大学時代にその著書を貪るように読んだ社会言語学者、鈴木孝夫氏が亡くなったと新聞の訃報欄に小さく出ていた。『ことばと文化』『ことばと社会』『武器としてのことば』などは45年以上たった今でも我が家の本棚にある。中でも岩波新書『ことばと文化』は思い出深く、人称詞の特徴について書かれた章は特に印象に残っている。「私」はいつでも「I」である欧米人と異なり、日本人は相手との社会的人間関係において「私」であり「パパ」であり「おじさん」であり「先生」となり、自分の妻なのに「ママ」と呼びかけ、血縁関係にない店員さんに「おねえさん」と呼びかける。今まで気づかずに使っていた日本語の特徴の考察に引き込まれた。一人称も二人称はその関係性に応じて、無限定に広がり続ける。日本人は自己規定を他者に委ねていて、他者に「同化」し、他者に「依存」することで自分が誰なのかを知るとあった。
ご冥福をお祈りします。
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