ヤマレコなら、もっと自由に冒険できる

Yamareco

記録ID: 1291425
全員に公開
ハイキング
鳥海山

鳥海山【日本百名山】

2017年07月26日(水) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 秋田県 山形県
 - 拍手
GPS
--:--
距離
17.5km
登り
1,627m
下り
1,609m

コースタイム

日帰り
山行
6:31
休憩
1:04
合計
7:35
9:45
37
10:22
10:24
21
10:45
11:00
47
11:47
11:50
10
12:00
57
12:57
13:15
30
13:45
13:50
15
14:05
14:15
32
14:47
14:50
67
七五三掛直下
15:57
15:58
2
御室
16:00
16:01
29
七五三掛
16:30
16:31
24
16:55
17:00
20
17:20
ゴール地点
10年ぶりの鳥海山。

前回きた時はまだ登山装備もなく、ハイキング感覚で山を歩いていた。
数時間登って「御浜神社」に着いたら、もう登頂したかのような気になりそのまま下山した。今でこそ、そんなものでは満足できなくなってしまったが、あの時はそれでも一日タップリ歩いた気になっていた。
そして何より、稜線上の情景、夏の山の気候、匂い、そこで食べたお昼ご飯などが後々までやけに記憶に残った。そのせいかまた夏がくると、山に行きたくなった。そんな積み重ねが私を山好きにし、同時に俗世から遠ざける一因となったのだと今になって思う。

今回のルートは象潟口の「鉾立(ほこたて)」から「御浜(おはま)神社」を通り、「七五三掛(しめかけ)」を基点に「七高山(しちこうさん)」と最高峰「新山(しんざん)」を踏み「鉾立」まで戻るというもの。コースタイムで7〜8時間といった所だが、決して難しいルートではない。実際はもっと短時間で回れるハズだ。
天候 雲量はあったが概ね良好
過去天気図(気象庁) 2017年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
コース状況/
危険箇所等
千蛇谷に雪渓。アイゼンの必要はなし。
その他周辺情報 本山行の詳細はブログでイラスト付きでご覧いただけます。
http://takaman.teketen.daa.jp/?eid=24
鉾立展望台から新山を望む。
2017年07月26日 09:43撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 9:43
鉾立展望台から新山を望む。
開始早々に森林限界を超える。空は晴れ渡り山登りには最高の気候だ。
2017年07月26日 10:16撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 10:16
開始早々に森林限界を超える。空は晴れ渡り山登りには最高の気候だ。
「御浜神社」で一休み。外輪から火山湖の「鳥海湖」を見下ろす。
2017年07月26日 10:47撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 10:47
「御浜神社」で一休み。外輪から火山湖の「鳥海湖」を見下ろす。
トウゲブギ
2017年07月26日 11:05撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 11:05
トウゲブギ
クルマユリ
2017年07月26日 11:08撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 11:08
クルマユリ
緑と青のコントラスト、その中に咲くニッコウキスゲの黄色・・・私の中の「夏山の原風景」ともいえる光景だ。
2017年07月26日 11:22撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 11:22
緑と青のコントラスト、その中に咲くニッコウキスゲの黄色・・・私の中の「夏山の原風景」ともいえる光景だ。
「七五三掛」から「外輪山ルート」を通り山頂へ。気持ちのいい稜線歩きを楽しめる。
2017年07月26日 11:57撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 11:57
「七五三掛」から「外輪山ルート」を通り山頂へ。気持ちのいい稜線歩きを楽しめる。
「文珠岳」。前方には最高峰「新山」、少し奥にもう一つのピークの「七高山」が見える。目的地への距離をかなり詰めている事が分かる。
2017年07月26日 12:00撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 12:00
「文珠岳」。前方には最高峰「新山」、少し奥にもう一つのピークの「七高山」が見える。目的地への距離をかなり詰めている事が分かる。
オヤマリンドウとミヤマキンバイ
2017年07月26日 12:45撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 12:45
オヤマリンドウとミヤマキンバイ
まずは七高山を登頂。更に先に進むと「矢島口」と「猿倉口」に繋がる。交通手段の手配がつけば、鳥海山を縦走するのも面白そうだ。
2017年07月26日 13:13撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 13:13
まずは七高山を登頂。更に先に進むと「矢島口」と「猿倉口」に繋がる。交通手段の手配がつけば、鳥海山を縦走するのも面白そうだ。
七高山山頂から少し戻り、「新山」を目指す。
2017年07月26日 13:14撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 13:14
七高山山頂から少し戻り、「新山」を目指す。
分岐から斜面を下り、残雪を渡ってから登り返す。
2017年07月26日 13:15撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 13:15
分岐から斜面を下り、残雪を渡ってから登り返す。
登った先には御室小屋だ。
2017年07月26日 14:10撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 14:10
登った先には御室小屋だ。
取り付きから15分で鳥海山最高地点の「新山」山頂に到達。雲海の奥にうっすらと「男鹿半島」が見える。
2017年07月26日 13:46撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 13:46
取り付きから15分で鳥海山最高地点の「新山」山頂に到達。雲海の奥にうっすらと「男鹿半島」が見える。
9合目の「山頂御室小屋」が眼下に見える。
2017年07月26日 14:01撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 14:01
9合目の「山頂御室小屋」が眼下に見える。
あとは「千蛇谷」を通り下山するだけ。
2017年07月26日 14:14撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 14:14
あとは「千蛇谷」を通り下山するだけ。
「七五三掛」直下。斜面を見上げると、太陽がちょうど真上にきていた。降り注ぐ光を靄が反射し、いい雰囲気を醸し出していた。
2017年07月26日 14:47撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 14:47
「七五三掛」直下。斜面を見上げると、太陽がちょうど真上にきていた。降り注ぐ光を靄が反射し、いい雰囲気を醸し出していた。
新山を最後に振り返り、「さぁ、帰るぞ」・・・と思ったら、下山中にキャップに乗せてたサングラスを落とした事に気付き、急遽9合目まで登り返す。
2017年07月26日 14:47撮影 by  Canon EOS Kiss X7, Canon
7/26 14:47
新山を最後に振り返り、「さぁ、帰るぞ」・・・と思ったら、下山中にキャップに乗せてたサングラスを落とした事に気付き、急遽9合目まで登り返す。
「七五三掛」から帰り道を見下ろす。サングラスは結局見つからなかった・・・
2017年07月26日 16:01撮影 by  iPhone SE, Apple
7/26 16:01
「七五三掛」から帰り道を見下ろす。サングラスは結局見つからなかった・・・
強い西日が日本海に反射し、目に飛び込んでくる。こんな時こそサングラスが欲しい…
2017年07月26日 17:05撮影 by  iPhone SE, Apple
7/26 17:05
強い西日が日本海に反射し、目に飛び込んでくる。こんな時こそサングラスが欲しい…

