桟敷ヶ岳〜飯森山☆雪の城丹国境尾根を行く
- GPS
- 03:22
- 距離
- 12.0km
- 登り
- 795m
- 下り
- 801m
コースタイム
天候 | 曇りのち雪又は雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
多少の倒木あり 積雪は桟敷ヶ岳でツボ足で膝下まで、飯森山ではくるぶし程度 城丹国境尾根は二重山稜となる箇所で尾根を乗り換える必要があり注意深く地図と登山路を読む必要があり |
写真
感想
城丹国境尾根とは山城と丹波の国境を意味する。当然、この国境線は京都の北山の端を縫うように複雑な線を描いて伸びてゆくのだが、城丹国境とキーボードに打ち込んむと検索結果で上がってくるのは専ら桟敷ヶ岳から飯森山を経て天童山に至る尾根の山行記録である。家内と連れ立って桟敷ヶ岳に登った際、山頂手前の好展望の鉄塔広場から大きく傾いた黄金色の西陽を背景に西に伸びてゆく城丹国境尾根を眺めたのは一昨年、紅葉も終盤の晩秋のことであった。
京都で午前中に小さな用事があったのだが、午後の短い時間の山行先としてこの桟敷ヶ岳から飯森山の間の城丹国境尾根を選ぶ。前回は岩谷志明院から登ったのであるが、今回は城丹国境尾根を辿ることが主目的なので、市内から京見峠、杉坂と越えて、国道162号線から大森へと回り込むことになるので、アプローチに時間を要する。国道沿いは有名な北山杉の産地であるが、やはり杉の倒木が目立つ。
大森のキャンプ場に着いたのは既に13時近くになっていた。キャンプ場の駐車場代を払うために、80年台の西海岸風のフロントに入ってゆくと受付には誰もいない。建物の中に入ってゆくと、食堂で職員の方達が昼の団欒を楽しんでおられるところだった。「車を駐車させて頂きたいのですが」と申し出ると、すかさずマネージャーと思しき1人の男性が即座に立ち上がる。
「昨年の台風での倒木がひどくて、私達はこのあたりですらまだ処理が終わっていないんです。山の上はどんなに酷いことになっていることかと思いますよ・・・
昨年の秋のことでしたが、パーティーで登山されるということで、事前に数人で下見に来られた方々が山に入られたんですけどね。朝にここを出られて桟敷ヶ岳の頂上で、昼過にこれから下山しますと連絡を頂いたんですが、飯森山からこちらに下ってこられたのは18時過ぎでしたので、えらく心配しました。桟敷ヶ岳を越えてから数多くの倒木を乗り越えられたらしいですよ。倒木で足の踏み場もないようなところもあったらしいです。でもそれは雪のない季節のことですから。もう既にこの時間ですから・・・」
何とも親切なアドバイスを頂くが、明らかに止めた方がいいという口ぶりである。勿論、そのパーティーの登山というのは実現しなかったらしい。しかし、それなりの倒木が多いのはもとより覚悟の上である。興味深い話を聞いて、ますますこの尾根に対する縦走意欲が沸き起こるのであった。一種の本能のようなものだろうか。
「貴重な情報、どうも有難うございました。行けるところまで、気をつけて行って参ります」
「それでは、申し訳ないんですが、駐車場代¥600を頂くことなるんですが・・・」
素直に忠告に従ったら駐車場代を徴収する機会を逸したことだろう。
「それでは、どうぞお気をつけて」と私を送り出して下さった見るからに好人物そうな男性の笑顔の陰には私に対する心配が混じっているのは確かだろう。
キャンプ場の入り口を集落の方に戻ったところで、山中に続く林道に入ってゆく。雪は薄っすらと林道を覆う程度である。薬師峠に辿り着くと尾根道となり、緩やかな弧を描いて左手の岩茸山へと進んでゆく。樹間からは岩茸山の山頂が見えたかと思うと、みるみるうちに山の上が雲に包まれてゆく。
