岡山県鏡野町 白賀渓谷〜大空山〜篠坂牧場 渓谷美&秋の花



- GPS
- 06:08
- 距離
- 19.3km
- 登り
- 930m
- 下り
- 925m
コースタイム
- 山行
- 5:42
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 6:07
歩行距離19km、歩行時間5時間40分、歩行数28,200歩
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
白賀(しらか)渓谷沿いでは、休憩施設<写真19>に駐車場がありますが、渓谷の見どころや旬の植物の半分をスルーしてしまいます。大空山、富栄山(ふえいざん)、不溜山(たまらずせん)など登山中心に考える場合には、時間短縮目的で利用するのもよいかと思います。なお、占い淵下流部<写真14>の南には少し水が流れており、ところどころ凸凹しています。西側の端にはタイヤがはまりそうなサイズのくぼみがあり、小さな木の枝が転がった所もあるため、自動車の通行は注意が必要です。 大空山頂上<写真45>でお会いした方に、篠坂牧場頂上<写真44>近くまで四駆なら行けると伺いました。しかし、この山域でもっとも景観を楽しめる林道ですし、駐車スペースがほとんどないので、自動車でのアプローチは避けた方がよいかと思います。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
ほとんどがよく整備された砂利の林道やアスファルト道で歩きやすいです。ただし、ニガクリタケ<写真42>撮影地点南東の標高900mから、標高1005m辺りまでの尾根は道ではありません。踏み跡らしきものはあり、ヤブコギ気味でしたが思ったよりも楽に歩けました。林道にはたまに分岐があり、間違えると行き止まりになります。大空山景観<写真39>撮影地点の西の標高810m辺りにある分岐で、右側のほぼ平坦な道を進むと、ずっと砂利道を歩いて大空山登山道に合流できたようです。 白賀渓谷の遊歩道(白賀川の水際沿い)は、紅葉の時期には足元の石が落ち葉で隠れていることが多く、踏むとよく滑ります。前回(2015年11月9日)には、3回も仰向けにひっくり返ってしまいました(^_^;)木の枝やストックなどで落ち葉を払いのけて歩いたほうが安全です。 やませみ情報局駐車場<写真01>から山小屋滝見<写真22>まではアスファルト道です。山小屋滝見<写真22>からもみじ平<写真33>までは基本砂利道で、塔滝淵<写真23>から丸岩淵<写真28>までは白賀川の水際沿いに土やコンクリートの遊歩道が設けられています。落ち葉に埋もれた石を踏んでひっくり返らないよう要注意です。 もみじ平<写真33>で白賀渓谷の見どころは終わり、沢沿いの砂利道を少し進むと、林道大阿そう線起点<写真34>があります。 林道大阿そう線起点<写真34>から、大空山頂上<写真45>&大空山南登山口(アキアカネ♂<写真56>撮影地点)の分岐(標高1040m辺り)までは、砂利道が続いています。林道大阿そう線は、最初は小石がゴロゴロしていますが、地形図の破線部分が終わると終点です。この少し手前で左折して短い草が生えた砂利道に入ります。たまに端に溝状の部分があり、雨が降ると水が流れそうです。一部、道の真ん中にもススキが茂っていますが、歩くのに支障はありませんでした。花はほとんど見られませんが、ほぼ日陰で涼しく、しばらくは心地よい沢音も楽しめました。 大空山景観<写真39>撮影地点の西の標高810m辺りに分岐があります。左側の道は明らかに上りだったのでそちらに入りましたが、ニガクリタケ<写真42>撮影地点南東の標高900mで道がなくなりました。分岐の右側のほぼ平坦な道は、大空山頂上<写真45>&大空山南登山口(アキアカネ♂<写真56>撮影地点)の分岐(標高1040m辺り)へと続いているようです。 道がなくなった地点から斜面を上る踏み跡がありました。切られた木もあり、林業の作業が行われていたようです。根曲がり竹(チシマザサ)はまばらに生えており、手で少しよけるだけですみます。背丈を超える根曲がり竹が急になくなると、標高1005m辺りでまた砂利道に合流しました。このまま西へと尾根を直登し大空山頂上<写真45>まで行けたのかもしれませんが、今回は砂利道を歩き、大空山頂上に向かいました。 