霊石山 〜車道を使わずに三角点を目指す〜

- GPS
- 03:24
- 距離
- 5.5km
- 登り
- 345m
- 下り
- 340m
コースタイム
- 山行
- 3:05
- 休憩
- 0:19
- 合計
- 3:24
天候 | 曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
今回歩いたコースの上り、稜線までは一部不明瞭ながら道(踏み跡)になっていますが、下りのコースはほぼ薮こぎでした。GPSは必須です。 |
その他周辺情報 | 鳥取市街に近いので、車でおいでの方は鳥取市内にある数々の温泉をお楽しみください。道の駅は国道53号線バイパスの「道の駅清流茶屋かわはら」が近いです。 |
写真
二等三角点「 米岡」
緯度: 35:24:49.7438
経度: 134:13:19.0652
標高: 333.51
装備
個人装備 |
半袖シャツ
ジャンパー
ズボン
靴下
グローブ
日よけ帽子(キャップ)
靴
サブザック
行動食(飴)
予備食(シリアルバー)
飲料(お茶600mL)
iPhone(GPS+カメラ)
iPad mini
サブバッテリー
カメラ
携帯電話
時計
ラジオ
手拭い
ティシューペーパー
|
---|---|
備考 | 長袖で行くべきだった。 |
感想
今年は例年になく台風が多い。秋雨前線もずっと停滞している。おかげで山へ行くことができないまま日々が過ぎていく。県の中国大会予選のときにも天気が悪く、コース変更となったために、私は本部待機となってしまい、登山に参加することができなかった。私が山を歩くようになって、それが私の健康保持に少しはつながってきたように思う。仕事と、家でだらだら過ごすことばかり続けていたら体重ばかり増えてメタボになってしまう、何とかせねば、と少し焦る気持ちが出てきた。今度の土日も台風が接近してくる予報で、いったい何時になったら山を歩けるかわからない。そこで、思い余って、週の半ばではあるが、仕事を片付けて半日ほど年休をとって山へ行くことにした。丸一日年休をとることができなかったのは私の意気地無さだ。
最初は県境を越えて、一等三角点の山へ行くつもりだった。けれども、国道53号線を車で南へ向かいながらこれからの行程を考えていてふと、「車で1時間余りもかけて県外へ行かなくても、まだ登ってない山がそこにあるじゃん」と思い立った。目の前には霊石山(れいせきざん)があった。
鳥取市の南に位置する霊石山はパラグライダーのメッカとして知られている。また、山の名前から由緒のある場所だということが窺える。山頂付近には二等三角点があって、ずっと気になっていた山だった。ただ問題は、山ガイドやネットの山行記録の登山が、大抵みんな山頂へ向かう車道を歩いていることだった。私は「車で行ける所なら車で行けばいいじゃないか」と思ってしまうのだ。けれど八頭町出身の母からは「中学校の遠足で霊石山に登った」という話を聞いていた。今ではこの山を歩く人もめったに無いのかもしれないが、きっといくつかの道があるはずだ。山の近くまでやってきて、iPadで霊石山の登山道を検索してみると、「麒麟の町観光ネット」に霊石山登山の案内が掲載されていた( http://www.tottori-inaba.jp/new-tokusyu/tottoriinabayamakikou/search/2016/12/05/霊石山/ )。そこに、自動車道を使わずに頂上まで行くルートが紹介されていた(下山は自動車場を使っているが)。とりあえず上りはそのルートを通って、下りは国土地理院の地図にある点線の道を歩いてみることにした。
登山口となる国英(くにふさ)神社には駐車場がない。近くに車が停められるような広場が無いかと少し探したが良さげなところを見つけられなかった。しかたなく、路肩が少し広くなっているところに車を停めてそこから歩くことにした。田舎の道路で路側帯の白線の外側に車を停めていれば、当てられたり通報されたりすることはあるまい。
車を下りてまずは登山口の国英神社へ向かった。そして今日の安全を祈って手を合わせた。天然記念物だというイチョウの横を抜けて社殿裏の竹林に足を踏み入れた。ネットの案内には「国英神社横に登山口があります」と書いてあったので、道があるはずなのだが…。竹の茂る斜面を歩きながら道を探すが明瞭な道は無さそうだ。…ううむ、リュックからiPadを取り出して案内地図を拡大してよくよく見ると、上り始める場所はこの神社の境内ではなく、もう少し東へ行ったところにある民家の間の細い道のようだ。けれどもせっかく上り始めたので、竹林を東に横切って道に突き当たるまで進むことにした。荒れた薮で倒れた竹をくぐったり乗り越えたりした後、細い谷川に突き当たった。そしてその斜面を上ったところに道を見つけた。
途中の様子は写真のコメントを見てください。
