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Yamareco

記録ID: 1915541
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
道北・利尻

【百名山・過去レコ】道北・利尻富士(サークル夏合宿オプション山行1:イカ釣り船の漁火と山頂大展望!)

1985年07月30日(火) 〜 1985年07月31日(水)
 - 拍手
GPS
32:00
距離
25.5km
登り
2,033m
下り
2,036m

コースタイム

1日目
山行
4:13
休憩
0:12
合計
4:25
10:20
55
沓形フェリーターミナル
11:15
11:15
27
11:42
11:47
94
鏡沼
13:21
13:28
77
5合目
2日目
山行
7:29
休憩
1:26
合計
8:55
4:18
4:23
55
5:18
6:05
10
6:15
6:15
36
6:51
6:56
9
7:05
7:08
37
7:45
7:48
13
8:01
8:06
15
8:21
8:25
51
9:16
9:30
135
11:45
鴛泊フェリーターミナル
天候 (初日)晴れ(2日目)高曇り(山頂付近風強し)
アクセス
利用交通機関:
2日目早朝、ついに久恋の利尻富士山頂到着。四周は息を呑む大展望、バックには不沈空母のような礼文島。風当たりも強く、寒さもハンパなし…
2018年11月25日 15:28撮影 by  F-04K, FUJITSU
3
11/25 15:28
2日目早朝、ついに久恋の利尻富士山頂到着。四周は息を呑む大展望、バックには不沈空母のような礼文島。風当たりも強く、寒さもハンパなし…
下山途中、鴛泊コースの避難小屋より山頂を振り返って。「利尻富士」の名に相応しい鋭いピークが印象的。
2019年07月06日 16:04撮影 by  F-04K, FUJITSU
3
7/6 16:04
下山途中、鴛泊コースの避難小屋より山頂を振り返って。「利尻富士」の名に相応しい鋭いピークが印象的。
撮影機器:

