富士山 (日帰り : 須走口 → 剣ヶ峰 → 御殿場口)
- GPS
- 08:35
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 1,846m
- 下り
- 2,360m
コースタイム
六合目(瀬戸館) 09:30-09:40
七合目(太陽館) 10:15-10:25
八合目(江戸屋) 11:15-11:25
吉田口・須走口頂上 12:40-12:55
剣ヶ峰 13:20-13:30
富士宮口頂上 13:40-14:00
七合目 14:50
大石茶屋 15:45-16:35
御殿場口新五合目 16:40
天候 | 晴れのち曇り。頂上では時折薄日が差す程度でした。 |
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過去天気図(気象庁) | 2008年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
御殿場駅 07:10-(富士急バス)-08:00 須走口新五合目バス停 (帰り) 御殿場口新五合目バス停 17:00-(富士急バス)-17:30 御殿場駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
バスの利用にあたり、御殿場駅のバス案内所で「富士登山セット券」を購入しました。往路と復路で異なる登山口へのバスを組み合わせられる往復割引きっぷです。平日の朝7時でしたが案内所はすでに開いていて、問題なく買うことができました。 下りに選んだ御殿場口の大砂走りは、最高に楽しかったです。特に、富士宮口への連絡路を分けた後の、そこから下がもう空前絶後の面白さでした。 乗り物はおろか道具の力すら借りることがなく、純粋に自分の足だけで、これほどのスピード感を安全に味わえる所はほかにないのではないでしょうか。 2200mもの標高差を、あっという間に下れたばかりか、フカフカの道では膝や脚など身体への負担を一切感じることがなく、疲労感もほとんどなかったのは驚くべきことでした。 また今度この山に登ることがあったとしたら、登山口には須走口以外を選ぶかもしれませんが、下山は絶対にこの御殿場口で決まりだと思います。 ※デジカメを持ち歩くようになる以前のため、写真はありません。 ※GPS導入前なので、ルートは推測です。 |
予約できる山小屋 |
御殿場口七合四勺・わらじ館
|
感想
御殿場駅から外を見ると、富士山はすっきりとした青空の中にあって、左右の裾野から頂上までの全体が実にくっきりと見えていました。
駅からは朝1番のバスで、須走口の五合目へ向かいます。五合目に着いた時も、相変わらずの澄み渡った青空をバックに、頂上までがクリアに見渡せていました。
五合目の茶屋の奥から登山道を歩き始めると、須走口は最初しばらくの間、樹林帯の登りが続きます。あまりに普通に緑あふれる中を進んでいくので、ついここが富士山であることを忘れてしまいそうでした。
普段ならば辛くならない程度にペースを上げて登ることが多いのですが、今日は高山病のリスクを考えて、努めてゆっくりと登ることに決めてきました。呼吸が乱れないペースが今日の目安で、これを保って歩き続けるのを心掛けます。
新六合目を過ぎると、樹林が途切れがちになって、たびたび山頂が目に入るようになります。
少々気懸かりなのは、最初富士山とは全然違う方角にあった雲が、どんどん富士山に迫ってきていることでした。
七合目が近づく頃には、登山道脇は低木や草ばかりとなって、ヤマホタルブクロなどの高山植物の花をいくつか見ることができました。
七合目より上になると、植物はあらかた見られなくなって、足元は完全な砂礫の道に変わります。
