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更新日:2019年08月15日 訪問者数:3717
登山・ハイキング 技術・知識
一眼レフ初心者向け「高山植物をきれいに撮るコツ」(その2)
Gen★chan
(その1)では基礎編をやりましたが、続編(応用編とでもいいましょうか)のその2です。
(その1)を読んでいない人は読んでから本ノートをお読みください。↓
(その2)目次
6.裏技マクロフィルターを使って切り取る
7.お花畑を撮る
8.光と影を生かす鉄板シチュエーション
9.アングルを変えて自分なりのオリジナリティを
10.お花は脇役でも使える
6.裏技マクロフィルターを使って切り取る
(その1)では構図と背景をポイントで説明しましたが、高山植物はいろいろな所に咲いており、そんなに都合よく良いアングルやコントラストの背景の場所には咲いていないことの方が多いです。
「花自体はきれいなんだけど、いい構図のシチュエーションがないな」という場合に使える裏技を紹介します。
マクロレンズをご存知でしょうか?マクロレンズとはいわゆる接写レンズといいますか、被写体にカメラを近づけて拡大して撮影する用途のレンズです。普通のレンズではそこまで近づくとピントが合いませんが、マクロ(接写)レンズは接近しないとピントが合いませんので逆に風景は撮れません。
花専門で撮る人はお持ちの方も多いのではないかと思いますが、風景も撮りたい人はわざわざレンズを取り換えないといけないし、レンズを1本余分に持って行かないといけないので手間です。
花も風景も両方撮りたいという方にお勧めなのがマクロフィルター(商品名はクローズアップレンズ)です。このフィルターを普通のレンズにつけるだけで普通のレンズがマクロレンズに早変わりします。
詳しくは下記のKENKOのHPをご覧ください。↓No1〜No5、10があり番号によって接近できる距離が変わります。番号が大きいほど接近できて拡大して撮影ができます。
クローズアップレンズNo.1〜No.10までの写り方の違いは下記を見てください。
ちなみに私はNo.3を使っています。
取り付け、取り外し方は以下の通りで簡単にできます。
クローズアップレンズ取り出し
クローズアップレンズを取り出します。
100均のコインケースをケース代わりに使用しています。
レンズにねじ込み
ねじ込み式ですので止まるところまで回して取り付け完了。これで普通のレンズがマクロレンズに早変わり。
フィルターを外すだけで元に戻ります。
このマクロフィルター(クローズアップレンズ)を使うとどう便利なのか例で見ていきましょう。
例1)クルマユリ(妙高山) 105mm/F4.5
空間を作って撮ってみましたが、背景までの空間があまりなくボケ味が足らなくて背景がごちゃごちゃしているのと周りの草も入り込んで邪魔です。
105mmではこれ以上拡大は無理です。
マクロフィルター使用
マクロフィルターを付けるとここまで拡大できます。
背景もよりボケるし、余分な草を構図内からカットでき主役がより引き立ちます。
例2)ミヤマシャジン(槍・穂高) 1O5mm/F4.0
これも105mmでは限界です。
背景までの距離が近くボケ味がいまいち。
構図内に同色のつぼみもはいってしまい主役を邪魔してしまいます。
マクロフィルター使用
ここまで拡大でき、構図内からいらないものを排除できました。
黄色い花が脇役となり紫色のミヤマシャジンを引き立てます。
例3)ヨツバシオガマ(妙高山) 105mm/F4.0
これは背景に空間がありうまくボケてくれてますが、手前の草が邪魔です。
マクロフィルター使用
ここまで拡大できます。
まったく違う写真になりました。
ヨツバシオガマのくちばしの様な花がきれいに撮れてます。絞り値はF4.0開放なので花びらによってピントが合わないものも出てきます。後は好みで絞り値を絞ればピントが合う範囲も広くなりますので何パターンか撮って、後で好きなものをチョイスすることもできます。
この様にマクロフィルターを使えば簡単に拡大したきれいな写真が撮れます。
鉄板の撮りかたと言ってもいいかもしれません。
7.お花畑を撮る
高山植物のお花畑を見た時の感動は忘れられないと思います。自然に咲く群生の美しさは人工的に植えられたものとは違い、自然の美しさがあります。
しかし写真に収めて後から見るとあの感動が表現できていないということは多いのではないでしょうか?