上りのコースは草は生えているものの、道らしきものをずっと歩いて行くことができた。途中には所々石の地蔵が置かれている。しばらく上ると屋敷跡に出た。石塔や大きな石仏が立っている。奥の方にはコンクリート造りの小屋があり、中には鉄格子の向こうに何やら納められている。そしてその前で線香があげられるようになっている。一角には30体ほどの石の地蔵(観音?)が並んでいる場所や大きな天然石の墓標がある。かつては寺が建っていたようだ。
そこから車道を横切ると「源範頼の墓」というのがある。その横を抜けて奥の方へ進んだ。こっちに三角点があるはずだ。道は途中で不明瞭になり、iPhoneのGPSを頼りながら三角点を目指して進んだ。杉林の中に三角点標石とその隣に倒れた標柱があった。三角点を確認し、写真を撮り、山頂への道を探して再び歩いた。
自動車の通る道はできれば通りたくない。車道に出くわしたが通りの反対側に何やら標識と道があったので道を渡ってそちらへ入った。標識には「伊勢ケ平→」記されていた。道には落ち葉が積もっているものの道であることはわかる。落ち葉を踏みしめながら歩いて行った。最近雨の日が多いので林の中ではずいぶんたくさんのキノコを見つけることができた。どれが食べられるものなのか、毒キノコなのかわからないので採取することはしなかったが、見る人が見れば大収穫祭だったのかもしれない。出会ったキノコの幾つかは写真を撮って、図鑑やWEBでそれらしい名前を調べて記したので、ご覧いただきたい。
しばらく行くと笹の茂った平原に出た。近くの森ではガサガサと動く動物の気配、嘶(いなな)く声、どうも鹿の暮らす場所のようだ。踏み跡は鹿の歩いたケモノ道なのだろう。そしてここで、鹿と対面した。木立の向こうでまっすぐこちらを睨みつける牡鹿がいた。カメラを向けても微動だにしない。「ごめんなさい」と、その場から数歩動いて再びその方向を見た時にはもう鹿の姿は無かった。まったく、もののけ姫のシシ神様そのものだった。きっとジブリには山で鹿に出会った人がいるに違いない。
ここから左に折れてハンググライダー基地に行っても良かったが、私の目的はこの稜線にある二等三角点だったので、右に折れて東の稜線へ進んだ。稜線へ出ると、そこは下草のほとんど無い杉林だった。人が手入れしたものではあるまい。鹿が下草を食べたのだろう。木の根元に真っ赤なタマゴタケがぽつぽつと生えている。そしてその先に三角点があった。かなり埋もれていてどこに文字が書いてあるのか最初はよくわからなかったが、木の枝で周りの土を少し掘ったら旧字の「三角点」の文字を確認することができた。
登頂の目的を果たしたので、あとは下山だ。国土地理院の地図にはここから南向きに麓へ向かう点線が記されている。この点線の通りに行けば下りられれるはず…だったのだが、そこには明瞭な道は無かった。GPSを頼りに方向を定め、笹の薮の中にある踏み痕らしき場所を辿って歩いて行くのみだ。この踏み跡もきっと鹿の歩いた痕なんだろうと思いつつ、でもそこを歩くしかないのだ。しかし、中腹まで下りると石積の上にトタンの屋根が架けられていて、その中に祠(ほこら)らしきものが納められていた。誰も歩かない場所かと思っていたが、ここを通る人がいるんだ。そしてそのすぐ下には割れた瓦が散乱している。かつてはここに建物があったのか。荒れ果ててはいるが昔は人の営みのあった場所のようだ。
地図ではここから道が二つに分かれている。そのまま稜線を下りる道と、少し西の渓筋を下りる道だ。車を置いている場所に戻るには右に折れて谷筋の道を行くのが近道なのでそちらへ進むことにした。やはり道が実際あるのかないのかはよくわからない。少し歩いて渓筋に入ってきたが、やけに傾斜が急だ。渓もかなり深く切れ込んでいるし。これ、どう見ても道じゃないよね、渓谷だよね。滑り落ちたら怪我じゃ済まないかも。前へ進むか引き返すか、かなり真剣に悩んだが、ここは覚悟を決めて歩けるところは歩き、切れ込んでいるところは手と足を両側に突っ張って下りて行った。靴や手袋が濡れて泥だらけになるのをとやかく言うどころではない。ここに滝でもあったものなら万事休すだったのだが、幸い滝には出会わず、なんとか渓沢下りをクリアすることができた。やれやれ、良い子は決して真似してはいけません。少し遠回りになっても尾根筋を歩きましょうね。
更に沢筋を下って、コンクリートの護岸や鉄の柵、シイタケの榾木が積んであるのを目にしたときにはほっとして、泪が出そうになった。200mやそこらの低山と言えど山を侮(あなど)ってはいけない。道がついていればハイキングだが、道のないところを歩くのはチャレンジだ。必ずしもうまくいくとは限らない。例えば、今日の山歩きでも、どこかで足を滑らせて足の骨でも折っていたら、マムシに噛まれたりスズメバチに刺されたりしていたら、大変なことになっていたに違いない。もう少し慎重に、安全第一で山歩きを楽しもう。永くトレッキングライフが続けられるようにしよう。
山から下りて木立の中から田園の畦道に出てきた私を真っ赤なヒガンバナが迎えてくれた。秋はまだ始まったばかり、雪が降るまでにあといくつの山に登れるかな。
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