渡良瀬川水系 庚申川本流
栃木県
kamog
その他4人 - GPS
- 32:00
- 距離
- 18.5km
- 登り
- 1,003m
- 下り
- 997m
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東神奈川県連事務所前23:00＝（車）＝関越・伊勢崎ＩＣ＝Ｒ122＝
25:10銀山平・国民宿舎かじか荘上部駐車スペース（幕営）
7/10（土）
5:40起床7:00発−かじか荘脇から庚申川本流に入渓−２段堰堤−
光風（坑夫）ノ滝−9:30笹ミキ沢出合−11:00水面沢出合−
三才沢出合−14:30二俣の100m手前（ビバーク）
7/11（日）
5:30起床7:00発−7:10二俣−9:00庚申山荘への登山道9:20−
10:40庚申山荘10:55−一ノ鳥居−13:00かじか荘（入浴）14:20＝
（車）＝圏央道・日の出ＩＣ＝Ｒ16＝東林間＝19:30東神奈川
| 天候 | 7/10 晴れ後曇り 14:00〜雷雨（雷は14:00〜15:00） 7/11 晴れ一時曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2004年07月の天気図 |
| アクセス | |
| コース状況／ 危険箇所等 |
■メンバー CL椎谷（相模労山） SL kamog 古屋（AC横浜）小野（AC横浜）福島（相模労山） ■遡行グレード ３級 ■遡行ポイント −伊勢崎ＩＣから大間々に向かうが、コンビニは大間々まで しかない。Ｒ１２２（渡良瀬渓谷鉄道沿い）にはほとんどない ので、買い物は早めにしたい。 −駐車スペースは国民宿舎かじか荘の前を通過し、すぐ上左側に 広い空き地がある。２０台以上駐車可。トイレなし。 −入渓点はかじか荘脇に庚申川入口と書かれた案内板あり。 登山届ポストもある。 −広い河原から入渓してしばらくゴーロ帯を歩くと、２段の堰堤 （下部３ｍ上部３０ｍ）に行く手をふさがれる。下部はどちらも バンドトラバース（やや微妙なバランスを要する）、上部は 右岸（左側）のカンテからブッシュを手がかりに登り、堰堤を 越える。カンテは�卦蕁� 堰堤を高巻きし終わり本流に降りる箇所がいきなり深い淵。 飛び込んで河原まで10m泳ぐ。 −光風ノ滝は大きな釜と水量の多い滝で直登は無理。右岸を巻く。 −この沢の半分はゴルジュ帯で構成されている。ブッシュづたいに 高巻く箇所と腰から旨くらいのヘツリでどんどん突破していく。 −左岸（右側）から顕著に入る支流が笹ミキ沢（笹見木沢）。 現在位置関係の確認ができる。 −水面沢も左岸から顕著に交わる。庚申七滝観賞用の結構新しい 登山道（階段）が上部に見える。この水面沢まで実は林道が 平行に走っているので、ここから入渓することも可能だが、 それでは遡行価値は半減するであろう。 −先の２つの沢に比べて小さいが左岸から三才沢が交わる。 ここからが核心のゴルジュというが。 −左岸の高巻きをひとつ処理すると２０ｍスラブ滝。左側から バランスでフリークライム。フリクションを信じるしかない。 −しばらく歩くと３０ｍの淵と２ｍの滝が現れる。両岸は高い壁 で高巻きは無理であろう。八ツ目ウナギ泳法で突破する。 −先ほどの淵から５分ほど先、左手支流にかかる35m滝地点の30m くらい先の左岸に何とかビバークできそうな小台地を発見。 ５人ギリギリ。ブルーシートとツエルトを天幕にビバーク。 激雨により焚き火はあきらめたが、シュラフカバーだけでは やはり寒かった・・・。 −ビバークサイトから５分で二俣。右に入る。やや谷は開けた感 はあるものの地形的にはまだまだゴルジュが続く。 −二俣以降のポイントは５ｍ滝が１個。右側から�卦蘢�度で上がる。 このあたりまで来ると、自分たちがビバークしたサイトと比べ 天国のようなサイトが幾つか現れる。 次第に谷は開け、インゼルと思われる地形が数カ所出てくる。 中流部のゴルジュと比べ、気持ちの良い爽やかな渓相。岩魚が まだいる。 −顕著な二俣を右に進みしばらく歩くと右側に赤布と小さな指導標 が現れる。庚申山荘への登山道だが、始めの部分と谷を横切る 部分にトラロープを張ったザレ場がある。百名山ハンターの 一般ハイカーには少し怖い箇所であろう。その他は関東ふれあい の道と銘打ってあるだけあり、天然の白樺やダケカンバなどの 生い茂る素晴らしくきれいな登山道だ。 庚申というだけあって文字通り途中に猿の大群と遭遇した。 −庚申山荘は２階建ての立派な山荘。トイレや水場もある。 −庚申山荘から銀山平への登山道はそれほど急でもなく歩きやすい。 −国民宿舎かじか荘に日帰りの温泉がある。６００円。 それほど大きくはないが、シャンプー・ソープ・ドライヤーあり。 |