以外とその時の感動を表現するのは難しいのがお花畑の写真です。
人工的なお花畑であれば(淡路海峡公園)
人工的に植えられたお花畑であればきれいに密集して咲かせているのでこの様にお花の色が占める割合が多くなり普通にきれいに撮れます。
しかし自然に咲くお花畑はここまで密集していないので撮って後で見てみるとなかなか感動が伝わりません。
また花弁自体も大きくないのでこういった写真が撮れるシチュエーションはほとんどないのではないでしょうか
例1)ミヤマキンポウゲ(火打山) 50mm/F4.0
ミヤマキンポウゲのお花畑です。青空も入りこれはこれできれいな写真なのですが、やはり緑色の部分が大部分を占めるので実際に見たミヤマキンポウゲのお花畑の感動が伝わりません。
例2)ミヤマキンポウゲ(火打山) 88mm/F4.0
少しアップにしてミヤマキンポウゲの部分のみを切り取って黄色が占める割合を多くしてみました。密集して咲いている範囲を切り取っているので画角一杯に黄色い花が占めておりお花畑感が伝わりませんか。また、写っていない部分も含めどれだけ黄色一色何だろうという想像も掻き立てられ、実物を見た時の感動が伝わる写真になってるかなと思います。望遠の105mmまで拡大してしまうとお花畑感が損なわれてしまうのでズームでファインダーを覗きながらベストアングルを調整します。
例3)ハクサンコザクラ(火打山) 105mm/F4.5
目で見た時はハクサンコザクラの群生が一面ピンクで群生部分が脳の中で誇張され記憶には残りますが、実際に撮ってみると花びらも小さいので緑部分の割合が多くなり感動が伝わる写真になりません。
群生部分をアップにして切り取りました。ハクサンコザクラの群生は画角の半分くらいなのですが、池塘の青も入れることにより緑の占める割合を減らし、池塘の周りに咲くピンクのハクサンコザクラ群生が表現できてるかなと思います。
例4)ワタスゲ(妙高山) 92mm/F4.0
ワタスゲはすごくきれいで本当にたくさん咲いていました。画角一杯にワタスゲの白が入る様にファインダーを覗きながらズームを調整し92mmで収めました。前面でなく中心付近にピントを合わせることにより前ボケ、後ろボケがいい具合にフワフワ感を出してお花畑感が表現できているかと思います。
この様にお花畑は画角内にお花(の色)が占める割合を多くすると見た感動が少しは表現できる写真になります。
8.光と影を生かす鉄板シチュエーション
色とりどりの高山植物はやはり太陽の光があたることにより輝きを増します。
太陽が高くなると全体に光が当たりますが、太陽が低い朝の光が当たっている時の光と影のコントラストのシチュエーションがあればいわゆる「撮り時」の鉄板シチュエーションですのでこのチャンスを逃す手はありません。日の出後の9:00くらいまでの時間帯は注意して探してみてください。
例1)ミヤマキンポウゲ(火打山) 105mm/F4.0
8:14 太陽の光が当たる花と日影の花です。
光があたる花は浮き上がり日影とのコントラストで美しく輝きます。背景のボケも光が当たっている花と当たっていない花の見え方が変わります。誰が撮っても美しく撮れるシチュエーションです。
例2)ハクサンイチゲ(槍ヶ岳) 105mm/F4.0
7:25 花びらと茎の途中まで光が差し込んでいます。
茎も光が横から当たり透き通り美しいですね
日影の部分が暗いので茎から先が浮き上がって輝いています。これも鉄板シチュエーションでこういった写真になることを予想して撮っています。
例3)タマガワホトトギス(槍ヶ岳)105mm/F4.0
これは12:44と日は高くなってり下の葉っぱにも光が当たっています。太陽が高いことにより花びらの影がこの葉っぱに写り見事なコントラストを醸し出しています。
(マクロフィルター使用)
例4)イワギキョウ(槍ヶ岳) 105mm/F4.0
8:03花の柱頭の影が花弁の奥に×の模様になり映っており面白い写真になりました。太陽の光が当たる角度がちょうと×の影を作る角度になった時のレアなシチュエーションです。
