利尻岳 花の浮島


- GPS
- 08:45
- 距離
- 15.7km
- 登り
- 1,787m
- 下り
- 1,598m
コースタイム
- 山行
- 7:17
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 8:42
天候 | 晴れ、一時曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
船
|
コース状況/ 危険箇所等 |
山頂手前の崩壊地は危険というわけではないですが、本当にグズグズと崩れてしまうので環境保全のためにも「崩さない歩き方」を心がけましょう。このままではいずれ登山できなくなってしまうやも…。 |
その他周辺情報 | 利尻登山の基点といえば利尻岳北麓野営場ですが、我々のように島内を徒歩で移動する場合は手前の「ゆ〜に」のキャンプ場をベースにしたほうが荷物を持って歩く距離が減っていいかもです。入浴施設もありますので、下山後に汗を流すこともできますよ。自動販売機でビールも売ってますので飲料の確保も可能。 |
写真
しばらくは舗装路歩きとなりますが、途中からは旧登山道へ行く予定。
車に怯えながら冗長な車道を行くより、登山道の方が歩きやすいでしょう。
…通行止め?
残念ながら旧登山道は倒木被害のために通行止めになっていました。
(現在は甘露泉水ハイキングコースと呼ばれている模様)
これは嫌でも舗装路歩きすなぁ…。
すでに多くの登山者が準備を整え、続々と入山していきます。
それを見て少し焦りを感じますが、時刻はまだ4時。
当初の予定時間ぴったりです。焦ってはいけません。
日本の名水100選に選ばれているだけあって冷たくて美味しい水です。
ここで水を補給。この先水場はありません。
ちなみに、北麓野営場の水はこの甘露泉水の引き水だそうで。
わざわざここまで水を汲みに来る人がいますが、
実は野営場に居ながらにして甘露泉水を堪能できるのであった(笑
「雷鳥の道標」だそうです。
はて? 利尻に雷鳥なんて居ましたっけ?
不思議に思って帰宅後調べてみると、
利尻岳に登山道を拓いた際、雷鳥が現れ道を示した…
という逸話から名付けられた模様。
ただ北海道には雷鳥はいないはず?
エゾライチョウの事ですかね? 似て非なるもののようですが。
利尻島を覆っていた雲がまるで掃き散らされたかのように消滅していきます。
以前、礼文島に来たとき、同じように厚い雲が割れるように晴れたことがありますが
これはその時の奇跡の再来です。
どんだけ日頃の行いがいいのよ、オレ。
今日は特に序盤でまったく山の姿が見えなかったので勘違いした人も多いようで
「山頂が見えてきたね♪」と喜ぶ人の姿もチラホラ。
真実を告げるのもアレかな?と思いもしたのですが
ペース配分を誤って途中でリタイアしたら、それこそ気の毒なので
「アレは山頂じゃないですよ〜」と、そっと教えてあげました。
「…え…、山頂じゃないの? がっかり…」
うわ、本気でがっかりしてる(^^;
言わなきゃ良かったかなぁ…。
これまでもけして緩いとは言い難い道でしたが、さらにキツクなるんですな。
まぁ、遠くから見てもあれだけ尖がっている利尻岳です。
上に行くほどキツクなるのは道理なわけで。
覚悟はしていました。さぁ、かかってこいやぁ!
視界の邪魔をする雲の一つもない、完璧な眺望です。
いやぁ…、なんか感極まるものが…。
朝、登山口を出発した時は、ここまでの青空はまったく期待していなかっただけに
この展開は心を揺さぶるなぁ。
ここから先は、いよいよ利尻岳の核心部。
しかし先ほどまではあまり見ることができなかった島の東側はすっきりしない様子。
一面の雲海が広がっています。
これはこれでいいのですが、ぐるっと360°海に囲まれているのを実感したいので
できれば山頂に着くころまでには晴れて欲しいものです。
私はと言えば急速な体力の消耗を感じていました。
苦手な急こう配と、グズグズと崩れやすい地面のコンビに一気に体力を持って行かれたようです。
こういうところは体が重いと不利だな〜。
実際に登って山頂付近を見ると、かなり風化が進みあちこち崩れていることがわかります。
風化そのものは自然現象なのですが、
登山道が崩壊のきっかけになっていることには違いありません。
このあたりはまさにそんな感じ。
見た目にはよくわかりませんが前年の大雨をきっかけにクラックが入っているとのこと。
この部分が崩れてしまえば、まともに通行できる道がなくなります。
このご時世、左に残った草地に新たに道をつくるとは思えませんし
崩れた部分を人工的に補修することになるのでしょうか。
その補修が不可能と判断された場合、利尻に登るという行為自体を考えなければならなくなる日が来るのかも…。
登山道を通すために掘割を作ったかのように見えますが
もちろんそんなわけはなく、登山道が洗掘に洗掘を重ねて出来上がった大溝です。
利尻岳の崩壊を象徴する場所として、繰り返し紹介される場所です。
でも、考えてみればそれが正しい感動なのかもしれません。
デジカメの普及以降、画像を残すことに夢中になりすぎて
ファインダーやディスプレイ越しでしか景色を見ていない…
なんてことになっている人も多いんじゃないでしょうか。
鴛泊コースよりさらに足場が悪い道で常に転倒と足元の崩壊に注意が必要です。
なかなか厳しい場所でしたが、新しい花も見れてツートンは満足した様子。
沓型コース最大の難所と呼ばれる崩壊地のトラバース手前で引き返しました。
で、下ったら登らないといけないわけで…。
なんと、山頂方向が再び濃いガスに包まれていました。
本当に変わりやすい山の天気です。
このタイミングで山頂に居たら、眺望は得られなかったかも。
こればかりは運に左右されますよね。
感想
