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『歩行路の傾斜,歩行速度,および担荷重量との関連からみた登山時の生理的負担度の体系的な評価〜トレッドミルでのシミュレーション歩行による検討〜』
というものがある。
登山(傾斜を登る/下る運動)における身体への負荷について研究した結果をまとめたものだ。
この論文によれば、登山の負荷は重量(体重+装備重量)と移動速度(上下方向への移動量/移動時間)で導き出せる。
重量、傾斜、速度を様々に変え、運動した際の酸素消費量から消費カロリーの算出もしている。
最終的には、登山者がどれくらいのペースで歩けば疲労せずに効率良く歩けるのかを指標化することを目的としているようだ。
写真1に、計算式とグラフを載せた。
人によって誤差は当然あるだろうが、だいたいの消費カロリーが計算できるようだ。
計算式にはあくまでも標高差と移動時間しか入っていないので、傾斜角度は負荷とは直接的な関係はない、という結論のようだ。
例えば、
標高差50mで距離300mの傾斜(ゆるめの坂)を1分間で登った場合と、
標高差100mで距離300mの傾斜(かなりキツイ坂)を2分かけて登った場合とでは、
どちらも1分あたりの消費カロリーは同じ。
もちろん、キツイ坂のほうが2倍時間がかかっているわけだから、合計の消費カロリーには倍の差があるわけだが、単純に1分間あたりの身体の負荷という点では同じ。
要はペースを調整さえすれば、キツイ傾斜でもゆるい傾斜と同じ負荷で登れるということになる。
論文の狙いもこの点にある。
登山者が自分に最適なペースを把握することで、体力的な限界に達することなく安全に登山ができることを目的としている。
もちろん、これは時間とのトレードオフだ。
山では活動可能時間の制限や気象条件の問題があるから、時間がかかる=リスクになり得る。
だが、十分に余裕のある計画を立てられるのであれば、傾斜のキツさは時間をかければ解決できるということだ。
……って、何だか当たり前の話のような気もしてきたぞ?
何はともあれ、山での消費カロリーを計算したい方は参考にしてみてくだされ。
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