大空山頂上<写真45>から篠坂牧場頂上<写真44>を経て大空山南登山口(アキアカネ♂<写真56>撮影地点)までは登山道です。 大空山頂上<写真45>から篠坂牧場頂上<写真44>までは、濡れると滑りやすそうな黒土で少し急な所があります。道の両サイドにクマザサが生えており、刈られた葉が散乱していますが、踏んで滑るほどの量ではありませんでした。 篠坂牧場頂上<写真44>から大空山南登山口(アキアカネ♂<写真56>撮影地点)までは、短い草が生えた砂利道がしばらく続きます。ほぼ日向で両サイドにススキが生えており、花はあまり見られません。その代わり展望は効き、大山も見えるそうです。 標高750mを過ぎジグザグ道の途中からはコンクリート道、さらに下るとアスファルト道になります。 大空山南登山口(アキアカネ♂<写真56>撮影地点)には分岐があり、地形図にはないほう(西側)はアスファルト道です。2014年9月14日にはそちらを歩いたので、今回は地形図の破線の道(東側)に入りました。短い草が生えた道は、入った途端に牛糞の強烈なにおいがしましたが、少し経つとなぜかにおいはなくなり、沢沿い道には花がたくさん見られました。アスファルト道との合流点には、林道唐口線起点と書かれていました。そこからやませみ情報局駐車場<写真01>までは、稲刈り中の田んぼなどを見ながらアスファルト道を歩きました。 |
その他周辺情報 | 11月3日(祝日)10:00〜15:00白賀渓流紅葉まつり開催! <場所>山小屋滝見<写真22>(近くまで自動車乗り入れ可能) 10周年を記念して先着300名に紅白餅進呈など楽しい企画もあります。早ければ10月末ごろから紅葉が始まりますが、例年の見頃は11月10日前後です。(2015年は1週間早く11月3日に見頃になりました。)健脚の方は片道5kmの白賀渓谷の紅葉散策コースを楽しむことができます。 |
ファイル |
(更新時刻:2017/09/24 22:22)
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写真
県道56号線を「白賀渓谷」の看板に従い北上したすぐの所にあります。案内図をはじめトイレの掲示など、ウエルカムオーラを感じさせてくれる心地よい空間です。少し北にある特産物販売所「白賀の郷」は、日曜日のみ営業で野菜などが販売されています。まだ9時前でしたが営業中でした。
布施神社のケヤキ
布施神社の社叢(しゃそう)は、推定樹齢500年のケヤキや、カヤ、スギの巨木をはじめ、ウラジロガシ、シロカシ、ヤブツバキなど60余種の樹木が混生している鎮守の森です。動画も撮りました。
布施神社の随身門隣のケヤキは推定樹齢500年で中山神社(津山市)、半田(真庭市美甘)のケヤキとともに県下三指に数えられる巨樹です。ここからも動画を撮りました。白賀川沿いに出ると、水が透き通ってもう十分きれいなのですが、ここで写真を撮っているときりがありません。
花は紅色と白色があり、紅色は西日本に多く、白色は東日本に多いようですが、岡山県では混生しています。食べるとたちどころに薬効(下痢止め)があらわれるということで、「現の証拠」であるといわれています。
ミゾソバの名の由来は溝に成育し、葉がソバに似ていることからきています。花弁に見える部分はガクであり、花びらはありません。似た花はいくつかありますが、肩が張り出したような三角形の葉で見分けられます。この道沿いにたくさん群生していました。キンミズヒキは文字通り、花の形が花タイプの金色の水引に似ています。ヒメキンミズヒキよりも花弁が太めで、花の直径は7mm程です。
今回のコース上で白賀(しらか)渓谷などのアスファルト道沿い至る所に群生していました。花冠は、筒状で先が唇形に裂けています。花の出っ張った部分は丸くなっており、ここに蜜があるので、ハチが潜り込むシーンを何度も見ました。
ヨメナに似ていますが、花がヨメナより大きく直径4cm程で花弁の枚数が少ないです。背丈も高く、枝分かれも多いです。群生とまではいきませんが、この周辺にのみ咲いていました。この少し南でミゾソバ<写真05>ロードを動画に撮りました。
白賀(しらか)渓谷の最初の見どころです。水が透き通っているので、淵の底の様子がよくわかります。この渓谷で一番深く大きい淵です。 作陽誌には、大昔大蜘蛛が潜み村人に害を与えたと書かれているそうです。
