甲斐駒ヶ岳
- GPS
- --:--
- 距離
- 9.0km
- 登り
- 1,225m
- 下り
- 1,226m
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
|
予約できる山小屋 |
北沢峠 こもれび山荘
|
写真
感想
7月15日、この日は甲斐駒ケ岳に登ることにしました。
3時に起床。この時点でテントの外はガスガス状態で、ときおり細かい雨が落ちてくるような状態でした。
なんか嫌な感じだな〜と気持ちが萎えかけますが、天候の回復を信じて出発することにしました。
出発直前に同じく岩手から遠征して来ているながくんにお会いしました。
色々と甲斐駒ケ岳の情報を教えていただきました。
(ながくん達のパーティは、我々の一日先の行動をしています)
昨日はガスの中を登りながらも、山頂付近で展望が開けたとのこと。
今日もそのようになることを願って出発します。
まずは沢沿いの登山道を仙水小屋を目指して歩きます。
空は白んで来ましたが、樹林の中の登山道はまだ暗くヘッドランプを点けて進行します。
初見の登山道をヘッドランプを頼りに歩くのは初めての経験。
道がしっかりしているからいいようなものの、そこはかとなく緊張します。
沢の水は、夜と変わらぬ暗さの中、底まで透き通って見える程澄んでいます。
これで月明かりでも写り込んだらさぞや神秘的であろう…などと思ったりもしますがとりあえず今は「ドボン」しないように気を付けて登る事に専念します。
途中、数カ所丸太橋での徒渉点があります。スリップ注意。
30分強で仙水小屋に到着します。
予約者以外は立ち入り禁止…という札が着いたロープが張られ休憩の余地がありません。
まぁ、まだ休憩が必要なほど歩いてはいませんが。
正直、このロープの存在や佇まいから「とっつきにくい山小屋」なのかな?と思ったのですがネット上などでは意外に評判がいいようです。
小屋の回りの樹林帯はテン場になっていて十数張りのテントが立てられていました。
そのテントの間の登山道をたどり先へ進みます。
仙水小屋から先は沢音が遠ざかります。
樹林帯を抜けると、突如見上げるような岩石の山が現れました。
あまりの景色の変わりように思わず
「おお、すげ〜。なんじゃこりゃ」
とツートンと二人顔を見合わせます。
登山道は岩の斜面の裾野をなぞるように続いていきます。
前方に摩利支天が見えてくると、にわかに風が強くなって来ました。
なんだかあまり良い天気ではなさそうですが、とりあえず摩利支天の頭が見える程にはガスは晴れてきているようです。
仙水峠に着きました。
本来であればここからは、甲斐駒ケ岳を一望にする事ができるはずで、時間が合えば日の出も見る事ができるらしい…が、なんだか残念な眺望。
まったく見えないわけでもなく、さりとて良い景色だと言える程でもなく…。
仙水峠で軽く休憩し、駒津峰への登りへと挑みます。
ここまで比較的なだらかに登って来た道も急登へ一変。
黙っていると寒いくらいの天気なのにたちまち全身から汗が噴き出して来ます。
樹林帯の登りを抜けると眺望が広がって…くるはずなのですが残念ながらガスガスの度合いはひどくなるばかり。
仙水峠で見る事ができた摩利支天ですら、次々に沸き上がってくるガスに隠されがちになってきました。
容赦なく吹き付けてくる横からの突風に、体が左右に振られ疲労に拍車をかけます。
出発から2時間半で駒津峰に到着。
伊奈方面、真っ白。
これから向う甲斐駒本体も…。
おかしいなぁ。天候回復どころか悪化の一途をたどっているような気がする…。
まさか敗退って事にはならんだろーな?
駒津峰の山頂で休憩…と思いましたが、今日はとにかく風が強い!
ぼやぼやしていると吹き飛ばされるんじゃないか?
