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当時書き残しておいたことを、ここに載せておきます。
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今日は、もう少しで遭難事件に遭遇する所だった。
鷹ノ巣山から石尾根経由で下山する途中、小学校3年生くらいの男の子を連れた中年の男性が私を追い抜いて行った。
恐らく親子連れだろう。
この2人と私以外に、石尾根を歩く人は全く見かけなかった。
私が男性に「こんにちは」とあいさつしたのだが、男性は私を完全に無視して、子供に「早くしろ」などと言いながら先に行ってしまった。
ところが、その数十分後、男性のペースが早すぎて子供が遅れてしまい、父親を見失なってしまったようだった。
男の子は(子供にしては)かなりのハイペースで追いかけていたが、10分ほど歩いても追いつかないとわかると、今度は立ち止まってきょろきょろと周囲を見回りはじめた。
このとき、私からも父親の姿は全く見えず、男の子は数十m先を歩いていて、私の位置からは見えたり見えなかったりしていた。
これは、非常に危険な兆候である。
よく知られているように、道迷いをする可能性は、登りよりも降りる時の方がずっと高い。
男の子が、「自分は迷子になった」と思い込み、ルートを変えてしまうと、父親に永久に再会できなくなる可能性がある。
石尾根は基本的には一本道なのだが、地図には無い巻き道が何か所かあり、分岐に気付かず行き過ぎてしまう事がある。
また、この時期は落ち葉が尾根全体を埋めつくしていて、場所によっては道を見つけにくい。
エスケープルートはあるが、どの道を行っても下山するまで2時間はかかる。
私が男の子に追いついて話を聞くと「3時までに奥多摩駅に行きたい」と言う。
いまはちょうど13時だ。
ここは将門馬場の近くで、普通に歩くと、奥多摩駅まで3時間はかかるはず。
標高差も900m近くある。
どういう事情があるのか知らないが、大人ならともかく小学生が2時間で行くのは相当きついと思う。
男の子を問いつめてもしょうがないので、それ以上詳しい事は聞かず、
「がんばってお父さん追いかけようぜ」
と励ましながら、2人で歩いて行った。
十数分ほど歩くと、100mくらい先に父親が立ち止まって待っているのが見えてきた。
男の子は私に「ありがとうございます」と礼を言って、父親の所へ走って行ってしまった。
父親は相変わらず私を完全に無視していて、子供に二言三言何かを話して、またすごい勢いで歩き始めた。
ただ、さすがに子供を置き去りにしないように気をつけてはいたようだった。
この後、30分くらいは2人が私の前方を歩いているのが見えたが、やがて遥か下界に消えてしまった。
しかし、この親子のおかげで私も下山するペースが上がり、奥多摩駅に着いたのは15:10頃だった。
数分前に電車が行ってしまった直後で、あの親子は駅にはいなかった。
保険金目的なのか、愛情がないのか、連れ子なのか、いろいろ空想させる目新しい怪談を読んだような読後感と後味の悪さが良い。
240さん
あれは一体何だったのだろうと、今でも思い出すと気になります。
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