谷川岳・蓬(よもぎ)峠
- GPS
- 07:00
- 距離
- 14.4km
- 登り
- 1,009m
- 下り
- 1,009m
コースタイム
天候 | 薄日 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年02月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
グレートサミッツ国内編NO11 谷川岳・蓬峠
なんで蓬がビッククライミングなんだよと、誰もが思う。あんなものハイキングじゃねえか。最初は誰もがそう思った。いやそもそも谷川岳でクライミングする人は、蓬峠など知らないのだ。そんなところにはいかない。
でも冬にもそこへ行く、よっぽどの物好きだ。行くまでがラッセル三昧で相当大変なのだが、しかしそれが好きだ。しかも稜線に登りあがるときが、ちょっと信じられない様子になる。蓬は、標高1500mしかないのだが、ここは森林限界の上部で、雪の急斜面との戦いになる。隣の清水峠は1450mしかないのだが、さらに里に遠くて、難しい。アイゼンをはいても中途半端なモナカクラストで、ズボズボ潜って対応できない。スキーで登りあげるのはけっこう急だ。しかも風が強い、さらにただの雪面が続くだけで全く愛想がない。「何しに冬にそんなところに行くんだ」と誰もが言う。
谷川岳のブナ林は蓬の辺りで、稜線のおよそ150m下で終わって、あとは夏には背丈を超える笹っ原になる。稜線の登山道はトンネルのように笹っ原の中をくぐるように道がつながる。いやあ景色はいいのだ。夏の登山者は、いつ樹林を抜けるのか、それが涼しさを求める理由になっているのだが、蓬の高度で森林の上に出られるのだから、谷川連峰が好かれるのは、まずこれが理由だ。上越のこの素晴らしい稜線に勝るものは本州にはないと、断言しよう。北アの1500mって、まだ登山口じゃないのか。
そして冬には、それが全面雪の下に隠れるという理屈で、そこは真っ白な斜面であり、風雪が相当に強いし、そして条件が重なると、きれいに雪崩れる。過去に雪崩れ跡を見たことがある。対岸のコマノカミの稜線で、しかも目線よりも低いところの疎林の斜面が、大規模に表層で崩れていた。樹林帯は、特にブナの森は、一応は雪崩れ対応でパウダーシーズンでも安全とはされているが、しかし上部に出るとどうか。
蓬なんていう、夏のハイキングルートが、冬に素晴らしいスキールートを提供してくれることに、いつも谷川連峰には感謝する。
そして数年ぶりというドカ雪の今の時期に、パウダー滑りに行ってみようか。スキーシーズンが半年続いたとしても、パウダーに勝るシーズンはない。過去に十回は通った道でもあるが、満足に登行して滑れた記憶は相当に少ない。今は超ファットスキーもはいているし、それでどう対応できるかも知りたい。
土樽に来るのはシーズン二度目。意外なことに、毛渡沢の先で通行止めだ、まさか積雪で。2006年豪雪のときに、土樽駅付近の魚野川は、対岸荒沢山からの雪崩れが登ってきて、5mくらいの雪津波になった。雪は実は津波のように盛り上がるのだ。あの時列車は一か月停止(土合〜土樽間)したし、その影響で、このあたり電信柱がないと地元の人が教えてくれた(電線地中化と言うと、嫌がらせになる)。今年も警戒しているが、06豪雪よりは雪が少ないが。さて、右折して発電所近くに車を止めて歩く。
30分で除雪の終点。そこから新雪に踏み込むが、ああやはり正直に、1月のパウダーよりももう重くなっている。ブーツサイズしか潜らない。どんどんいく、知っている杉植林地帯も、しかしこれだけ雪があると楽しいものだ。奥まで来た中では、過去一番雪が多かった時だろう。夏なら案外下に見える蓬沢の流れも、なんだか同一高度になっている。異次元のようでファンタスティック。いつも流れが出ているところも埋まっているし、蓬沢標高千m辺りの踏みかえ点も、流は全面雪の下で、全く問題ない。さてその先から、右に沢から尾根に上がる。蓬へいくといっても、沢筋の夏道は行けるわけもなくて、手前の広い尾根を上がっていく。
天気がいい。週末は冬型が少し緩まるとは知っていたが、だから現地へきて、太陽が射すのか、降雪でガスったままなのかは、晴天のチャンスにベット(賭け)しているだけのことで、半分は晴れるけど、半分はいつも通りでダメという程度の話だ。そのサイコロが、今日は吉と出たか。
どんどん登って、上の稜線直下まで行ったが、さてここから先、風が強くて、稜線に上がる気力が出ない。いくら冬型が緩いといっても、ガスってきた。いつまでも山はいい顔してくれない。どうせ向こう土合側へ滑れるのは、3月になってからに決まっているわけで、来た道戻るならば、今日はここでOKだ。標高1450mが最高到達地点になった。蓬の小屋の避雷針も見えたし、対岸のコマノカミやシシゴヤの稜線のよく見えた。
ああ、パウダーの蓬満喫で、どうやって滑るか、滑降するか。転ぶと小麦粉タンクに頭から突っ込む大事件になるわけで、安全運転で、パウダー、おお上越ではシーズン最高のシルキーパウダー北斜面だった。下の谷に入ると重いけど、自分のトレース跡に入れば、また加速して、6時間かけて登った道を1時間で滑った。
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