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感想
お盆の利根川本谷本番を前に即席メンバー間による事前トレーニングを
やろうとのことで、ゴルジュ遡行を目的とした今回の遡行となった。
メンバーは今回のＣＬに相模労山のＳさん。県連遭対部としても
現在活躍されている超ベテランの沢屋。
利根川本谷には行かないが同じく相模労山のＦさん。お孫さんもいる
という女性で、僕が以前県連リーダー学校受講生だった頃、一緒に受講
された方。受講生時代よりも相当経験を積まれたようで、遡行バランス
やら登攀力、スピードなどとてつもなく素晴らしい！
そしてアルパインクラブ横浜からは、ＦさんとＯさん。
彼は県連遭対部と自然保護委員で活躍しており、よく知った間柄である。
僕にとっても３級以上の沢は３年ぶりなので、事前トレーニングとはいえ
少し緊張していた。
渡良瀬渓谷沿いに国道１２２号を走り、原向駅の先で銀山平方面に左折。
国民宿舎かじか荘先の左側に事前情報で得ていた広い土面の駐車スペース
に車を停めて幕営。
朝起きると早くも庚申川で岩魚を狙う釣師たちが数台仕度をしている。
「あれぇ〜また釣師さんたちとの争いになるのか〜」
※渓流釣師にとって沢屋は、大事な釣り場を荒らしてしまう天敵であり
岩魚がいる沢では、彼らとのいざこざが実は沢の核心でもあったり
するのだ。釣師の横を平気でジャブジャブ通り抜けようもんなら
人によっては喧嘩になることもしばしばである。
幸いここの釣師さんはヤクザみたいな人種でなく、何とか数人軽く挨拶を
しながら、邪魔にならないよう横の岩場をそ〜っと抜かせてもらった。
国民宿舎の脇に「庚申川へ」という案内板があったので、そこを下って
広いゴーロ帯に降り立つ。
今回はお互い県連のお仕事で知り合いながらも共に遡行するのは初めての
面子であったので、お互いの技量を計る目的である。
ＣＬのＳさんがオーダーを決める。
僕にとってはこのメンバーでのＳＬという役目もなかなかプレッシャー。
膝くらいの徒渉で河原を歩いていくと、行く手を巨大な２段構成の堰堤に
ふさがれた。１段目は３ｍくらいの高さだが、左右とも岩場をへつるしか
方法はなく、ちょっと微妙なバランス。
さて、２段目３０ｍを見上げてみると、丹沢などによくある巻き道は
一切ない。垂直のコンクリートと岸壁に覆われている。記録によると、
ここの高巻きは微妙と書かれていたが、なるほど。
右岸のバンドをトラバースし、カンテをＳさんがリードで登る。
２０ｍ登った所でピッチを切り確保してもらいながらカンテからブッシュ
（灌木）を手がかり足がかりにして登った。
更にザレ場を釣師の踏み跡をたどりながら、堰堤の落ち口に向かい登り、
本流に向かい急な草付きを下ると、なに？背が立ちそうもない淵では
ないか！仕方がないのでドボンと飛び込み中州に向かいいきなり泳ぐ。
ザックがメットを押し上げ前が見えなくなった。
早くも両岸が切れ立ったゴルジュ帯となる。まだこの辺りはせいぜい
腰までの徒渉でＯＫ。水は温い所と冷たい所と様々だが全然抵抗はない。
しばらく行くとマイナスイオンがんがんに飛翔させる光風ノ滝だ。
一見しただけで直登は無理。右岸を高巻く。
この「光風ノ滝」は本称を「坑夫ノ滝」という。名前の通り足尾銅山
周辺を掘っていた坑夫の悲しい伝説があるらしい。
下山中にこの滝のちょうど上あたりの林道を歩いていたとき
坑夫が杭を打つ音が遠くから聞こえてきたのだがあれは・・・。
ゴルジュは切れることなく続く。左岸から比較的大きな支流が出合う。
これが笹ミキ沢。ほぼガイド本通りのコースタイム。
先を行くＯさん、Ｆさん、Ｆさんともすばらしいスピードだ。
この後もほとんどゴルジュの中。出てくる滝はいずれも数ｍ級だが
ほとんど前衛として淵を抱えており、高巻きが可能な所は高巻き、
淵を行けそうな所はヘツリと胸くらいの徒渉で突破していく。
水面沢は新しい階段を伴った登山道が上部にかかる。
さらにゴルジュ帯を徒渉とヘツリ、高巻きで行くと、右手から三才沢が
出合う。
