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野口さんの父親が中東向けのODA(政府開発援助)を担当する外交官だったため、一般の子どもたちが見ることのない世界に触れる機会がありました。エジプトなどの国で過酷な現実を目の当たりにし、父親から「この状況を改善するためにはどうすべきだと思う?」と問われました。その時、世の中の本当の問題は、注目や光が当たる「A面」ではなく、しばしば見過ごされがちな「B面」にあることを学んだそうです。それ以来、野口さんはこの「B面」に焦点を当てて生きてきました。
この考え方は自然に、次のような活動へと繋がりました:
・エベレスト登山中のシェルパたちが直面する人権問題に対応するため、シェルパ基金を設立。
・日本の登山チームがエベレストを汚染したと聞き、ゴミ清掃活動を開始。その後、富士山に初めて訪れ、そのゴミの量に衝撃を受け、清掃活動に取り組むことに。
エベレストや富士山は遠くから見ると美しいですが、近くに行くとゴミだらけだったそうです。野口さんはこれらの問題に光を当て、一般の人々が見過ごしがちな重要な課題を社会に向けて指摘しました。
また、野口さんはシェルパたちが低賃金で登山者の荷物を運ぶため命を落とすことが多い事実に深い衝撃を受けました。エベレスト登山がただの登山挑戦ではなく、観光活動として人気を集める一方で、シェルパたちの命はほとんど無視されていました。これに対して、野口さんはシェルパ村に学校を建て、亡くなった人々の家族を支援するための基金を設立。これは登山者の間ではタブーとされており、この問題に光を当てることには強い反発がありました。
富士山での清掃活動でも、野口さんは最初、観光と環境保護のバランスを考えずに強く環境保護に焦点を当てていました。これにより、特に山小屋の経営者からの批判を受けました。しかし、対話と協力を通じて、観光と環境保護のバランスを取る方法を模索し、その結果、清掃活動のほかに、山小屋にバイオトイレが導入されることとなりました。
私はこの視点に非常に共感しました。意識的に努力しないと、私たちはどうしても社会の「A面」にばかり目を向け、しばしば無視されがちな「B面—直視したくない現実—」を見逃してしまいます。これは、私の仕事や私生活、さらには子育てにも当てはまります。今、私は「B面」に意識的に目を向けることの重要性を強く感じており、静かに他者を支えている人々の大切さを再認識しています。たとえば、6年生の時に小学校の用務員さんから「縁の下の力持ちの存在を忘れず、感謝するように」と言われた言葉が今でも心に残っています。
これらの経験から一番大切だと思うのは、目に見えるものだけでなく、反対側—隠れた重要な現実—にも目を向けることの重要性です。様々なバックグラウンドを持つ人々と接し、経験を共有し、自分の普段の環境とは全く異なる場所に足を踏み入れることで、新たな視点を得ることができ、「B面」をより意識できるようになります。この深い気づきを与えてくれた野口さんに心から感謝しています!
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