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2025年06月16日 13:08未分類レビュー(その他道具・小物)全体に公開

熊鈴という無自覚な暴力

■ 熊鈴は本当に必要か?
熊鈴は、登山者がクマとの遭遇を避けるために鳴らす「安全装置」として定着している。しかし、それが本当に必要な場面は限られており、特に本州の都市近郊の低山では、その必要性はほとんど無い。

にもかかわらず、六甲山や高尾山といった観光地化された山域であっても、多くの登山者が当たり前のように熊鈴を鳴らし続けている。中には駅構内から鳴らし始める者すらいる。これはすでに「マナー」や「安全対策」ではなく、周囲への加害行為である。

■ 登山サークルでの「拷問音」
登山サークルの集まりなどで、複数人が隊列を組んで歩くとき、先頭の人間が鳴らす熊鈴の音が、後続の人々の耳元に繰り返し響き続ける。この状態が何時間も続く。

「チリンチリンチリン……」

「ジャラジャラ……」

それはまるで金属バットで耳を殴られ続けているような不快さだ。

だが、その加害音の発生源は、悪意ではなく「善意」ゆえである。だからこそ質が悪い。加害者には自覚がなく、被害者が声を上げにくい。

■ 無神経の制度化
熊鈴を鳴らすことが「マナー」や「安全の証」として制度化されることで、無神経さが正義にすり替えられる。その結果、

他者への配慮を忘れた自己完結的な「安全」が優先され、

音に敏感な人や、静けさを求める登山者の存在が踏みにじられる。

まさに**“無自覚な暴力”が音として鳴らされ続ける構造**が、登山という共同体の中で常態化しているのだ。

■ 低山における過剰対策と恐怖商法
本州の多くの低山では、クマの生息域ですらない場所にもかかわらず、熊鈴の装着が「不文律」として扱われることがある。これは、以下のような心理的操作の結果とも言える。

「クマが出たらどうするの?」

「備えておいて損はないでしょ?」

こうした“保険”のような言説が、やがて無意味なノイズの量産を正当化していく。

■ 熊鈴は道徳的免罪符か?
熊鈴を鳴らす人々の多くは、それが「良い行い」であると信じている。だからこそ、指摘しても伝わらない。

「安全のためにやっているのに何が悪いのか?」

しかし、この言葉の裏にあるのは、自分の音が誰にどれだけの苦痛を与えているかへの想像力の欠如である。そしてそれは、都市社会における「正しさを振りかざすマナー警察」と何ら変わらない。

■ 結論:熊鈴は“万能”ではない
熊鈴が全否定されるべきとは言わない。しかし、

必要な山域

鳴らす時間帯

他者との距離

などの条件を考慮しなければ、それはただのノイズテロである。

もしあなたが「熊鈴をつけていれば安心」と思っているなら、その安心が、他人の神経をどれほど摩耗させているかに、少しだけでも想像力を働かせてみてほしい。


付録
熊避け?いや、人避けだ──“爆音一家”と登る低山の苦痛」

先日の六甲山での登山サークルに参加した際、久々に本格的な「音の暴力」に遭遇した。

ケーブル駅に集合すると、耳をつんざくような金属音が周囲に響き渡っていた。
見ると、ある母子連れの登山者。息子はこのサークルの常連だが、毎回低山でも熊鈴を付けてくる。しかも駅の構内でも鳴らし続ける。

その時点で「は?……頼むからやめてくれ」と内心で絶句した。

問題はそれだけに留まらなかった。
今回はその息子が“親御さん同伴”で現れ、母親がなんと巨大な熊鈴を2個も装着していたのだ。

想像してほしい。朝から下山するまでの数時間、ずっと「カランカラン」「ガラガラ」と鳴り響く音の中を歩く。鳥の声も、風の音も、森の静寂もすべてかき消され、登山道はもはや五重塔の回廊か、観光地の土産物屋の前。

注意したい気持ちは山々だが、相手は中高年の女性。しかも“息子の連れ”。
気を遣い、遠ざかろうとしても同じパーティーである限り、音からは逃れられない。
気がつけば、私はその日、山ではなく騒音と我慢との闘いをしていた。
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