装備

個人装備
長袖シャツ Tシャツ ズボン 靴下 グローブ 雨具 ザック 昼ご飯 行動食 飲料 地図(地形図) ヘッドランプ 日焼け止め 携帯 サングラス カメラ テント携行(縦走シミュレーションのため)
備考 千蛇谷を下山中、キャップ上のオークリーを吹き飛ばして失くす。七五三掛直下から9合目の御室小屋まで捜索のために登り返すことに。

感想

9時45分、象潟口から山行開始。
登りの石段が続く。暫くすると稜線が顔を見せた。
この日見た稜線からの景色は、10年前と変わらず美しかった。

30分過ぎた辺りで「賽の河原」を通過。途中で雪解け水の小川を見つける。
標高が上がり気温は下がっているが、登りと照りつける太陽により体温は上昇している。サングラスを外し、冷水で顔を洗う。濡れた肌に吹き付ける風が心地良い。

スタートから1時間で前方に鳥居が見えた。最初のチェックポイント「御浜神社」だ。昔と違い、違い随分あっさりと着いてしまった。
以前はここが折り返し地点だったが、今回はまだまだこれから。まずは岩に腰掛け小休止をとる。辺りには多くの登山客がいる。

休憩を終え、火口湖の外輪に沿って先に進む。登山道の脇には多くの高山植物が咲き乱れる。何度かアップダウンを繰り返した後、本格的な登りが始まった。
立ち止まって深呼吸をする。湿度を含んだ暖かい風が体内を通り抜けるが、街中と違い寧ろ心地良い。

御浜神社から30分で「七五三掛(しめかけ)」に到着。ここから道は二手に別れる。谷沿いに山頂にアプローチする「千蛇谷(せんじゃだに)ルートと、稜線上から山頂にアクセスできる「外輪山ルート」だ。私は右手の外輪山ルートで反時計回りに山頂を目指す。

稜線上を歩く。左手には最高峰「新山」、少し奥にもう一つのピークの「七高山」が見える。右手には日本海が広がっているはずだが、雲に覆われ視界はない。それでも稜線歩きは楽しい。樹林帯の少なさと、稜線歩きが多い「鉾立ルート」は私の趣向にマッチしている。ここまできたのは初めてだが、「このルート好きだなぁ・・・」と、しみじみ思った。

稜線は左に湾曲していき、「文珠岳」を通過する。
その後、小屋と七高山への分岐に行き当たる。まず七高山を落としてからここまで戻り、新山にアタックする事に。両ピーク共もう目と鼻の先だ。

数分で七高山の山頂に到達した。ここで少し休憩。
サーモスを取り出す。サンドイッチを食べながら、朝家で淹れてきたホットコーヒーを飲む。山、ご飯、コーヒー…最高の組み合わせだ。