感想

〈※以下、大学サークル会誌の小生記事より抜粋・編集:長文・乱文ご容赦下さい…〉
直前の9日間に及ぶ大雪〜十勝〜原始ヶ原の大縦走を終え、「北の国から」ロケ地の布礼別に下り立った我々(satonao1+サークル後輩3名)は心身共にクタクタながら、国鉄バスで寄り道した白金温泉でゆっくり湯に浸かり、旭川で久方の下界の食事をガッツリ楽しんで、すっかり元気回復した(気になった…)。翌朝、臨時の夜行急行で北の最果て・稚内に降り立つと、前日来の悪天が未だ回復せず、空は如何にもそれらしくどんより曇っている。ここで、礼文島へ向かうサークルの後輩3人組と別れ、小生は一人利尻・沓形港行きの船に乗り込んだ。いよいよ、これから1週間の長きにわたる単独行の第一歩である。
[ 第1日(7/30) ]
 利尻山の登山口は、北側のメジャーな鴛泊、西のマイナーな沓形の2つ(鬼脇コースは85年当時、上部の崩壊が激しく通行禁止)。小生は帰りのフェリーの便も考え、沓形コースを登り山中1泊、鴛泊へと下る計画としていた。船がレモン形の島の北側を大きく回り込む頃になると、いつの間にか空はすっかり晴れ上がり、デッキに出ると目指す利尻富士が小さなタンコブのようなポン山を脇に従え、まさに3,000m級の迫力で眼前に聳え立っている。ついに長年の念願であった最果ての山へやって来た、という気持ちの高ぶりを覚える一方、重荷を背負い(注:ピストンではないため合宿装備をそのまま持参…)疲れた脚を引きずって、あの絶頂まで登り詰めねばならぬかと思うと、一瞬背筋がゾッと寒くなる気もした。この不安は見事に的中、この日のうちに山頂を越え、鴛泊コースの避難小屋へ下るという当初の計画は脆くも崩れ去るのであった…。
 鮮やかな夏空の下、小生は文字通り海抜ゼロmの沓形港に降り立った。夏の観光シーズン真っ只中というのに、観光客の数はさほどでもなく、まして登山者などは全く皆無と言ってよかった。やはり利尻島の表玄関は鴛泊で、こちらは差し詰め島の “勝手口” といったところであろう。ソフトクリームを食べながら沓形の町を通り抜け、町外れの神社にて安全登山を祈願した後、いよいよ登りにかかった。鴛泊・沓形両コースとも、登山道には登山口から十合目の山頂まで一合毎に標識が付けられ、自分がどこまで登ってきたかすぐ分かるようになっている。もっとも「利尻富士」の名から察しがつく通り、最初はなだらかな登山道も頂上に近づくにつれてグングン勾配が急になっていくので、距離を基準に付けられている「○○合目」というのはあまり当てにならない。例えば沓形コースの場合、5合目の標高は400mにも満たないから、決して「もう半分も登った」などと安易に考えてはならない。実際には、7合目の避難小屋のあたりでようやく登り全行程の半分、といった感じだ。
 3合目の鏡沼(水はほとんど涸れていた…)の辺りまでは道がなだらかということもあり、順調そのものであったが、折からの暑さで次第に長期山行の疲れが噴き出し、夜行列車の寝不足も加わって足が鉛のように重くなってきた。4合目を過ぎたあたりで、前日美瑛の駅で仕入れた昼食とフルーツ缶を食べてやや元気を取り戻し、どうにか5合目まで辿り着くと、左側の谷を隔てた尾根の方から、何やら家族連れらしき一行の楽しげな声が聞こえてくる。マイカーを利用すれば、この5合目のすぐ下まで労せずして入ることができるのだ。何だか情けない気持ちになりながらも、気を取り直してなおも樹林帯の道を登っていくと、次第に傾斜がキツくなると同時に、周囲の展望が少しずつ開けてきた。目指す利尻山頂はまだ遥か雲の上といった感じだが、振り返ってみると、波静かな日本海にお隣の礼文島が一隻の巨大な船のようにポッカリ浮かんでいる。そろそろサークルの後輩諸氏もあそこにやって来る頃だなと思うと、急に人恋しいような気分になった。この上天気なら、頂上からの展望もさぞかし素晴らしいに違いないとは思うものの、何しろ疲労の蓄積した身体の方が言うことを聞かない。十歩進んでは一回休み、といった調子でフラフラと夢遊病者のように灌木帯の道を登っていくと、突如として眼前に石造りの頑丈そうな避難小屋が姿を現した。予定よりも既にかなりの遅れとなってしまっていたこともあり、小生は欲も得もなく小屋に転がり込んだ。
 小屋の脇にテントを張ろうとしていたオバサン5人連れのパーティに水場の有無を聞いてみると、すぐ傍の窪地の溜まり水が使える由。水事情の悪い離島の山中とあっては、これでも十分満足すべしである。早速水場へ行ってみると、僅かながら流れはあるらしく、溜まり水にしては結構キレイな水であった。炊事用の水を汲んだ後、先のオバサンパーティによってやや”汚染”されていた下方のもう一つの水溜まりで、大雪以来すっかりクセになった感じのTシャツ水洗い→「着乾かし」を実行した。ああ気持ちいい!
 小屋の前で一人わびしくレトルト飯の夕食をとっていると、すぐ傍で例のオバサン5人組が賑やかにお食事中。中でも一際大きな声の山慣れした感じのオバサマは、後で聞くと百名山のうち既に82座を制覇した強者で、今回も利尻・礼文を回った後、日高・幌尻岳へ入る由(小生はこの時点で45座踏破済み)。大したもんだ、と感心していると、ナスの炒め物やサラダ、アップルティーなど「これ、おいしいのよ!」と次々持ってきて下さる。お断りするのも悪いので有難く頂戴し、お返しに余った温かいお茶を持っていくと、今度は道端で採ってきたという野草の葉を「これ、油で炒めると美味しいんだから!」と小生に下さったが、当方は油もフライパンもなく、これには正直閉口した。結局、オバサマ達はテントは張らず、小屋に泊まることにしたそうで、余り広くない小屋の中はたちまちザックやシュラフなどでいっぱいになった。
 そうこうするうち、陽も大きく西に傾き、翌朝早立ちすべく、小生は早々にシュラフにもぐり込んだ。同宿のオバサマ達が一頻り世間話に花を咲かすのでは、と心配であったが、皆さん意外とアッサリ寝静まった。ホッとしたのも束の間、小屋の外では後からやって来たテント泊の高校生・OBと引率の先生らしき一団が、夕食後の宴会を開始した。そのうちかなり酒も入ってきたようで、何やら大声で叫んだり、歌を歌ったりしている。余りの騒がしさに居たたまれなくなり、小屋の外へ出てみると、眼前には素晴らしい礼文島の夜景が広がっていた。目を左に転ずると、暗く沈んだ海の彼方に、イカ釣り船の漁火が点々と連なっている。最果ての地のこの美しい眺めに小生はしばし時の経つのも忘れて見入った後、再び床に入った。

