地図読みの師匠に、読図山行に連れて行ってもらった。
師匠は、これから歩くべき道が書かれ、その上に� 銑瓦凌�字がふってある地図を渡した。
ルールは二つ
・コンパスを使い、高度や地図と、実際の風景を照らし合わせながら歩き、数字が書かれている地点に着いた、と判断したら、「�，涼賄世肪紊�ました」というように報告する。（数メートルずれても、師匠は許さない）
・次の地点に行く前に、これからどのような道を歩くか、周囲はどのような状況か、などを、地図を見ながら推測する（師匠はチェックし、ダメ出しをする）
これを繰り返すうちに、地図と実際の風景が一致して見えてくるから不思議だ。
山が、今までとは違って見えてきた。
私は感心して「地図が読めるようになると、事前に危険個所が分かるようになるし、何か問題があった時は、地図に載っていない道を使ってエスケープができるのね」
と言った。
師匠は応えた。「そうね。でも、自分が、今、どこにいるかが正確に分かっていなければ、地図があったとしても、先のことも分からないし、エスケープルートも探せないのよ。だから、現在の位置を知ることが最も重要なの」
はっとした。
下界でも道に迷っているように感じる。過去を悔やみ、先のことを恐れて、動けないことがある。でも、まず、自分が今どこにいるかを確認することが必要なのではないのか。
ふと、そんなことを考えた私に、師匠は「今、私達は、どこにいると思う？」と問う。
その、厳しさと笑いにあふれた顔を見ながら、私にも、地図を読める日がきっと来ると思った。
