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(1)柴田(2000)本州中部の亜高山帯針葉樹林のきのこ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsk/30/0/30_KJ00001916478/_pdf
亜高山帯針葉樹林を対象として、森林ときのこ群集あるいは発生経過についてレビューされている🍄いい(*´꒳`*)
菌類を通して森を見る
(生成AIメモ)
この論文の主要なテーマとアイデアを最もよく捉えた8つの質問のFAQを以下に示します。
1. 本州中部の亜高山帯針葉樹林はどのような環境ですか?
本州中部の亜高山帯は、海抜1,700mから2,500mに位置し、北海道では平地から始まる地域です。代表的な樹木はシラビソ、オオシラビソ、トウヒ、コメツガなどで、北海道ではトドマツ、エゾマツ類が中心です。樹木の構成は単純で、大部分が常緑の針葉樹林です。年間平均気温は6.0〜11.5℃で、林内は暗く湿度が高く、地表面はコケ類で厚く覆われています。この地域は生物学辞典で亜高山帯と定義され、気候区分では亜寒帯に属します。
2. 亜高山帯の樹木とキノコはどのような関係を持っていますか?
気象条件の厳しい亜高山帯の樹木の多くは、大型のキノコ類と共生して「菌根(きんこん)」と呼ばれる特殊な組織を根に形成し、環境に適応しています。キノコと樹木の関係は必ずしも1対1ではなく、時に1対20や10対1といった複雑な関係が成立しています。厳しい気象条件や限られた樹木の種類がある亜高山帯の森林では、この関係がより顕著に観察されます。樹木はキノコの菌糸を介して土中の乏しい養水分を有効に利用し、キノコは樹木から養分を得ています。どちらか一方が欠けても厳しい環境に耐えることはできず、両者は助け合いながら微妙な関係を保っています。
3. マツタケはどのような樹木と菌根を形成しますか?
マツタケは一般的にアカマツの根と菌根を形成しますが、ツガやコメツガ、ハイマツ、エゾマツ、アカエゾマツ、クロマツなどの林でも発生が確認されています。特定のキノコが菌根を形成する相手は1種類の樹木に限らず、複数の樹木と形成できるのが一般的です。同様にアカマツもマツタケだけでなく、アミタケ、キシメジ、ショウゲンジ、ケロウジなど、多様なキノコと菌根を形成します。
4. 富士山の亜高山帯針葉樹林にはどのような特徴がありますか?
富士山は「キノコの宝庫」と呼ばれ、多くの人がキノコ採りに訪れます。富士山の森林は海抜2,300m付近のカラマツ天然林、1,700〜2,200mのシラビソ・オオシラビソ・コメツガ林、さらに1,500m付近のブナ林、1,000〜1,300mのアカマツ林と、狭い範囲で多様な樹種が見られます。これらの樹木はすべて菌根を形成します。富士山の土壌は主に富士砂と呼ばれる火山噴出物で構成され、樹木の根を除くと地中の有機物は少なく、地表面に落葉などが堆積している程度です。土中の栄養分が乏しい環境であるため、カビや細菌などの微生物の種類や量は貧弱です。
5. カラマツ林のキノコ相は樹齢によってどのように変化しますか?
カラマツ林のキノコ相は樹齢によって変化します。発芽後数年間はキツネタケによる菌根が形成され、キツネタケはカラマツ以外にも多様な樹木と菌根を形成します。樹齢10〜20年になるとカラマツシメジ、カラマツチチタケ、ハナイグチ、シロヌメリイグチ、キヌメリガサが多く発生します。この時期に発生するキノコは特定の科や属に限定されません。樹齢40〜50年の林では、カラマツシメジやカラマツチチタケの発生量が減少し、新たにキノボリイグチ、アミハナイグチ、カラマツベニハナイグチ、ウツロベニハナイグチなどが多く発生し、この時期が最も多くの菌根性キノコが出現します。70年を超える林では、ハナイグチ、キノボリイグチ、アミハナイグチ、カラマツベニハナイグチ、ウツロベニハナイグチなどのイグチ科のキノコやキヌメリガサ、オトメノカサといったヌメリガサ科のキノコが大部分を占めるようになります。100年生以上のカラマツ林では、カラマツの下にシラビソやオオシラビソの稚樹が生育し始め、カラマツシメジ、カラマツチチタケ、シロヌメリイグチなどはあまり見られなくなり、代わりにウツロベニハナイグチやアミハナイグチなどが目立つようになります。
6. 亜高山帯針葉樹林におけるキノコの発生時期はいつですか?
平地に近い林では、キノコの発生が最も多いのは9月〜10月ですが、亜高山帯針葉樹林では年間最高気温が16℃を超えることはほとんどなく、地中温度の年間最低値は-7℃前後で、1年の約半分(11月中旬から5月中旬)は土壌が凍結するため、菌糸の生長はほとんど見られません。実際にキノコの菌糸が活発に生長し、菌根の形成が盛んになるのは6月〜9月の4ヶ月間に限られています。地中温度が21℃を下回る時期がキノコの芽の形成開始時期ですが、その時期の水分不足はキノコ発生の障害となります。亜高山帯林ではキノコの芽の形成時期は平地林よりも少し早い可能性があります。
7. 降水量と亜高山帯林におけるキノコの発生にはどのような関係がありますか?
降水量とキノコの発生には密接な関係があります。8月下旬から9月中旬にかけて雨が多い年はキノコ全体の発生量も多くなりますが、雨が少ない年はその逆となります。中部日本では、いわゆる秋雨の時期にまとまった降雨がなければ、キノコの発生は良くありません。特に8月あるいは9月の降雨とその後の定期的な降雨がキノコ発生に大きく影響します。降水量の多い富士山(年間2,000mm以上)と少ない八ヶ岳や秩父山地西部(年間1,600mm以下)では発生するキノコの種類が微妙に異なります。富士山ではキイロケチチタケやフジウスタケ、オオモミタケなどが多いのに対し、降水量の少ない地域ではこれらの発生は見られないか、ごく少ないです。
8. なぜ「キノコを通して森を見る」ことが重要なのでしょうか?
キノコと樹木は相互に関わり合いながら安定した生態系を築いており、この微妙で安定した生態系は、一度壊されると回復に長い年月を要する可能性があります。キイロケチチタケの発生量の減少に見られるように、健全に見える森林も少しずつ変化しているかもしれません。キノコは環境の変化に敏感に反応するため、森林環境全体の指標となる可能性があります。キノコを単なる食用や毒性の有無で判断するだけでなく、その生活とそれを支える森林に関心を持つことで、生物多様性の理解を深めることができます。
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