岩茸山の山頂が近づくにつれ雲の中へと入ってゆくことになる。一般登山路は右手の斜面をトラバースしてゆくのだが、前回踏まなかった岩茸山のピークを踏むべく、雪が積もった尾根を直登する。最初の急斜面の直登が終わり、尾根がなだらかになるとヒメシャラの潅木の間のトンネルを抜けてゆく。
岩茸山の山頂を越えると急に雪の量が多くなる。まもなく稜線上の杉林の間には広く平坦な道が現れる。どうやら雪に埋もれた林道のようだ。林道のすぐ右手を本来の登山道が通過しているはずだ。林道を辿るとすぐに反射板に辿り着く。林道はどうやらこの反射板を建設するためのものだったのだろう、ここで林道は終わり、やがて右手からトラバース道と合流すると、桟敷ヶ岳への広くなだらかな尾根となる。落葉した自然林の尾根上は明るいが、当然ながら積雪も増え、膝下までのラッセルとなる。これではまったくスピードは上がらない。
雲が薄くなり、尾根上にわずかに光がさす。広い尾根は自在に歩けるので、時折の倒木を避けるのにさほど難儀することはない。再び急に霧が濃くなり、本来、好展望であるはずの鉄塔に辿り着くと、鉄塔の下に立っても上が見えない程の濃霧となった。
鉄塔広場からはすぐに広い山頂広場に達する。北西の方向に延びる薄暗い森の中に入ってゆく。登山路は完全に雪の下であるが、ここまでは頻繁にテープ類があるのでルート・ファインディングには苦労しない。
ナベクロ峠からは杉林の中を西に向かう。尾根上には多少の倒木はあるものの、北山の他の山域に比べたらかなりマシなほうだろう。しかし、自分が整備された一般登山路を歩くことが滅多にないのでそう思うのかもしれない。倒木を越えたあとで確実にルートを探すことに慣れていないと頻繁に現れる倒木にルートを見失う可能性があるかもしれない。
いつしか雪が降り始める。やがて尾根は二重山稜となるのだが、テープを辿るうちに右手の尾根に入りかける。尾根上にはテープが続いてはいるが、どうやら本来の登山道は山稜の間の谷間に下り、左手の尾根に乗り換える必要があるようだ。尾根を戻り、下りやすいところから谷に降りる。このあたりの広い尾根は雰囲気が良い。新緑や秋の紅葉の季節に訪れたいところだ。
しばらくすると尾根は伐採地となり、防鹿ネットに沿って進んでゆく。本来は好展望が広がっていることと思うが、雪雲の中にあっては何も見えない。尾根筋を下って杉の植林の中に入るが、どうやら主稜線から外れた支尾根に入り込んだようだ。雪に埋もれていてわからないが、本来の登山道は尾根の間を辿り、正面の小ピークの斜面を登るようだ。迷い込みやすい支尾根が意外と多く、こうした細かい地形が読めない山と高原地図のみでは道迷いの危険性があるルートに思われる。
斜面に差し掛かると倒木が目立つが広い斜面を左手に巻いて倒木を避けることが出来る。緩やかに尾根を下って大谷峠に辿りつく。後は飯森山までもう少しだ。いつしか雪はやみ、空が明るくなりはじめた。馬酔木の潅木の中をくぐり抜けて飯森山の山頂に立つと私を歓迎するかのように雲を通して柔らかな陽光が差してくるのだった。
大谷峠に戻ると、ここからは杉の植林地の中の作業道をジグザグと下ってゆく。植林地に入ると急に積雪の量が少なくなる。広い林道に降り立つと、最後は大森キャンプ場まで長い林道歩きである。空を見上げると雲の合間に青空が広がりつつあるのだった。
キャンプ場に戻り、先程の男性に帰還のご報告をすべくキャンプ場の受付に立ち寄る。やはり「とても心配しておりました」と仰るので、ご報告してよかった。大森の集落はこんなところにこんな集落が!と思うほどの山里の雰囲気に溢れる立派な集落であった。
城丹国境尾根を訪ねる山旅はまだ端緒についたばかりである。
※感謝を込めて、大森キャンプ場のサイトを紹介します
http://www.omori-camp.jp/index_top.html
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