もともと推理小説を読むのが好き。
山によく行くようになって、ふと「どうせ読むなら山が舞台になってる小説を読みたいな」と思って探してみた。
そんな中で見つけたのが森村誠一の「密閉山脈」。
1971年に刊行されたとあるから50年以上も前の作品。
でもそんな古さは感じられず、気がついたら引き込まれてあっというまに読んでしまった。
舞台になっているK岳は鹿島槍ヶ岳なのだそう。
アルプスには行ったことがない私は、地理関係や雰囲気がわからないから読んでいてもぼんやり想像するだけだけど、実際にそっちのほうに行ったことがあればもっとリアルに情景が浮かんでくるのだろう。
さっき古さを感じない、と書いたけど、強いて言えばヒロインが美人で出てくる男性登場人物ほぼすべてからその美しさゆえにモテすぎる設定はちょっと古いかなー。
あらすじやトリックとか関係のないところで印象に残ったのは、滑落した場合の遺体の痛ましさと、山で荼毘に付したときの壮絶さの描写。
何もそこまで克明に書かなくても……も思わないでもなかったけれども、読後振り返るとそのリアリティ溢れる描写があるからこそ山の美しさや登山家の栄光といった光の部分だけではなくて、山の怖さや山に魅せられた人間が陥った闇みたいなものが胸に迫って感じられた。
単なるミステリーではなくて、まさに「山岳ミステリー」という感じ。
もっと森村誠一の山岳ミステリーを読みたくなった私は「日本アルプス殺人事件」をゲットしてきた。いま、山に行く途中でザックに入れて持ってきた。
でも、山で人が殺される小説を何も山に行く途中で読まなくても…という気がしないでもない。
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