記録によるとここからが核心部のようだ。
空がそろそろ曇りだした。風が先ほどと違い雨風になってきた。
「急がなければ・・・」
徒渉すると時間がかかりそうな渕を尾根一本乗り越えて高巻くと、
２０ｍくらいのスラブ滝が現れた。水流左側のスラブをフリクションで
そろそろ登る。ちょっとひやひやする。
小雨が降ってくる。
次にとても背など立ちそうもない３０ｍくらいのトロ。
へつることもスタンスがないのでできそうもない。
先頭のＯくんが左側をヘツリで突破しようとするが、途中から引き返してきた。
「ままよ！」と僕は右側からザックを浮き袋替わりに、縦ホ−ルドを
使いながらいわゆる「八ツ目うなぎ泳法」で滝に近づいていく。
これがホントにおもしろい。泳ぎも久々なのでエキサイトした。
滝の落ち口にはい上がり、後続はＳさんがロープで引き上げる。
滝の音とシャワーで気付かなかったが、もの凄い雨になっていた。
「やばい！二俣までまだあるのに」
これも記録によると、二俣まではゴルジュで、その先には幕営適地が
結構あるらしいのだが、こんな所で増水されたらたまったものじゃない。
おまけに頭上に雷が鳴り出し、ヘッドランプがほしいくらいに
沢の中はまっ暗になる。
それでも心の中で「ん〜何とかなるでしょ」という落ち着きがあるんだな、これが。
左岸に小さな台地が見えた。
上部は崩壊しそうもないしっかりした岩場だ。
急いで上がり、岩場にハーケンを打って天井替わりのブルーシートを
張った。ホッと一息。
けたたましい雨のため、本流は先ほどの倍近い笹濁り状態となった。
下に見える支流出合の３５ｍ滝は今までの数倍の水量にあっという間になった。
「やれやれ間一髪だな」
小降りになっても当然水量は多く、まだ午後２時半だというのにこの
暗さでは仕方がない。
「今日はここで終了」
とりあえず増水にやられる心配はなさそうなサイトだが
５人で一杯一杯で、おまけに斜地のため、決して快適でないが
こういう所でビバークするのも沢のおもしろさだ。
焚き火はできないが、銘々酒を出しツマミを食べて冷えた身体を温める。
夜半まで雨はシートを叩いていた。
僕は一番下の半回転寝返りを打てば斜面にゴロゴロ・・・という場所で
寝ていた。
長い沢では普通軽量化のためシュラフは持たない。
シュラフカバーだけで雨具を着込んで寝るのだが
一日中濡れっぱなしの衣類と身体ではやはりなかなか寒かった。
おまけにシュラフカバーから出た顔には雨粒が否応なしにかかった。
昨日まで熱帯夜で寝られない状態であったのに
今日は寒くて眠れないというのも変な話だ。
Ｆさんの「もう起きましょー！」という高らかな声で起床。
空は・・・晴れている！
冷えた身体に温かいマルタイの棒ラーメンを流し込んで出発。
少し行けば二俣であったが、記録による幕営適地はさらに進んだ
辺りから出てきた。夕べのサイトと比べれば天国のような適地だが
あそこで打ち切らなければ結構危なかったであろう。
暖かい初夏の日差しが天然のままを保った森を映し出す。
中流部の険悪なゴルジュ帯と様相は一変し
穏やかな美しい渓流歩きとなる。
まだ所々ゴルジュと小滝が出てくるが問題なく通過。
次第に沢は広々した平凡な流れとなり
インゼル（沢の中州の島状地形）が何カ所か出てくる。
ただしインゼルの側部高さ２ｍくらいが水流によりえぐれていたので
増水時はこんな上流部でも２ｍ以上増水するのを考えると
沢はやはり恐ろしいものだ。
通り過ぎないように沢を横切る登山道を見つける。
右側上部の枝に赤布があり、小さな標識も立っていた。
スニーカーに履き替え、登山道を庚申山荘に向かい皆早足。
だいたいコースタイムの７掛けくらいで国民宿舎まで降りた。
ＰＳ 今回秀山荘で購入したネオプレーン製の沢用衣類「タイタニウム」
で遡行した。上着の方は暑くて着なかったが、パンツの方は確かに
普段の衣類よりは冷たさを遮断してくれたようだ。
しっかし・・・僕は初めて股ズレなるものを起こしてしまった。
下山している時など痛くて痛くてがに股で駆け下りる情けない格好。
よく沢屋さんはやるとは聞いていたが・・・。
タイタニウムパンツの下は薄手のアンダーパンツ、それに登山用の
ブリーフ・・・それでもなっちまうのか。
風呂に入ってしげしげ見たら股の部分が真っ赤な線になっていた。
ｐｈ９．５の温泉は結構しみたのであった。
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