事だ。その時、老人は崖から谷に落ちた。怪我はしていたと思われるが、先ず奥さんに落ちたと連絡した。そうしてる内に電話が不通になり、結局はっきりした場所がわからず、4〜5日後に、落ちたと思われる場所から随分下の方で発見された。明らかに数日間は生きていたのだ。
◆ S さんは、大変横着な登り方をする割には、残念ながら、肝心の事を知らなかったとしか言いようが無い。恐らく、自分が遭難するなんて全く思っていなかったのだろう。
私はこんな遭難の経験が無いが、人間パニックになると、思い付くのは奥さんの事かも知れない。
矢張り、常日頃からの心がけと言ふか、メンタルトレーニング等のリスク管理が必要なのは、現代のリスク社会全てに亘る、必須条件だと思う。
そして、私は一昨日、日記に書いたばかりだが、「自己責任と思っているかもしれないが、自分で責任を取れない事もある」といふ言葉を肝に銘じなければならないと、改めて思う。
特に登山の場合、自己責任とは、無責任の空論でしかない。
武奈ヶ岳は完全に裏日本の気候で、我々が思う以上に雪が多い。それに地形が複雑で、冬だけでなく夏でも遭難が絶えない不思議な山だ。それだから面白いともいえるが・・・。
S さんが、早く見つかる事を願いつつ、捜索活動に携わった方々のご苦労を労いたいと思います。後ろ髪を引かれる様な気持ちでしょう。ほんとにご苦労さんでした。
mesnerさん、こんばんは。
仰る通りで、登山届は必ず出しましょう。。
私も今迄出した事が無いので耳が痛いです。。
捜索隊も何処を探してよいのか、時間のロスで助かる命も助からないことに。。
それと電話は必ず、警察か消防へかけることですね。話が直接かつ専門家に繋がりますので救助の確率は断然違うでしょうね。。
mesnerさん、良いご意見ありがとうございます。私も次回の山登りから必ず登山計画書を提出することにいたします。。
moto さん、今晩は。 コメント有難うございます。
これ程、真っ正直に、ストライクゾーンの満々中に、直球で返球されたようなコメントを貰うと、私がこっ恥ずかしくなります。私も結構ずぼらですから。
ほんとに、電話は大事ですよね。従って予備の電池も。
少なくとも、家族に予定のコース位は書いて残しておくこと。
あとは途中の困難な事態を想像して、備えがあるか? 代替案は? とか想像力が大切だと思います。
自己責任と唱えて、それで責任を果たした気にならない事ですね。山行が終わるまで責任を果たした事にはなりませんから。
登山者にとって、自己責任とは、無責任な空理空論ですから、その事をよく理解して、肝に銘じておく必要があると思います。
初心者単独犯の私には他人事では無い記事です。
日ごろの里山でのトレーニングさへ道間違いをしてます。、
なかでも下り、迷っての沢筋は危険だと体験しました。
命が欲しいと言う歳でもないのですが、人様に迷惑にならないように楽しみます。
もしも遭難したら家族より警察へというご指摘は、勉強になりました!
yokappe さん、今日は。
コメント有難うございます。 私の記事が役に立つとは、一生懸命に書いた労が報いられたと言ふ思いで、嬉しい限りです。
私は以前に、電話の件で、友人に頼んで(私も単独が多いので)、アンケートして貰ったことがあります。その時は、警察が先だといった人は、女性が只一人でした。十数人のメンバーの3/1は男姓だったのですよ。
だから、私はこれが登山者の常識になって欲しいと思っています。
もう一つは、「自己責任」とは、登山の場合は空理空論だと言ふ事です。山に入ったら家族ではなく、警察が連絡先だと言ふ事です。それを意識するだけで気持ちがシャンとなります。これも常識になって欲しいですね。
それに、沢に迷い込むのは危険ですが、道迷い遭難は意外と低山が多い事も知っておいて下さい。木が多く見通しが無い山は、地図とコンパスが頼りです。GPS も地図が読めないと意味ないですから。
mesnerさん、こんばんは。
ほんとに手探りの状態です。
警察への通報も、電波状況がかなり悪かったと聞いております。もし担当者とやり取りができ、現在地をどのあたりまで把握していたのか、どちらに下山しようとしていたのかが確かめることができれば、かなり絞って捜索が実行できるのに、ほんとに歯がゆいです。レスキュー比良の活動に参加させていただいて、土日も、正面谷の小屋に詰めていましたが、新たな情報は、現在も入っていません。後ほど、日記をUPします。
chura さん、今晩は。 コメント有難うございます。
レスキュー比良の記事は何時も読ませて貰っています。
chura さんは、その活動に参加されていましたね。何時もご苦労様です。
今回の遭難は、ほんとにご苦労さんとしか言い様が有りませんね。私は何と言ふ能天気な遭難者かと思いました。
捜索隊の方々は、大変気の毒な事だと思いました。
夏場に初心者が道に迷って居場所が分らないと言ふのとは違い、厳冬期の雪の中に行くには、あまりにも不用意だったと思えてなりません。余りにも慣れた山で緊張感を持たなかったのか、それとも何時もそんな登り方だったのでしょうね。でも、何時もそう上手く行くとは限りません。先週の土曜日は悪天候だった筈です。
聞くところによると、京都の診療所の所長さんで、立派な仕事をされていた方らしいですね。そんな方が気の緩みと言ふか、不用心で命を無くされるとはとても残念です。
今後の捜索も、例え雪が融けてきたとしても、場所の見当が付かぬ限り難儀しそうですね。
これからも大変ですね。ほんとにご苦労さんです。
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