天辻峠は古くからの西熊野街道の難所で、吉野川から紀伊水道へと流れる紀の川水系と十津川から熊野灘へと流れる新宮川水系を分ける分水嶺でもあります。峠を越えると現在は五條市となった旧・大塔村で、古くは「遠津川」と書かれた十津川郷に入ります。
そんな山深い天辻峠をかつて鉄道で越えようとした計画がありました。五新鉄道とも呼ばれる国鉄五新線で、字の通り奈良県五條市から紀伊半島を縦断して和歌山県新宮市までを結ぶ計画で、大正時代にはすでに予定線に掲げられていました。
戦前から工事は始められ、1972年にはその天辻峠に全長5039mの長大トンネルが開通しますが、各地でローカル線の廃止が取り立たされるなか、結局五新線は一度も列車が走ることなく1982年に工事は凍結されます。
それから40年、今また天辻峠に新たなトンネルが計画され、全長130kmの地域高規格道路・五條新宮道路の建設が進められています。
鉄道としては技術的にも採算的にも厳しかったと思いますが、紀伊山地を貫くルートは昔も今も重要な道であることには変わりなく、紀伊半島縦断を夢見てずっと昔に新宮を目指した五新線が、なんだか誇らしく思えてきます。
国道168号線を車で通ると、
各所に見える鉄道遺構。
ビデオを見せて戴きましたが、
あれもこれも見おぼえがありますよ。
阪本のニュートリノの観測所が遺構だったとは知りませんでした。
そうですね、168を走ったことがある方なら必ず目にしているはずの五新線跡、自分も走りながらいつかゆっくり訪ねたいと思っていました。
専用道を走っていた路線バスも廃止になって多くの遺構がそのまま放置される中、一部専用道跡と城戸駅跡が地元の方などに利用される他は、ひっそりと西野トンネルがシイタケ栽培に、天辻隧道がニュートリノ観測施設に利用され、鉄道の夢は破れましたがまだ現役で利用されていることにちょっと嬉しく思います😊
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