数年前であるが、東名高速浜名湖サービスエリアを眼下に望む、とある展望台で写真撮影をしていた時のこと。
そこは、天浜線(天竜浜名湖鉄道)の、寸座駅と西気賀駅の間、プレジャーボートのマリーナ手前を左折し、狭いミカン畑を車で上り詰めること5分ほどのところにある、一部木造づくりの展望台であった。
雲の少ない春先の夜半と決め、広角レンズでの星の軌跡と、眼下に広がる東名高速の車の光跡、そして遠景の浜松市街地の夜のネオンを同時にとらえようと考えたものだった。
当時は、中判フィルムカメラの広角レンズでのセッティングで、しかも標準広角であったため、上記の被写体を十分に画角に収めることはできず、新たなレンズを用意しなければ撮ることができないという挫折の念にかられる撮影行であったことを覚えている。
明かりのない展望台では、ヘッデンに赤セロハンを巻き、早春の冷え冷えとした夜空の下、ダウンパーカーと、スキー用の手袋で長時間露光を、画角を変えては何度も行っていた。しかしながら、何となく、暖かく感じた。
そんな状況で、撮影に夢中になっていると、カメラバックを置いた木製のベンチに人の気配がした。私は、挨拶は自分からするものと決めているため、「こんばんは」と声掛けをしたが、そのお方は、何もおっしゃらずに、なにか菓子パンのようなものを食べられていた。
私は、こんな寒空の夜中に、わざわざここで菓子パンを食べるとはと思いつつ、私もこんなところで撮影をしているとの思いが交錯しながら、長時間露光を30分から1時間ときめて、レンズの方向を向いていた。
集中していたせいかどうか、つぎのレリーズのタイミングでは、そのお方はすでにいなくなっていた。
展望台の駐車場は、普通車が5台とめれば満車となるほど狭く、帰路のためには駐車場内を何度も切り返す必要があったのであるが、現地に到着した時は私のみで、レリーズの前後、車の移動もなかったはず。
当然のことであるがフィルムカメラであることでの、デジタルカメラの様に撮影した状況は見返すことなどできないため、仕上がりは現像後の楽しみとして、早朝のモルゲンロートと、遠く富士山がシルエットとして確認できるまでをタイムリミットとして、御来光できりを付けた。
駐車場には、撮影のため日の出直前に来られた若者の車と、私の車のみが止まっていた。
数日後、ポジフィルムの現像を確認すると、不思議な情景が映っていた。
それは、ブローニ220、2本の、40数コマのうちの10コマほどに、ぞくにいう「オーブ」のような白い泡状のものが、大小様々画面全体無数に映りこみ、肝心の星の軌跡や東名高速や浜名湖サービスエリアの車の軌跡、浜松市街地のネオンなどはまったく映っておらず、モルゲンロートの情景のみのポジであった。
近所の写友にも見てもらうが、レンズ面のほこりや、水滴でもないことも明らかで、ポジの枠外には、絞値(最小)、レンズ種類、バルブの時間数などが記録されており、偽りのない記録がなされていた。
しかしながら、帰宅後なんだか気味が悪くなり、そのコマのみ廃棄した。
デジタルに移行してからは、そうした経験もなく、その展望台へも出かけていないが、今度行ってみようか。
この時期らしい背筋が涼しくなるお話 読み入りました。
私は不思議な体験したことは無いですが(金縛りぐらい)結構信じています。
こんにちは。
ご返信ありがとうございます。
証拠となるコマはすでに処分しましたが、写友も私も記憶に残っております。
もともと霊感は強くないと思いますが、山へ入るときや、はじめて訪れる場所では、心で「今日はお邪魔します。よろしくお願いします」と念じてから行動を起こすようにしています。
また、災いはいまのところないと思っています。
何かあったときは、報告したい思います。
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