鍋割山歩荷トレ&VRマルガヤ尾根下り


- GPS
- 05:10
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 957m
- 下り
- 957m
コースタイム
天候 | 曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ニノ萱辺りまで:泥ほぼなし。 ニノ萱〜山頂:泥々の箇所あり。 鍋割山稜:雪ほぼなし。 マルガヤ尾根:雪なし。土柔らかく所によりスリップしやすい。 |
写真
感想
例によって鍋割山に10kg歩荷トレに行く。
西山林道終点に8時頃到着。珍しいことに草野さんがこの時間なのにまだ準備中。
先客がお一人いらっしゃって、ザックの荷造りをしているのが見える。
草野さんと朝の挨拶。
「ガソリンタンクねえ、この人に持ってもらっちゃったから。」
先客の常連歩荷の方ともご挨拶。一歩違いで今日も10kgタンクなし。
ボンベや水で計10kg程度詰める。
話し好きで面白い先客さんと歩荷開始。
流れの水多く、取付き直後の左岸壁に、今まで見たことのない小ナメ滝が出現していた。
途中、先客さんを抜き、後沢乗越まで先導。ここでいつものように立ったまま小休止していると、先客さんは休まず登攀続行。1100m地点辺りまで話しながら後を追うが、水休憩する私に対し、この強靭な先客さんは、林道終点から止まることなくワンピッチで山頂まで登られた。
鍋割南山稜は、ニノ萱まで泥なし。しかしそこから山頂に近づくにつれ泥々の箇所が散見された。
先客さんに数分遅れで到着。私の後数分で草野さんも到着。
ニノ萱以上は深いモヤに包まれ、汗を吸った速乾シャツがヒンヤリとしてくる。
山荘内で荷を下ろし、大休憩。
普段はあまり長くお話せずに、朝食の鍋焼きうどんを頂いて下山するのだが、今日はお話好きの先客さんのお陰で、草野さんから盛りだくさんのお話を伺えた。
忘れないように、エッセンスをいくつか書き留めておこう。
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<1> 丹沢山小屋空き巣被害物語
犯人は某山小屋で御用となり収監。模範囚として早く出たが、再犯。
また前と同じ山小屋で御用となった。
<2> 丹沢登山道破壊魔物語
8〜10年前より断続的に出現。時に遭難防止用の目印も破壊するなど悪質。
恐らく同一犯で、皆が困っているという。
<3> 山屋凍傷指趾切断物語
山屋仲間のお一人に、ご実家がお寺の方がいらして、凍傷で(草野さん同様)足趾切断してしまったのだという。ところが、後日お坊さんとして家を継ぐ時に、下駄や草履を履くことが出来ず、格好が付かなかったというお話。
<4> 草野氏の『本物の単独行』論
ご自身のヒマラヤ単独行のとき、シェルパも全員帰し、広いヒマラヤ山域の何処にいるのか他の誰も知ることのできない状況下、2週間の山行を遂行したという。
他の誰かのウオッチやサポートを前提とした『現代の単独行』は、厳密な意味で『単独行』とは言いがたい面がある、とのお話。
<5> 草野氏の『奥穂〜前穂300m滑落』エピソード
2人で年末厳冬期の奥穂に登った際、あまりに呆気なくピークに着いてしまい、消化不良だったため、前穂往復を追加した。しかし、帰路に雪庇が割れて滑落。カールで傾斜がやがて緩んでお椀状だっったから300m滑落で助かったが・・・顔面切創で血だらけ、しかも深雪ラッセルで日のある内に登り切れず、雪洞を掘ってビバーク。翌朝数時間かけてやっと滑落部まで登り返したという。
<6> 富士山滑落者の悲惨な運命
上記<5>と異なり、富士山の滑落者の運命は悲惨で、5月頃には硬い氷や露出した岩の凹凸で肉がそげ落とされたご遺体となってしまうことがあるという。
<7> 丹沢での死亡事故
一度、鍋割山稜の小丸尾根分岐地点付近で、大柄な男性(80kg)が倒れて苦しがっているという登山者情報を得て、救助に向かったことがあるという。GW期間中の雨の日で、消防に問い合わせると、「横になって休めるところまで運んでくれ。」と言われ、該当する場所は鍋割山荘しか無いので、草野さん一人で運んでこられた。そのかたの荷物にあった診察券から主治医に連絡を取ったところ、糖尿病で通院している方で、「低血糖発作」の可能性を指摘され、甘いものやポカリスエットで保水。雨でガスっていたためヘリは飛べず。