と思うような突風が断続的に吹き付けて来ます。
風が強いのは困るのですが、一方でガスが飛ぶように流れていくため一瞬、甲斐駒ケ岳の山頂付近が見えたり、また隠れたり…。
風のおかげでガスが吹き飛ばされるかも…という期待も抱かせます。
これはもう行ってみてのお楽しみ…ですね。
駒津峰から先は岩場となります。
馬の背状の岩があったり急な下りの岩場があったり…となかなか気が抜けません。
これ以上の難所はあちこちにあるとは思いますが、ここは鎖やロープのような補助設備が無いのと、上り下りの登山者が交錯するため意外と怖いです。
岩がよく滑るというのも恐怖感を高めます。
六方石の少し手前の岩場で、対向者を避けようと体をひねった途端、足元がズリっと音をたてて、そのままバランスを崩しました。
幸い、そこは岩の下に足場がある場所だったのでなんてことなかったわけですが
これが切れ落ちた稜線上だったりしたら簡単に逝ってしまいます。
駒津峰までは、わりといいペースで登って来たヘロヘロ隊ですが岩場になった途端大幅にペースダウン。
やっぱり岩場に慣れていないので怖いんですよね。
岩場は慣れだと言いますが、岩手にはあまり岩場って無いし、どうやって慣れたらよいのやら…。
六方石の先で、登山道は二つに分かれます。
岩場を山頂に直登するコースと巻き道です。
ヘロヘロ隊は迷う事無く巻き道を選択(笑
ここの直登コースはさほど経験が無い人でも大丈夫だという話は聞いていたのですが今日の強風と、先程のスリップで完全に怖じ気づきました(笑
いよいよ甲斐駒ケ岳本体を登り始めます。
登山道は風化した花崗岩に変わりました。
六方石を堺に、岩の質がまったく違うものになりました。
こんな隣り合わせの山なのに面白いものですね。
晴れていれば様々な奇岩が立ち並ぶ景勝地なんでしょうが、このガスでは…。
山頂直下の黒戸尾根コースとの合流点で、ついに雨が降ってきました。
ガスものっぺりと山頂にへばりつき動く気配がありません。
出発からちょうど4時間。
甲斐駒ケ岳の山頂に到着しました。
…とは言っても、この真っ白な風景では「甲斐駒ケ岳」と言おうが、「秋田駒ヶ岳」と言おうが詳しい人以外には分かりますまい(笑
はるばる岩手から遠征して来たのにこんなガスガスの眺望ではあまりに無念。
休憩がてらガスが晴れるのを待ってみることにしました。
しかし…晴れません。
ガスはすっかり腰を落ち着けてしまったようです。
30分近く待ったでしょうか。
さすがに体が冷えてきて寒さを感じ始めました。
無念ではありますが、下山することを決意せざるを得ませんでした。
もと来た道をとぼとぼと戻ります。
山頂から10分くらい歩くとガスが晴れてきて、少しずつ回りの景色が見えるようになりました。
振り返ってみると常にガスに覆われているのは山頂付近のみ。
山の神様だかガスの神様だか知りませんが、ずいぶんと意地悪です。
登りの時、行くか行かないか保留にしていた摩利支天ですが
「このまま帰るのは悔しい」
という事になり、行ってみる事にしました。
登ってくる道すがら見えていた摩利支天はずいぶんと険しく見えたので
どんな険しい道なんだろうかと緊張しながら進みました。
…が、そんなに大した事はありませんでした(^^;
ちょっとした岩場はありますが、慎重に通過すれば大丈夫です。
摩利支天山頂には鉄剣が奉納されています。
破損してはいますが、なにやら仏像のようなものも。
テン場が見えます。
こうやってみると遥かかなたにあるような気がします。
今朝、あそこから出発したかと思うとなかなか感慨深いモノがあります。
甲斐駒ケ岳方向を見やると、斜面に登山者の行列ができているのが見えました。
そしてなだらかに見えた山肌は、登山道のすぐ脇で大きく切れ落ちていました。
あんな場所を通っていたのか…。
なだらかな道だと思って甘く見て走って転んだりしたらえらい事になりそうです。
摩利支天の頂を踏んで満足したので帰路につきます。
駒津峰を経て、下りは双児山方面に進みます。
なにか風向きが変わったような気がしました。
ふと振り返ってみると甲斐駒ケ岳が雲から顔を出してるじゃないの!
ガスっぽい事にかわりはなく、見えたり隠れたりを繰り返していますが少なくとも、我々が山頂にいた時のように、まったく切れ間無くガスに覆われているような状態ではなくなったようです。
今の瞬間、山頂付近にいた人はおそらく周辺の山々を見渡せるくらいの眺望は得られたものと思われます。
そして双児山付近では雲が割れ青空すらのぞくようになってきました。
あとは下るだけ…という我々をあざ笑うかのように、太陽がジリジリと照りつけてきます。
…誰だよ、早起きは三文の得とか言ったのは。
普通にゆっくり起きて登ってきたほうが良かったじゃん…。
このタイミングでの天気の好転に憮然としつつ双子山山頂へ。
ここを過ぎると樹林の中の永い下りが待っています。
途中、テン場への近道という分岐点があります。
しかし朝にながくんから
「途中、ピンクテープがあるだけのわりとひどい道」
であったと聞いたものですから、遠回りでも北沢峠に降りることにします。
岩場は苦手なヘロヘロ隊ですが、土道や木の根道はお手の物です。
岩手はそういう道ばっかりですから(笑
てってって〜と軽快に下り、標準CTの半分強で北沢峠まで降りてしまいました。
あとはもうビールを飲むのだけが楽しみですからね。
自然と足も速くなろうというものです。
記念すべき南アルプス一座目の甲斐駒ケ岳でしたが天気がいまひとつで、どうにも釈然としない気持ちが残りましたが…。
まぁ、一応山頂を踏むこともできましたし、今回はこれでいいことにしますかぁ。
余裕があったらいつかリベンジしようかなぁ。
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