文徳実録に、文徳天皇の御代、斉衡3年12月28日(856年)に美作国から朝廷に白鹿が献上され、とてもおめでたいことなので翌年2月に年号を「天安」と改め美作国苫田郡の税を免除したと記されています。この周辺には鹿が多く、また白賀(白鹿)の地名などから白鹿が現れたのはこの地であると言い伝えられているそうです。
文字通り、船を釣り下げたような赤紫色の花を咲かせます。熟した果実に少しでも触れると、種子を勢いよくはじき飛ばします。ツリフネソウとミゾソバ<写真05>の花畑を動画に撮りました。この2種類は主といってもいいほどあっちこっちに群生していました。
マタタビがどんぐり型の実をつけていました。旅で疲れた人が、マタタビの実を食べて元気を取り戻したことから、その名がついたとされています。今でも薬用効果があるとして、茶やフリーズドライで売られています。喜ぶのは猫だけではないようで(^^)
占い淵の少し下流です。名前にも景観にもインパクトがありました。水量が増えているのか、小滝の音も大きく感じられます。動画も撮りました。上流部<写真15>はさらにインパクトがあります。
苞に鋸歯があること、白い下唇にある2つの斑紋が黄色であることが特徴です。苞の鋸歯はかなりまばらで、鋸歯がないミヤマママコナとかなり迷いました。この周辺にのみかたまって生えていました。
初めて上に上がってみました。文字通りここ(小屋の2階)から後谷(うしろだに)淵と後谷の滝が見えるはずでしたが、滝は?淵に下りて動画を撮りましたが、滝のほうは黒っぽい垂直の岩盤に粒状の水滴が流れているのが肉眼でやっと見える程度でした。元々水量が少ないのですが、台風の影響で上流部が倒木か何かでせき止められてしまったのでしょうか。ここにも駐車スペースがあり、自動車はこの先は通行禁止です。
砂利道からそれて遊歩道に入ると最初にある見どころです。正面から見ると三段滝で、それぞれに小さな淵があります。塔滝は地名で、滝がいくつもあることから名付けられたようです。動画も撮りました。
この岩の滝が「御灯明」の形をしており、奥の湧水が光って灯をともしたように見えるそうです。丸岩淵<写真28>へ直接行こうと思ったのですが、水量が多かったようで渡渉はやめました。いったん引き返して石段を上り、すぐまた丸岩淵の岩の脇にある階段を下りました。
花は長さ約3cmの薄青紫色で独特の形をし、5個の花弁状の萼片からなります。なぜか葉が付け根からすべてむしり取られており、葉の形が全くわかりませんでした。長さ1m程の茎が1本だけひょろんと伸びていること、白に近い淡い色合いであること、岡山県で特に多いトリカブトであることから、タンナトリカブトではないかと思います。トリカブトの毒が平気なトラマルハナバチが蜜を求めて来ていました。
アカイタヤは春は赤色、夏は緑色、そして秋は黄色と、まるで信号機のように色が変化します。10cm少々の5裂の葉の基部がカーブを描いていることから、アカイタヤではないかと思いました。この辺りの木ではその大きさ(太さ)が際立っていました。
ヒイロチャワンタケは直径が1〜5cmのキノコです。幼い時は浅いお椀型で成長すると皿型に開いていきます。O型の血液にヒイロチャワンタケのエキスを入れると反応し、血液を凝固させたり溶解させたりするという性質を持っているとされています。周辺にたくさん生えていました。
鹿児島県の高隈山で見つかったことからその名がつきました。弘法大師(空海)が見つけたと言われ、起死回生の野草としてヒキオコシあるいはエンメイソウの名がついたとのことです。花冠の上唇に全く模様がなく、筒状部が花の付け根から後ろにせり出していないことから、ヤマハッカやサンインヒキオコシと見分けられます。
見下ろすと牧場らしきススキ原が広がっていました。その麓には篠坂集落の田園風景が見えました。下山後には台風で倒れた稲をコンバインで刈り取る姿が見られ、無事収穫できたようでほっとしました。
&入道山
西から北西方面を望むと、向かって左より、霰ヶ山(あられがせん)、尼ヶ子山(あまがこせん)、入道山(にゅうどうやま)が見えました。無雪期には登山が難しそうですが、機会があればチャレンジしてみたいものです。
ツルキケマンの変種で、長野県などでは準絶滅危惧種に指定されています。草丈は50cm〜1m程になりますが、なよなよとしていて、周りの草に倒れ掛かるように生えます。よく似たキケマンなどの花は春咲きです。