ズルズル滑ってあまり踏ん張りがきかない砂礫の道は、歩きにくいばかりか体力的な負担も大きく、八合目に着く頃には、呼吸は乱れていないのに、足の疲労はかなり感じるようになっていました。
また標高は3200mを越えて、すでに昨年に登った国内第2位・北岳の標高を上回っていますが、幸いなことに高山病については症状も予兆もないようです。
しかし残念なのは、ここに来てついに雲の中に入ってしまったことです。頂上も隠れてしまったので、やはり雲の中に入っている模様。風も出てきて涼しくなってきたので、シャツの袖を長袖に伸ばして対応します。
八合目から上は吉田口の登山道と合わさりますが、お盆休みを過ぎた平日で、夜行登山の人たちがあらかた下ってしまった後のタイミングということもあってか、混雑は全くありません。
風が強まって次第に寒く感じるようになったので、本八合目では山シャツの上に薄手のウインドブレーカーを重ねて、さらに手袋も軍手から冬用のものに履き替えました(これ以上の寒さにはならなかったので、以降はずっとこの格好で十分でした)。
次第に登山道脇には、苦しそうな表情で立ち止まっている人も増えてきますが、こちらは依然として呼吸も乱れず、涼しい顔でそういう人たちの横を通り抜けていきます。
ただし確実に足は進まなくなってきていて、いよいよ傾斜が強まって大きな段差も増えてきた頂上直下では、1度だけたまらず登山道脇の岩に腰掛けて小休止しています。
それでも、残りは難なく登り切って、結局ほどんど同じペースを維持したまま、吉田口・須走口の頂上である久須志神社に到着しました。
一番濃かった頃の雲はすでに消えていて、上からは薄日が差しています。眼下の景色も復活して、大きく広がる裾野や富士五湖周辺の山までは見渡せています。
遠くの山は曇っている所が多いようで、大展望とはいきませんが、富士山頂に立ったという気分が十分に感じられるだけの眺めではありました。
結果的に唯一となったトイレ休憩を、この吉田口・須走口頂上で取ってから、半周のお鉢巡りに向かいます。
体力の消耗度は、ごく普通の山に登ったのと変わらないか、むしろそれよりも軽い程度の感覚で、サクサクと足が進んでいきます。火口のスケールも、想像していたよりは小さく感じて、アップダウンさえなければ、すぐにでも一周できてしまいそうだ。
ところが、最後の剣ヶ峰への登りに差し掛かって、途端にペースが落ちて足が前に出なくなります。須走口の頂上までは順調に登って来ていたつもりでも、そこでちょうど登り用のスタミナを使い切っていたような具合でした。
さほど高度差のない登りなのに喘ぎながら登りつめて、いよいよ国内最高地点の剣ヶ峰に到達です。
奥にある展望台にも立ってみましたが、依然として薄曇りが続く中、ここでも裾野と、毛無山あたりと思われる山並みが見られただけでした。
条件が良ければ北アルプスまで望めるはずなので、これはちょっと残念です。とはいえ、何も見えないことだって多々あるに違いないので、近い範囲だけとはいえ見渡せる景色があったことには満足しても良いのでしょう。
富士宮口の頂上まで下ったところで、この日が今年最後の営業日となる富士山頂郵便局に立ち寄り、登頂記念ハガキと登頂証明書を購入しました。
そこからすぐの御殿場口頂上で、小休止がてらショートスパッツを装着して、七合目から始まる大砂走りへの準備を整えます。
御殿場口を下り始めると、最初は赤褐色のザレた道が続きます。そのザレを上手く使って、滑るように下れる箇所も少なくなく、すでに小規模の砂走りが始まっているようなものでもありました。
それにしても人が少ないです。遙か前方まで見渡しても、先行する人影は数えるほどしか見られません。
いくつかの営業小屋や、廃業した小屋跡の前を通って、小1時間ほどで七合目に到着すると、そこで登山道と下山道が分岐しました。
いよいよスピードウェイ、大砂走りの始まりです。
■大砂走りは最高に楽しかったです!!
