奥久慈男体山
- GPS
- 09:10
- 距離
- 22.7km
- 登り
- 2,466m
- 下り
- 2,472m
コースタイム
- 山行
- 7:50
- 休憩
- 1:18
- 合計
- 9:08
天候 | 日の出前:快晴 日の出後:曇り時々わずかに雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
一般コース、健脚コースともにふもとに近いところが大変滑りやすくなってます。特に、一般コースの一般・健脚分岐を過ぎて暫くしたところに赤土が露出した部分は、まず確実に滑りますので、あらかじめ何かをつかむなどして、滑っても転ばないような備えが必要です。健脚コース側ふもと付近は一般コース側ほどではありませんが、滑りやすいところが急斜面を横切る道な場合もあり、滑落の危険もあります。 一般コースの頂上に近い稜線は路肩が崩れかかっている(路肩?にひびが入っている)箇所を見ました。眺めがいいのですが崖寄りに近づくときは足元の状態を確かめてください。 大円地後の一般コース、健脚コースの鎖場は割りと乾いていて快適でした。むろん一雨降れば状況は変化します。 大型のアブ、小型のブヨ、ヤブカが(うようよというほどではないのですが)いくらかいました。長袖、長ズボン、手袋、虫除けをお勧めします。 |
写真
装備
備考 | 水、雨具、虫除け、虫さされ薬、スマホ(GPS)、雨具、手袋、タオル 日焼け止め(通常の製品)に虫除け効果があるようです。 |
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感想
赤谷山以来、膝が痛かったり、蚊に刺されたところがやたらとただれたりと体調の悪さが続いていたが、ようやくここへ来てひざの調子は回復してきた。そこで、9月以降の山シーズンの前に、リュックを担ぐことに慣れておくことにした。歩荷というほどではないが、PETボトルに水をつめて9kgほど担いだ。自宅から手軽に行けて、歩けて攀じれる山として奥久慈男体山を選んだ。夜明け前にひと登りしてこようという魂胆だ。
午前3時に西金駅に車を止めて、林道を大円地へ向けて歩いた。南の山の端からはオリオンが、天頂にはカシオペヤが光っていた。それどころか、カシオペヤを包むようにしてぼんやりと光っているのは天の川ではないか。星の数こそ若干劣るが、北アルプスでビバークしていたときに見た星空と変わらなかった。
暑さを避けるつもりで夜明け前から歩きだしたのだが、蒸し暑い。林道を高度を稼いでいくと、やがて、吐く息が白く曇り、いつまでも霧のように漂いだした。風が無く、湿度が極端に高いため、吐息の水蒸気が霧に変わるのだ。
いつものように大円地山荘の横から取り付いたが、分岐点へ行くつもりが、畑の中に踏み込みそうになった。夜間は注意が必要だ。おまけに木道の上に大きなかえるが座り込んでいて、危うく踏み潰すところだった。そんなちょっとしたハプニングのあとで、健脚・一般分岐へ到達した。今回もいつものように一般から上がって健脚から降りることに決めた。すると、一般コースに入るかはいらないかのうちに、地鳴りが。男体山全体が震えているという様子が、近くから、遠くから聞こえるぱらぱらというしずくや砂の落ちる音で感じた。暫くは身構えたが登山を続行した。
ちょっとがれた登山道をこつこつ歩くお稽古には一般コースがちょうど良いと思っていたのだが、最初の難関はガレではなく、赤土だった。滑りやすくこれ以上は登るなとでも威嚇しているようだった。ここを下りで通らなくて良かったと思いながら両手を地面に付いたり、近くの岩をつかんだりしながらどうやら通過した。
この難関を通過したあとは通常のがれ地であった。体調は戻っていると思ったが、どうも本調子ではないような。なんだか二日酔いのように頭が痛い。実際前の晩少し飲みすぎたかもしれないが、どちらかというと暑さのせいだったようだ。何とかたどり着いた大円地越の気温は朝4時過ぎで24度だった。いつも0度前後の気温しか見たことが無い自分にとっては大円地としてはとんでもなく高い気温である。この体調では早々に引き上げたほうがよさそうだと、山頂を急いだ。
大円地をひと歩きするとちょっとした稜線に出た。ここで今までのハイキングからは想像もつかないようなさわやかな風が吹き始めた。喉の渇きさえも癒されるような涼風に背中を押されるように稜線をたどった。