この様に早朝の太陽の光が横からあたる時間帯はチャンスです。朝日が当たり輝いている花を探してみてください。花を美しく簡単に写真に収めれます。
9.アングルを変えてみて自分なりのオリジナルティを
何枚も撮っていると写真がワンパターンになってきます。
私の場合もほとんどが空間が開いたボケ写真で105mm/F4.0の写真が圧倒的に多くなります。
オーソドックスな写真を撮りつつも少しアングルを変えて冒険してみると意外な発見があります。
ミヤマシャジン(槍ヶ岳) 102mm/F4.0
高い位置に咲いているミヤマシャジンを下から撮ってみました。花弁が星型に見えてかわいい写真に仕上がりました。普段はなかなか撮らないアングルでお気に入りの1枚です。
コバイケイソウ(火打山) 58mm/F4.5
ズームで画角を58mmに調整してコバイケイソウのお花畑を撮りました。普段であれば左側に空間を空けて空の部分を大きくする様に手前の花をもう少し右に持ってきます。
しかしその右のコバイケイソウを入れるためにあえて中心にピントを合わせています。
中心の花のすぐ右後ろにもコバイケイソウが咲いている絵を入れることで遠近感、お花畑感が出ているかなと思います。
これは実は撮った時はそんな計算をして撮っているわけではなく、ファインダーを覗いて良いと思ったアングルがたまたまこうなりました。
デジタルカメラなので何度でも撮り直しがききます。オーソドックスな撮りかたに加えて少し撮りかたを変えて自分なりのアングルを見つけてみてください。あまり考えずにファインダーを覗きながら良いと思った瞬間にシャッターを切るのが結果的に良い写真になることが多いです。
10.お花は脇役にもなります。
今まではお花を主役にしてどうやって主役を引き立たすかという観点で説明してきましたが、シチュエーションによっては脇役にもなりえます。最も多いのが昆虫とのコラボですね
例1)サワギキョウ(燧ケ岳) 105mm/F4.0
トンボとサワギキョウです。
言わなくてもわかりますが主役のトンボのわき役に回っています。
例2)イワイチョウ(妙高山) 105mm/F4.0
これはイワイチョウを撮ろうとしたら偶然蜂が入ってきました。奇跡の瞬間です。
脇役というよりはW主役といったところでしょうか
例3)イワショウブとワタスゲ(会津駒ケ岳)                           92mm/F4.0
池塘の水面に写る空と雲が美しいので撮っていたら、トンボがワタスゲに止まったのでその瞬間を狙いました。
もう少しアップにできたのですが、92mmにして左下のイワショウブも脇役として入れてみました。
例4)ジョウビタキと梅 300mm/F2.8
おまけです。300mmを使っているのと山を登った時の写真ではないのですが主役のジョウビタキを背景の梅が見事に引き立たせています。
動物や昆虫などは計算できないのでその瞬間に判断して撮らないといけません。こればかりは感性でしょうか?ただ、感性は人それぞれ。ファインダーを覗き自分が良いと思ったアングルでシャッターを切るのが一番です。
最後に
いかがでしたでしょうか?
結局一言で言ってしまえば写真は感性ですが感性を生かすためにもテクニックは知っておいた方が良いかと思います。上記はあくまでも参考例ですので自分なりの形にしていただければと思います。

最後に(その1)でも書きましたが
高山植物を撮るときはマナーが大切です。登山道から足を踏み出さない範囲で楽しんでください。
また狭い道では登山者の邪魔にならない様にやり過ごしてからじっくりと撮ってください。
マナーを守って楽しく登山の思い出を残しましょう。

本ノートは素人の自己流・自己満足の撮りかたです。感性は人それぞれですので自分が良いと思った写真を楽しんでください。皆様の登山の思い出に1つでも参考になれば幸いです。
また写真がたまってきたら(その3)を作るかもしれません。長文失礼しました。  以上
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