翌朝もガス。残念なことにその方は息を引き取られたという(後日、急性心筋梗塞だったことが判明)。警察に連絡すると、「下まで担いできてくれ。」との指示。仕方なく亡骸を草野さんが担いで林道まで降ろし、警察にご遺体引渡しとなったという。
有人の山小屋の本当の有り難さは、山の上でアクシデントに遭った時に助けになって下さることだと思う。下界の街の交番、食堂、救護などの役割を山頂で担ってくださっていることを改めて感謝。
<8> 他の山小屋主人たちとの交流
丹沢山系だけでなく、あちこちの山小屋主人がここを訪れているという。
この『遠いうどん屋』の鍋割山荘に、あの『遠い居酒屋』のご主人がお見えになったことがあるというお話は、印象的だった。
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11時前まで延々1時間半近くお話を伺っていたが、倒れこむように若い登山者お2人がやってきた。やはり歩荷常連らしく、先客さんの上げたガソリンタンクを指さして、「ここにあった。」とつぶやく。
どうやら私も含め、この10kgガソリンタンクを歩荷のネタにしている人々は結構いる様子。下には17kgの灯油ポリタンクもあることが多いが、自前の荷物約5kgと合わせると20kgオーバーとなってザックの能力限界を超えてしまうので、10kgガソリンタンクは丁度いい荷物なのだ。
皆さんにご挨拶して長居の山小屋を出発。先々週も降りたマルガヤを下る。今日は地図もGPSも見ずに順調に下山。鍋割山荘から丁度1時間で林道の本沢出合いに到着。やはり慣れるとこのコースが一番短時間。
【3/10加筆】
非常にたくさんの皆様に読んでいただいているようなので、念のため加筆します。『VRマルガヤ尾根下り』は、充分に慣れてからでないと「地図・コンパス/GPS」なしでは、まず、安全に降りられません。
「鍋割山荘から林道まで1時間」のラップは、何度も下りて、地形&ルートが頭に入っているからできるようになったので、この尾根の下りが初めての方は、途中での「道迷い&戻り」の可能性(ルート間違えしやすい所は数カ所あり)を考えると、2時間かかるものと思って下さい。
落石、転倒、崩落(滑落)の危険箇所が多いですし、それなりのスキルが必要なので、くれぐれも一般登山道を降りる感覚でチャレンジしないようご注意下さい。
貴重なお話ありがとうございました。どれもこれも私の知らない世界です。雪がなくなったら鍋割山に行ってみたいです。
はじめましても何も、私自身もヤマレコ初心者です。
実は先日、某滝の格好の良い写真を撮ろうと川の中の岩に乗ったのですが、不幸なことにいつものフリクション抜群なアプローチシューズ(five-ten insight)でなく、新しく買ったビブラムソールの登山靴であったため、見事に滑り、カメラ構えたまま滝壺にドボンと落ちてしまったのです。
で、新しいカメラを買って、心機一転、なるべく山行の記録をどこかに残していこう、ということになり、このヤマレコに登録したというわけなのです。
鍋割山は、舐めてかかるとちょっと大変ですが、ゆっくりマイペースで行けば、冬の入笠より楽かもしれません。
いずれにせよ、余裕をもって鍋焼きうどんを召し上がるのであれば、遅くとも11時前に山頂につくように計画されるとよいと思います。
また、草野さんが事情があって小屋に登っていない時のことも考えて、念のため鍋焼きうどんにありつけない場合のバックアップもお考え下さいませ。
具体的には、おにぎり等を一応持っていく、あるいは、塔ノ岳尊仏山荘のカップヌードルを目指す、または、週末であれば、花立山荘で食事(ラーメンなど)を摂るようにする、といったところです。
西山林道終点にパジャロが停まっていたならば、まず間違えなく草野さんが小屋にいらっしゃるはずなので、上記の非常事態は杞憂と考えて行動されて大丈夫だと思います。
まさかお返事をいただけるなんて思ってなくて。今見てびっくりしてます。パジェロを確認してから歩き始めたいなあ。丹沢の食糧事情も教えていただきありがとうございます。なんとなく丹沢は避けていたのですが、おかげで丹沢が身近に思えてきました。バックアップも忘れずに持っていきます。草野さんにも会ってみたい。
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