大空山南登山口です。周辺は草地で、自動車を停められるような雰囲気ではなかったような気がします。気温が少しずつ下がってきたせいか、アキアカネが高い所から、だんだん麓に移動してきているようです。今回は胸部の真ん中の黒い筋模様の先端が急に細くなっているのがわかるように撮りました。
葉はフキに、葉や花はツワブキに似ています。防虫剤や香料にする竜脳香(=宝香)に匂いが似ています。また良く似た仲間の メタカラコウ(雌宝香)との対比で「雄」とついています。県道56号線沿い脇に密かに咲いていました。
大日如来を祀っているのでしょうか?一番大きな石仏の右側に「安正文二年」(安政2年1855年)と刻まれています。今回の出発点となったやませみ情報局のトイレ横に「富村88ヶ所めぐり案内図」が掲示されていました。
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下(厚手)
軍手
雨具
スパッツ
日よけ帽子とフード
雨用帽子
登山靴(防水加工)
靴ひも予備
アタックザック
ザックカバー
地形図
コンパス
マップケース
筆記用具
携帯
時計(防水)
タオル
カメラ
飲料水(スポドリ&茶)
水筒(保温)
非常食(栄養補助食品)
スマホ(山使用可能)
eTrex30(GPSナビゲーター)
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感想
鳥取県三朝(みささ)町との境にある岡山県鏡野(かがみの)町には1,000mを超える山が35座もあります。今回はその中の一つ大空山(おおぞらやま)に登ることにしました。
9月下旬の登山は時期的に中途半端と感じている人が多いと思いますが、動植物好きの我々にとっては、9月下旬の時期特有の風物詩を存分に味わえる充実した山行となりました。前回(2015年11月9日)は、白賀(しらか)渓谷の見どころを休場<写真18>以外すべて撮影したら、6km足らずの距離を休憩込みで往路2時間20分もかかってしまいました。今回は時間短縮を図って撮影はかなり我慢したのですが、花が多かったため、予想ほどの短縮にはなりませんでした。うれしい誤算(^^♪
鹿が繁殖期を迎えたせいでしょうか?ニホンジカの鳴き声がたまに聞こえてきます。今回のコース上で2回、林道に出てきた鹿を目撃しました。かなり警戒され、少しでも距離を縮めようものなら、一目散に茂みの中に消えていきました。ニホンノウサギやニホンアナグマもたくさんいそうです。時折、人の気配を察知してヤブをかき分ける大きな音を立てながら、奥に逃げていく様子が伺えます。カエル、ニホンカナヘビ、チョウ、トンボ、オオカマキリなどの小動物も頻繁に出てきます。また、鏡野町富地区(旧富村)全域はヤマセミの生息地として岡山県の天然記念物に指定されており、運がよければ愛らしい姿を見ることができそうです。
写真や動画で一部紹介していますように、花やキノコも豊富です。特に白賀(しらか)渓谷ではミゾソバやツリフネソウなどの群生をたくさん見ることができました。また、秋の気配を感じさせるオミナエシやオタカラコウが観賞できたかと思うと、梅雨時に旬を迎えるアジサイやアスファルトを突き抜けて生育しているササクレヒトヨタケ(キノコ)など生き残った珍しいものまで見ることができました。遊歩道や林道沿いに谷や川、湿地帯があると、かなり高い確率で旬の植物に出会えます。白賀渓谷は11月上旬(例年11月10日前後)に紅葉の美しい時期を迎えるのですが、花を楽しむならこの時期がよいかもしれません。
人々の温かさも感じることができました。自動車を停めたやませみ情報局のトイレには、きれいなカワセミの絵や花が飾られ、「富(旧富村)の自然を楽しんでください」といった内容の貼り紙がありました。また、下山後、アスファルト道を歩いていると、「お疲れー」という声とともに自動車が走り去りました。我々登山客に挨拶してくださったのだと思い、慌てて振り返って会釈しておきました。なんだかふるさとに帰ったような温かい気持ちになりました。
なお、白賀渓谷に関する情報は以下のHP上で詳しく掲載されています。
◇白賀川地域協議会◇
https://www5.hp-ez.com/hp/siraga/page11
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