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2020年11月28日 18:05未分類全体に公開

黄昏高取山 半世紀前のXmas三段ケーキを想い馳せ…(*´ω`)

はい、今街は クリスマスイルミネーションできらめいています。
まだ、1ヶ月程先なのに テレビのCMも 近くのホムセンまでも 
Xmas色にどっぷり 浸かっています。

♪雨は夜更け過ぎ―に 雪へと かわるーだろう
(兄は夜更け過ぎーに 雪江と かわるーだろう) なんて替え歌も ありましたがっ(笑)

そんな時期になりますと、
あの クリスマスケーキ事件を思い出します・・・。
幼稚園の時のお話ですから、半世紀以上も前(笑)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「平野屋のパン」のショーウィンドウは、またたくまに三人の吐息でくもりました。

ふくだくんは、もろに顔をくっつけるものですから、鼻汁がガラスにびよよーんとひっついて 華のある超豪華三段ロケットXmasケーキが なんだか 小汚く感じるようになりました。

うん?

なんと ふくだくんが ショーウィンドウの後ろのすりガラスに手をのばしたのです。
「あくかなぁ・・・」
「あくかいなっ!」
「ずりずりずり・・・」
「あいたっ!」

その瞬間にふくだくんの指先がケーキに向かって伸びて行きました。
そしてケーキについている生クリームをちょいと指先で ほじくりだしました。

「ぺろん」
ふくだくんの顔が ふにゃふにゃになり、
「あーーーー。」とこの世に無い幸せな声を発し、天使になりました。

当時は、安物のケーキは、バタークリームでできており、それがろうそくみたいに固くって、とても「くりーむ」とは言えないシロモノでした。

なので このような生クリームなど 誰も食べたことがないのです。
じゅんたろーも すかさずウインドウ裏に手をのばして
「あーーーーー。」の天使

ためらっていた まえだくんも
「あ−−−−−−−・」の天使

「あーーーー」と三人の天使さんが できあがりました。

すると、中からパン屋さんのドアをあけて お客さんがでてきましたのでそれはもう、蜘蛛の子を散らすように 猛ダッシュで天使さん達は、パン屋の裏手にある御影石とコンクリートむき出しな階段に にげこみました。

その階段からは、高取山に沈む夕日がきれいにみえました。

「おいら・・・もういっかいだけ たべたい・・・」
ふくだくんが しみじみ いいました。

「いくか?」

「いく いく」

三にんの 天使(小悪魔)たちは、こそこそと またパン屋(平野屋のパン)に近づきました。
そーーっと ウインドウの裏に手を伸ばし・・・
今度は、大胆です。
クリームだけではなく スポンジまで にぎりしめて とりだしました。

「くぅーっ」

「くぅーっ」

「くぅーっ」

これは、まったくの別世界の味・・・・

「かいだんまでいって ゆっくりたべようや!」

「うん」

「うん」

大きな夕日にてらされた 白いスポンジつきの生クリームは、まるでダイヤモンド。たまらない食感。

「死ぬか?」

「しにそう」

「しんでもえーわ」

どうしたん?

おいら も も もういっかいだけ いく・・・

あかん、もう ばれそうや

ばれそうやって・・・やめとけっ!

っといいながらも・・・三つの伸びた影がパン屋さんに近づきました。
三人の夕日にてらされた長いひとかげが パンやさんに しのびよります。

もう、慣れた手つきで、そこは わしづかみ・・・
最後のまえだくんも わしづかみにしたところ・・・
三だんXmasケーキが 倒れてしまったのです!

「わーーーーー!」

ふくだくんが さけんでしいました。すると・・・
その声に気づいたのか、お店の人がでてきましたっ。
一気に 階段に逃げ込む小悪魔三人衆。

「ふー・・・」

「あほっ なんでこえだすねん!!!」

「う。」

「ごめんなさい」

わしづかみにした ケーキは 思いっきりはしったので
小さなかわいい手の中で ぐっちゃぐちゃに なっていました。
それでも 幸せそうに ぺろぺろと その手を猫のように しゃぶっていました。

すると、もう すっかりうすぐらくなった 階段に パン屋のおばちゃんが かけのぼってきたのです。

「あんたら、ケーキたべたやろっ!」

「えっ?けぇきぃー?」

「そんなん しらんわ」

「なっ。」

「うん うん。」

「ちょいと!ほんまにケーキ食べてないねんな!」とすごむ おばちゃん。

「たべてへんしー」

「なっ。」

「うん うん。」

口のまわりに いっぱいの生クリームをつけた
白鬚もようになった三人のサンタ?さんは、

「たべてへんしー!」

と かわいく いいつづけるのでした。 ー完ー

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先日、実家に寄った際に、 平野屋のパン屋さんが まだあるのか? と 散歩にでかけました。
中学校の門の前にあった 立派なデカいパン屋さんは潰れ マンションに変わってしまっていました・・・(*ノωノ)
でも、その 小さな一角に・・・・

どっこい、生きていました(^^)/  規模は当時の半分の半分? 程になっていましたが、半世紀を過ぎても 営業していたのが 嬉しかったです。

そして 階段に座って 夕陽に染まる高取山を 
黄昏オヤジに なってしまった私は
あの時(幼稚園5才)の気持ちになって
しばらく じーっと 眺め続けていました。
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