7月の連休の遠征は晴天率が低く、いつも天候に悩まされます。
ま、梅雨のまっただ中だからしゃーないっちゃしゃーないんですが…。
目先を変えて「梅雨の無いところならいいんじゃね?」
ということで、行先を北海道にしてみました。
(最近は蝦夷梅雨とか言って、実質梅雨がある…とも聞きますがね…)
行先は最北の百名山、利尻岳。
多くの登山者が一度は行ってみたいと憧れる秀峰です。
しかし、場所が場所だけに行きづらいのもまた事実。
盛岡起点の我々は次のようなアプローチを試みました。
2016年7月14日、18時20分。
盛岡を出発。一路八戸へ。
停滞する梅雨前線の影響で本州の三連休の天気予報は芳しくない様子。
同日、19時45分。
一戸ICを通過。
雨は次第に激しくなり、間欠ワイパーでは追いつかないくらいに…。
そのため予定より行程が押し始めました。
フェリーの乗船手続きの都合があるので、これ以上の遅れはまずいです。
同日、20時40分。
八戸フェリーターミナル到着。
すぐさま乗船手続き。手続き終了と同時に乗船開始となりました。
危なかった…。
同日、22時00分。
八戸港出航。
今回久しぶりにシルバーフェリーを利用したのですが、船が新しくなっていました。
2等座敷席も全席指定になっておりマットレスも完備。
以前よりかなり快適になっていて驚きました。
特に全席指定になったおかげで、席取ダッシュが無くなり殺伐とした空気が無くなりました(笑
フェリーのお風呂を初めて利用しました。
風呂の中で出航時間を迎えたため、窓からゆっくりと過ぎゆく夜景を眺めながらの入浴となり船の揺れとともに湯船のお湯も揺れるという新鮮な体験もできました。
シャンプー石鹸完備で無料。
温泉ではないので長風呂する人もおらず、さっぱりしてから横になれるのでお勧めです。
2016年7月15日、6時00分。
定刻通り苫小牧港に入港しました。
天気は昨日の雨が嘘のような気持ちの良い晴れ♪
昨日は外洋に出た途端、船が大きく揺れ始めどうなることかと思いましたが…。
同日、09時40分。
滝川付近を通過。
だんだん北海道らしくなってきました。
意外と車が多く、少しずつですがスケジュールが押してきました。
同日、10時35分。
留萌付近を通過。
同日、11時30分。
道の駅とままえ着。
同日、14時30分。
稚内フェリーターミナル到着。
出向時間には余裕を持って到着することができました。
しかし…それでも苫小牧から7時間半。
本州であれば、いったい何県通過できるのだろうか?
さすが北海道はでっかいどう。
フェリーターミナル近くのコンビニで食料などを買い込み乗船。
車は稚内でお留守番です。
山歩きに必要な道具とテント泊装備を持っていきます。
今回の作戦は「多段ロケット方式」。
少しずつ荷物を置き去りにし、最終的に利尻の頂にはアタックザックのみで登頂。
復路は逆に荷物を回収しながら戻ってくる…そういった段取りになってます。
これによってフェリー代を安くし、宿泊費を抑え、山行時の荷物を減らすことができます。
同日、16時40分。
稚内港、出港。
同日、18時00分。
利尻島鴛泊港、入港。
島に降り立った我々を利尻岳が歓迎してくれました!
同日、18時30分。
徒歩にてキャンプ場「ゆ〜に」到着。
こっちのキャンプ場だと港から近いというほかに風呂に入れるという利点もあります。
ただし、こちらはファミリーキャンプ場と名乗っているだけあって
場合によってはある程度遅くまで騒いでいる人がいるかもしれないという難点も。
また逆に、早朝に出発するとき、周りへの配慮が必要になるかもしれません。
我々がキャンプした日は幸いにも人が少なく静かだったので
あまり難点を感じることはありませんでした。
同日、20時00分。
就寝。長い長いアプローチが終わりました。
ご参考までに。
-------------------------------------
他に…
登山口には、靴底の泥を洗い流す水場があります。
イメージとしてはプールに入る前に足を消毒するアレでしょうか。
外来植物の侵入を防ぐ一環として設置されているものなので忘れずに通過しましょう。利尻岳へ登る前の通過儀礼です。
「キツイキツイと言うけれど、利尻、意外とチョロくね?」
そんな風に思っていた時期が私にもありました…。8合目くらいまでね。
長官山(8合目)で半分と思え、というようにも言うらしいですね。
これは帰ってから知ったのですが…。
まさにそんな感じでした。
下山後にリシリヒナゲシ家々の花壇にいっぱい咲いているのをみつけてしまいました。ええ!?(笑 そんなお手軽なものだったの?
あんなにありがたがった自分らアホみたい(笑
と思ったのですが…
帰宅後、このリシリヒナゲシには根深い問題がある事を知りました。
リシリヒナゲシモドキと言われる別種があるそうで、花壇に植えられているのはモドキのほうのようです。
問題はそれが山にも進出し繁殖しているというのです。
なんていうか…環境保護って難しいですね。
天気が良くなったこともあって、すばらしい景色や花々を堪能することができた利尻岳。ツートンの中では、白馬を抜いて「花の山第一位!(ツートン調べ)」を獲得したようです。
私にとっても十年来の宿願を果たしたこと、他では見られない景色を堪能できたことで思い出深い山行となりました。
帰りに北麓野営場のビジターセンターで山バッチを買いました。
他の山で売っているものと一味違うデザインのバッチ、売り上げが利尻岳の環境保全に使われるようです。
ちょっとお高めでしたが、利尻岳が末永く美しい姿を保てることを願って購入しました。
なかなか難しいとは思いますが、いつかまた再訪したいと強く願っています。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する