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初体験は幾つになってもドキドキするものだ。
徒歩でしか行けない秘境、三斗小屋温泉。
初の山小屋泊に選んだのは煙草屋旅館さん。
14時過ぎに到着すると、雰囲気のある建物と
笑顔の従業員さんが出迎えてくれた。
畳に障子、窓に写る山の景色。
居ないはずの田舎のじいちゃんちに
来たかの様な懐かしさだ
宿は既に宿泊客たちで賑わっていた。
外には『沢の水で冷やされたビール』。
何というパワーワード!即購入して
震える手でプルトップを開けてゴクリ。
身体と心が弛緩していく
荷物を解き軽装になり、野天風呂へ。
ここには滅びた筈の『混浴』が残るという。
その響きに戸惑いと淡い期待を抱きつつ
向かう。そして期待は失望と安堵に変わり
湯はどこまでも心地良かった。
食事も良かった。
太鼓の音で集合し、宿泊客が全員一緒に食べる
合宿スタイル。ガス釜炊きの米が水々しい。
そして川魚の甘露煮と肉と味噌汁。
栄養補給という面で日本食がいかに効率的か
胃袋で再認識した。
電波は入らない。
BGMは沢の音と獣の鳴き声。
公衆電話は20秒400円。
SiriもGeminiもチャッピーも居ない
情報とデジタルから隔絶されたエリア。
情報過多の現代で、ここまで世の中との
繋がりを絶った経験は思いつかない。
でも人は情報がなくても水と食料があれば
割と快適に生きていける
『悪くないね』独り呟く。
夕食後もビールとウイスキーで宴は続く。
そして21時消灯。話し声も途絶え、
いびきと沢の音だけが一晩中響いていた。
翌朝、午前4時に起床。
野天風呂から明ける空を眺める。
夜から朝に変わるひとときを
硫黄の香りと共に楽しんだ。
朝食も終わり、装備を整えた勇者達が
次々と出撃していく。そしてそこには
笑顔で見送るご主人の姿があった
こうして今日も煙草屋の1日が終わり、
そして始まる。
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