[ 第2日(7/31) ]
 翌日、山頂でのご来光を拝すべく、1時半に起床、腹ごしらえした後にまだ真っ暗な中を山頂目指し出発。途中、一足先に出発したオバサマパーティを追い抜き、更に30分ほど急な道を登っていくと、いつの間にかもうハイマツ帯に入っていた。ガイドブックによると、小屋から山頂まで2時間足らずで行けるとあったが、荷が思いせいもあってか、いくら登っても山頂はおろか、手前の三眺山も一向に近づいてこない。やっとの思いでその三眺山に辿り着いた頃には、もう四周はすっかり明るくなり、時計も4時を大きく回っており、どうやら山頂でのご来光には間に合いそうもない。道はここから一旦急な岩稜を下った後、眼前にスゴい迫力で聳え立つ山頂から仙法志稜にかけての岩稜を避けて通るかのように、左へ左へとトラバースしていく。この辺りはさすがにルートの崩壊が激しく、慎重な足運びが要求されるが、特に危険な箇所には固定ロープなど付けられており、大いに助かる。やがて道は鴛泊からのルートと合流するが、ここから山頂までがまた一苦労…。何しろ、人が一人通るたびにガラガラと道が崩れていく感じで、帰りにまたここを下らねばならぬかと思うとゾッとした。それでも、念願の山頂は目の前、と気持ちを奮い立たせ、なおも登っていくと前方から人の声が近づいてくる。鴛泊コースからの夜登りの登山者らしく、ほとんど空身に近い出で立ち、中には運動靴のハイカーもいた。彼らの「大雪も見えますよ!」の一言に励まされ、最後の一登りでついに久恋の利尻富士山頂に到達!
 上空はすっかり雲に覆われ、肝心のご来光の方はウヤムヤに終わってしまった感なるも、四周の展望はまさに素晴らしいの一語に尽きた。海を隔てて細長く広がる北海道本土の中央付近、雲海の上には確かに大雪らしき山並みが見える。してみると、あれが旭岳、あれがトムラウシ、そしてあれが十勝…などと一人で勝手に納得した後、目を反対方向に転ずると、海の彼方に何やら島影のようなものが見える。ひょっとしたら樺太では、とも思ったが、やはり目の錯覚だったのかもしれない。
 それにしても、大海に聳え立つこの山頂は周囲からの風当たりも非常に強く、ジッとしていられないくらい寒い。風雨に散々揉まれた感じの祠にお参りし、下山の準備をしていると、ちょうどオバサマパーティが山頂に到着、あたりは一転して非情に賑やかになった。オバサンのお一人にカメラのシャッターを押してもらった後、名残惜しい山頂に別れを告げ、いよいよ下山にかかった。ガイドブックでは鴛泊まで凡そ3時間半の道程、予定の9時半のフェリーに乗るためには、あまりノンビリとしてもいられない。途中たくさんの日帰り登山者とすれ違いながら、9・8・7合とあの登りのモタつきぶりとは対照的に、快調なペースで高度を下げていった。6合目あたりから道は樹林帯に入り、すれ違う登山者の数も益々多くなってきて、沓形コースのあの静寂がまるでウソのよう。山頂を出ておよそ2時間、いい加減足もガクガクしてきた頃、ようやく3合目の甘露泉に到着。ここは山中で唯一冷たい水の湧き出る水場で、近くにはキャンプ場などもある。ここから鴛泊港までは1時間足らずの道程だが、何だかこのままろくろく島内観光もしないまま、島を離れてしまうのも勿体ない気がしてきた。ちょうど、この3合目からポン山を経て姫沼に至る小道が付けられており、小生も以前からこのロマンチックな名前の池については噂に聞いていたこともあって、大いに心が動いた。うまいことに、9時過ぎに島内一周の路線バスがあり、これに飛び乗れば予定のフェリーにギリギリ間に合うと踏んで、小生は衝動的に予定変更、姫沼に寄っていくことにした。しかし、この読みは全く甘く、この気まぐれが元で、以後のツアーの予定は大幅に狂ってしまうことになるのだった…。