ぶなの巨木が立つコルを通過し、再度登り返すと、真っ赤に燃える男体山の正面岩壁が目に入った。はじめてみる男体山のモルゲンロートは焼かれた鋼のような色を刻々と変えると、やがてもとの黒い色に戻っていった。真夜中の星空はうそだったかのように、空は雲に覆われていた。地平線とくもとの間のわずかな隙間を太陽が通過した際に現れたモルゲンロートだったようだ。
涼しい風と迫力ある山頂の姿にさらに元気をもらって、山頂を通過し、健脚コースを下った。標高が下がると、風が弱くなり、蒸し暑さが増してきた。そして朝になったせいか、アブが付きまとってきたようだ。峡のはスズメバチ程度の大型のやつだ。あわてて、筆者の最近のお気に入りの虫除け「日焼け止めクリーム」を肌の露出する顔、首に塗りたくったところ、アブは多少接近してもとまろうとはしなくなった。
鎖場を通過すると、われヘルメットの標識のある枯れ沢を通過した。巨岩が散らばる中を以前歩いたことを思い出す。
そして一般コース同様に滑りやすい杉林の中の泥道に危うく転びそうになりながらも分岐点にまで下山した。稜線の風に元気をもらったから、当初の予定通り来た道を登り返そうということで、直ちに健脚コースを引き返した。一般コースからのルートをもう一周する手もあったが、コースに多少変化をもたせることで集中が途切れぬことを優先した。。
一般コースが、大円地越までのがれがきついのと同様。健脚コースも実は最初の尾根に出るまで、杉林の中の急な斜面を根気よく登るところが一番辛い。さっきまでスリップに気をつけながらそろそろ降りてきた斜面を、小股でリズムを崩さぬように辛抱強く登り返した。遠く鉄道の音が聞こえ始めた。水郡線の始発列車だろうか。
鎖場の登りは、ホールドを先に目と手で確認しながら登れるので、手順を定めやすいし、危なさも見極めやすい。行き(下り)では頭を使いながら降りた鎖場も、かなり強引に高度を稼いで2度目の山頂に到着した。涼しい風は涼しいというよりも嵐の前兆を思わせる強い風に変わり、時たま雨粒がぱらつくほどになっていた。手早く、雨具のズボンをはき、出発した。稜線の岩の部分が濡れるとペースが落ちる。なんとか杉林までは降らないでくれと思いながら。
散々汗をかいたせいか、下山中はむしろ寒気がするほどであった。ぶなの木のあるコルで、雨具の上着を着込まねばならないほどだ。ただ寒気がするのは本当に風邪を引いているのか?もしかして熱中症の一種か?あるいは今回行動食を持ってこなかったのでシャリばてしたのか。最初は古分屋敷の自販機でアクエリアスを飲むことばかり考えていたけれど、今はあまりほしいと思わないからシャリばてではないのか?なにはともわれ、まずは無事に大円地まで戻ることだ。あの、赤土さえ突破できれば大丈夫だろう。などと考えながら、
大円地越を通過した。8月だが緑は春のように初々しく感じられ、広々とした空間で、酒を飲みながら一日のんびりしたい。こんなしんどいトレーニングは真っ平だと思いながら、がれたくだりに突入した。
一般コースのがれ場は、結構だらだら続いている。ありがたいことに上下雨具を着てこのだらだらを降りることで、ようやく体が暖まってきたようだ。また遠くにキツネノカミソリの小群落など見つけて少しうれしくなりながら、最後の赤土へ向けて心の準備をした。階段があった箇所の名残の鉄杭に、安全の赤テープが巻かれている場所を過ぎれば、赤土地帯はもうすぐだ。
結果的に、降りることは比較的容易だった。両手を付いて、滑り降りてしまえばよかったのだ。手をついているので、もう転ぶことはないし。斜度もさほどではない。止まるところまで滑ればいい。
両手(手袋)を泥だらけにして、さらにひと歩きして、分岐点に到着し、本日のトレーニングのメインメンニューは終了。大円地駐車場の前で男体山に手を合わせ、無事を感謝すると、古分屋敷まで急ぎ、ドクターペッパーという、こういう場面ではあまり正解とはいえないような炭酸飲料で人心地付いた。
あとは西金までぶらぶらと山村の風景を楽しみつつハイキングするだけだったが、途中地元のおばさんと会話が盛り上がってしまい1時間近くも立ち話してしまったことはご愛嬌。結局車についたときには正午を回っていた。
翌日。ひざの調子は普段のトレーニングの影響が少しあるが、山歩きで悪くなった気配は皆無。むしろ肩が若干の筋肉痛で、これからもリュック担ぎ散歩が必要なようだ。
今回の山行では、秋の花粉シーズンでも始まったのか、入山後はずっと鼻水が出放しであった。これから里山に入るときはマスクをつけてということになるかと思うと、少し悲しい。
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