七合目より下は、黒砂が深く敷き詰められた広大なスロープでした。一歩一歩を踏み出すごとに、ズズーッと靴が黒砂に深く滑り込んでいきます。
とても普通には歩いていられず、勢いが付くのに任せて駆け下りるようにしていきますが、砂が最高のクッションとなっていて、膝などへの負担を全く感じません。
慣れてくると、「駆け下りるように」ではなく、本当に駆け下りることができるようになってきます。それでも、重力に操られるままに落ちていくだけなので、走力のようなものをほとんど必要とされません。
どこまでも延々と続くスロープを豪快に走り抜けていくのは何とも爽快で、そして楽々で、この面白さを堪能できただけでも、ここに来た甲斐があったと思いました。
ところでガイドブック等では、全身が砂まみれになるなどと良く書かれていますが、この日は自分が後ろに蹴り上げる以外には砂が舞うことがなく、埃っぽくならないのもラッキーでした。
ここ1週間ほどの間には、雨が降る日も少なくなかったので、砂が乾燥しきっている状態ではなかったのだろうと思われますし、前後に全く人がいないのも大きいのでしょう。
マスク代わりにと持参していたネックゲーターも、全く出番なしでした。
こちらが猛スピードで下っていくと、前を行くグループの姿がどんどん近くなってきます。いくら大砂「走り」だからといって、普通はここまで本気に走ったりはしないのでしょう。
ところがしばらく進むと富士宮口や宝永山への分岐があって、前を行くグループが例外なくそちらに進んでいたのでした。富士宮口からの周回ルートなのかもしれません。
これから自分が進む御殿場口はと言うと、いくら前方に目を凝らしても、見渡す限り全く人影がありませんでした。
ただでさえ荒涼とした砂地ばかりが続く、モノトーンで寒々とした風景の中、命ある者の姿がほかに全く見えないというのは、なんとも心細く感じました。
その誰もいないルートに入って、引き続き勢い良く駆け下りていきます。すると、砂はさらにキメが細かくフカフカになっていき、スピードは一段と加速しました。
そう、この大砂走りの中で、最もエキサイティングな区間は、富士宮口への分岐を過ぎた後だったのです。途中から富士宮口などへ向かってしまっては、この空前のクライマックスを味わえないのでした。
そうこうする間に、周囲はいつしか再び雲の中に入ったらしく、一面の黒砂の中を白いガスが湧き上がってくるという、まるで墨絵のように幻想的な光景となっていました。
長い距離をあっという間に駆け抜けて、新五合五勺で登山道と交差すると、これ以降はやや黒砂の質も量も落ちてきます。
ガスの中を抜けて、五合目の駐車場がはっきりと見えてくる頃には、走れる状況の砂ではなくなって、残りは普通に歩くしかなくなりました。
大石茶屋に着いたのは、御殿場口頂上を出発して1時間45分後。標高差2200mを下って、標高差1200mの丹沢・大倉尾根の下りと同じか、むしろ早いくらいのペースで来てしまいました。
でも標準タイムは約3時間とされているので、やはり普通はこんな風に猛スピードで下るものではないのでしょう。
快調すぎるペースで下ったことで、乗る予定のバスまで1時間以上も余裕ができていたため、大石茶屋ではソバを注文したほか、土産物を買ったり、茶屋のおばあさんや宿泊者の男性の方としばし会話をさせて頂いたりして、ゆっくりと過ごしていきます。
最後に五合目のバス停まで来てみると、そこにある売店はなんと今日は営業していなかったので、大石茶屋で時間を使ってきたのは正解だったようです。
バスを待つ間、ウェアを点検してみます。あまり砂が舞い上がらない状況だったとはいえ、さすがに背中側は、砂走りで蹴り上げた砂でお尻の高さまで真っ黒で、ザックもかなり砂っぽくなっていました。
これらの砂を払って、発車時刻間際にやってきたバスに乗り込むと、乗客はわずか6人のみでした。
御殿場口でしかも今日は平日、その上に夕方ともなれば、きっといつもこのくらいの人数なのでしょう。バスが運行されていることに感謝しつつ、御殿場駅へと向かいました。
詳細な記録のページ
http://cellist.my.coocan.jp/yama/mt2008_07_09/mt2008_07_09.html#20080820
ところで、現在御殿場口の「新五合目」と呼ばれている地点は、少なくとも私が小学生の頃に来た時は「二合目」と呼ばれていたのではないかと思います。バスも「御殿場口二合目」行きだったように記憶しています。
この、本来「二合目」であるべきものが、五合目と呼ばれるようになったのはいつ頃からなのでしょうか?
そして何よりも疑問なのは、ここを五合目などと呼ぶことに、一体いかなるメリットがあったのかということです。
いくら考えてみても、五合目ではない場所を五合目と呼んで、誤解を招くことこそあれ、何かのためになるとは到底思えないのですが。。。
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