 3合目から程近いポン山からの展望は噂に違わぬ素晴らしいもので、小生は今登ってきたばかりの利尻富士に惚れ惚れと見入った後、ハッと我に返って姫沼への道を急いだ。ところが、行けども行けども沼の姿は見えず、地図に表れない細かいアップダウンもあって、すっかりクタクタになってやっと姫沼に着いたのは、フェリー出航の10分前。どうやらもう絶望的、と諦めた小生は池のほとりに力なく腰を下ろし、改めてこれからの行程を検討した。昼前のフェリーで稚内に戻り、オホーツク急行バスで宗谷岬を回って浜頓別へ出るというプランも大いに魅力的であったが、その後の天北線の接続が悲惨を極めることが判明し、敢えなくボツに。結局、昼過ぎのフェリーで礼文島に渡り、島内をうろついた後に夕方の船で稚内へ戻ることにした。
 それにしても、こうして苦労してやって来た姫沼というのは、どこにでもありそうなごく平凡な池で、巷の観光客が山ほど押しかけ、ボートなど浮かべてキャッキャと歓声を上げている。この美しい響きを持つ名前がかえって災いしている感じで、小生は早々に池を後にして、海岸沿いの舗装道を鴛泊港へと歩いた。心身共にすっかりくたびれ果て、フェリー待合室のベンチに所在なげに腰かけていると、全く偶然にも大学サークルの後輩達の一団が現れた。午前の便で礼文島から渡ってきた由で、束の間の再会を楽しみ、礼文島の観光情報など仕入れた後、3合目のキャンプ場へ行くという彼らを見送り、小生は礼文・香深港行きのフェリーに乗り込んだ。
 観光ハイシーズンということで、船はさすがに相当の混雑であったが、ここでご丁寧にもまた例のオバサン5人連れに出会った。サークル後輩から「香深には銭湯がある」と聞き、小生も少なからず期待して港に降り立ったが、何でも1日おきにしか湯を沸かさぬ由で、この日はちょうど休業日であった。ガッカリではあったが、いかにも水の便の悪い離島らしいな、と妙な感慨も覚えたりした。礼文島はちょうど町議会選挙間近のようで、狭い島内を幾台もの選挙カーがちょこまかと走り回っている。小生は町外れの丘に登って海の向こうの利尻山をボンヤリと眺め、毎日毎日あの美しい山を眺めて暮らしているこの島の人々は何と幸せなことだろう、と羨ましく思ったりした。やはり、利尻富士あっての礼文と言うべきであろう。
 小生はこの後、島内バスでこれまたマイナーな船泊港に移動、ガラガラの稚内行きフェリーに乗り込んだ。デッキに出て眺めていると、礼文島の方は段々と小さくなって視界から消えていくのだが、利尻の方はいつまで経っても海上にスックと聳え立ったままで、さすが貫禄十分といったところ。その利尻もいつしか夕闇に吸い込まれるように消えていき、船は波静かな稚内港へと入っていくのであった。
 稚内の町外れの銭湯で利尻・礼文の汗を流した後、小生は再び札幌行きの夜行急行「利尻」に乗り込んだ。体力の方はそろそろ底をつきそうな感じだが、幸い財力(!?)、精神力の方はまだ少々余裕があるようで、小生は次なる目標、道東第一の名山・斜里岳へと歩を進めるのであった。〈斜里岳〜阿寒編へと続く…〉

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