小休止後、分岐まで戻る。
斜面を下り、残雪を渡ってから登り返す。登った先には御室小屋。
山頂へと岩稜帯が聳える。バックパックをデポしてもいいが、トレーニングも兼ねてそのまま山頂へアタックした。

取り付きから15分で鳥海山最高地点の「新山」山頂に到達。
周囲を見回すと、北の方角に「男鹿半島」や「寒風山」が見えた。山頂からは秋田沿岸部の特徴が良く分かる。

山頂から10分で9合目の山小屋まで降りてきた。
周りを峰々に囲まれていて、何となく火口に建つ隠れ家みたいだ。天気のいい時はここで一泊して御来光を見るのも良さそう。

駆け足で坂を下る。下山は「千蛇谷」を通り「七五三掛」まで戻るルートだ。
脚をフル回転させ駆け下りると、汗が吹き出し身体がヒートしてきた。
道中で雪渓を何度か通る。その度にクラストした氷を手に取り、顔と髪と首筋に擦り当てて冷やす。最後にもう一掴みしキャップの中に突っ込む。これでオーバーヒートせず進むことができる。

「七五三掛」直下まできた。
目の前の雪渓を渡り、急斜面を少し登れば分岐だ。例によって氷でクールダウンし、一息つく。9合目の御室小屋からここまで30分。中々いいタイムだ。
「さて、スタート」と雪渓を歩き始めるが、半分程進んだ所で違和感を感じる。
その違和感の元に引き寄せられるかのように手を頭に伸ばす。指先が濡れたキャップにゴツンと触れる。

「オークリーがない!」

キャップに乗せていたはずのサングラスがそこにはなかった。
その時、脳裏にある光景が浮かぶ。
雪渓上でキャップを脱ぎ、首から上を氷まみれにしている自分の姿だ。
「あの時か…!」

一も二もなく雪渓を引き返す。ここまで山行時間は約5時間。
最後にオークリーを確認したのは9合目の御室小屋。そこまでの雪渓は3箇所。
水も食糧も尽きかけ、後は登山口に戻るだけのはずだった。そこから最悪、9合目付近まで再登攀しなくてはならないとは…

登り始めてから1時間後…山頂御室小屋の前で立ち尽くす。
「終わった・・・」

3箇所あった雪渓で見つけられなかった時点で半ば諦めていたが、とうとうここまできてしまった。
これからまた引き返す。確かに最初と同じ視点で下り直せば、見つかる可能性は上がるかもしれない。だが、気持ちは既に諦めていた。
「これはもう見つからないパターンだ」

帰りの時間が迫っている。
疲れきっていたが、下りを前回同様30分掛けて疾走する。
ポラライズド加工されたオークリーのレンズは、「あわよくば…」という最後の希望の光を反射する事はなかった。

16時半、御浜小屋まで戻ってきた。この時点で山行開始から約7時間。
後は駐車場まで下り一辺倒。元気な状態なら30分あれば降りられるだろう。だがもう走り続ける事が出来ない。そして妙に息切れする。
脚の疲労もそうだが、身体が明らかに脱水症状の兆候をみせている。数十メートル走っては脚の力が抜け、立ち止まってしまう。歯を食いしばって何度も走り直すが、遂には脚が痙攣しだし、崩れ落ちてしまう。

運動しててこんな風になるのは初めてで、ショックを受ける。サングラスを失くした上に、鳥海山の登山道で行き倒れるとは何とも惨め…
まさに「泣きっ面に蜂」だ。

よろめきながら往路で休んだ小川に辿り着き、ボトルで清流を汲み上げ一気に飲み干す。すると脚の震えがおさまり、倦怠感が薄れていく。
やはり人は水なくして動けないのだ。雪渓には苦い思いが残ったが、雪解け水には助けられた。死に体を何とか蘇らせることができた。

動けるようにはなったが、それでも身体が重たい。
下方に駐車場が見えてきた。
強い西日が日本海に反射し、目に飛び込んでくる。残り1kmが遠い。
17時20分、御浜神社から50分で象潟口の駐車場に戻ってきた。

標高2,236mの出羽富士は美しくも、苦い教訓を残した。

お気に入りした人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:349人

コメント

まだコメントはありません
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

コメントを書く

ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。
ヤマレコにユーザ登録する

この記録に関連する登山ルート

ハイキング 鳥海山 [日帰り]
鳥海山 大平ルート
利用交通機関: 車・バイク、 電車・バス
技術レベル
3/5
体力レベル
3/5
無雪期ピークハント/縦走 鳥海山 [日帰り]
千畳ヶ原
利用交通機関:
技術レベル
3/5
体力レベル
3/5

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

この記録は登山者向けのシステム ヤマレコ の記録です。
どなたでも、記録を簡単に残して整理できます。ぜひご利用ください!
詳しくはこちら