霧の八丁平再訪☆南谷右岸尾根~八丁平~鎌倉山


- GPS
- 05:19
- 距離
- 13.3km
- 登り
- 1,096m
- 下り
- 1,081m
コースタイム
天候 | 曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年07月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
相変わらず雲が低い天気が続く。朝のうちは京都市内では雲の合間から青空が顔をのぞかせていたものの、花折峠を越えると雲は低く垂れ込めて陰鬱な空模様を呈している。しかし、大原を越えたあたりから気温は20℃を示しており、低山の登山には格好の温度だ。
先週も八丁平を訪れたところであるが、家内が霧の湿原風景に興味を示したこともあり、再び八丁平を訪れることにする。八丁平は東西南北どの方面からもアプローチするルートがあるが、オグロ坂の東に広がる山を越えることにする。地図上は935mの小ピークに三角点が置かれているが、ここよりもわずかに高いピークがあり、複数のピークが集合した台地状の山になっている。鎌倉谷林道を終点まで歩いて、鎌倉谷の右岸尾根を登るという方法もあるが、今回は歩いたことがない鎌倉谷の南にある南谷の右岸尾根を辿ることを考える。
北山分水嶺クラブの地図によると鎌倉谷を少し遡行したところから尾根の取り付きがあるようだ。鎌倉谷にはかつては遊歩道が設けられていた筈であるが、鎌倉谷の入口に来るとかつての道の痕跡は全く見当たらない。沢の両側は切り立った崖になっており、降り続いた雨で増水した沢に入るのは沢靴がなければ躊躇われるところだ。沢沿いを辿るルートは諦めるが、次なるは坊村から尾根に直接、取り付くという方法が考えられる。地図で見ても標高線がかなり立て込んでいるが、実際、斜面を見てもこのあたりから登るのは容易ならざる急斜面である。水神社の背後の斜面に目を凝らすと、左手の急斜面の繁茂した下草の中を登ってゆく一筋の微かな踏み跡が目に入った。
下草に埋もれそうな踏み跡を辿ると踏み跡は斜面をジグザグと上がってゆく。急斜面に対してうまく道がつけられているようであり、踏み跡を辿ると意外にもなんとか急斜面を登れそうだ。間もなく杉の植林地に入ると、家内が「茶色い尺取り虫みたいなのがいっぱいいるよ」と云う。地面を覆う杉の葉と全く同じ色であるが、マッチ棒ほどの長さの生物が地面から直立している。蛭である。勿論、私の両の靴には早速にも数匹の蛭が這い上がってくる。地面の小石を拾って削ぎ落とす。しかも、中にはこれまで見たことのないほどの大きな蛭がいる。
さすがは安曇川流域の河川の近く、雨上がりとくれば蛭の天国なのであろう。登るにつれて見かける蛭の数が少なくなり、少し安心する。それにしても夥しい数の蛭であった。
杉の植林地を過ぎると早速にも快適な自然林のなだらかな尾根となる。林の中の陽当りの良さそうな場所ではイワヒメワラビの新鮮な緑色が地面を覆う。尾根を緩やかに登ると、右手に谷底まで開けた斜面に出る。正面には鎌倉谷林道の上はブナ平のあたりなのだろうが、尾根の上の方は雲の中である。斜面は昔の採石場の跡だろうか、人工的に作られた段が設けられている。
尾根はやがて霧の中へと入ってゆく。快適であった自然林は登るにつれて左手から上がってきた杉の植林に変わる。尾根の下部での植林の夥しい数の蛭が脳裏を過ったが、この尾根上部の植林地ではさすがに蛭はいないようだ。
尾根を登り切り、台地状の山頂部に差し掛かると再び自然林となる。霧のたちこめる林の中を気ままに歩いてみる。互いに寄り添うかのように聚合した小さなピークの間を繋ぐ尾根は複雑に入り組んでおり、少ピークの一つにいとも簡単に迷い込む。
鎌倉山からの尾根と合流すると、オグロ坂に向かう尾根はわかりやすい。南側に再び江賀谷の右俣沿いに登ってきた植林が現れる。あたりの霧はますます濃くなっていく。
オグロ坂の手前で中村乗越にむかう尾根に入る。地図上では三角点はないが、この尾根上には中村乗越との間にp934、p902と2つのピークがある。自然林の尾根を緩やかに登って最初のピークに至る。小さな鞍部を越えると尾根上に芦生杉の大樹が現れる。珍しく均整のとれた枝ぶりを示す巨杉である。八丁平の南西のp927のあたりにも尾根上に大杉があるが、これほどの樹は記憶にない。
ヤセ尾根のp902を過ぎて左側に江賀谷右俣の杉林が広がり始めるとすぐに中村乗越に着く。Dejavuのように先週と同じような光景を目にする。中村乗越から八丁平は僅かな距離であるが、八丁平の地形のせいだろう。八丁平に降りると急に霧が薄くなる。先週はヤマボウシは花盛りだったように思われたが、一週間が過ぎるとヤマボウシの花期は終盤を迎えつつあるようだ。
周回路を時計回りに辿ると八丁平の南で一人の単独行の男性に出遭う。先週はクラガリ谷の出合で出遭ったバードウォッチャーの男性だ。先方も開口一番「二週連続ですな」と憶えていて下さったようだ。先週といい今週といい、この天気の中を敢えて八丁平を訪れるのは余程の物好きであろう。
鎌倉山のあたりの林床はわずか10年程前は身の丈を越える2m程の笹薮に覆われていたということを教えて頂く。忽然と笹薮が姿を消したらしい。ひとしきり話し込んだ後、男性とお訣れして先に進む。
八丁平では先週と同じような光景ではあるが、地面に散ったナツツバキの花々が花期の終わりを告げている。八丁平の北西の谷から北側の尾根に乗り、オグロ坂を目指す。オグロ坂に近づくと再び急に霧が濃くなる。オグロ坂峠の祠の上を見上げると、霧に霞む山毛欅の樹々が幻想的な背景をなす。
下山は鎌倉山を経由するルートを選ぶ。家内も久しぶりに鎌倉山を再訪したいと思っていたところのようだ。尾根のアップダウンを繰り返しながら、深い霧の中を黙々と進む。鎌倉山の登りに差し掛かると、最初のピークp901は登山路からわずかに東に外れたところにある。PH氏のプレートを期待して、ピークを訪れてみると、山頂の南側でリョウブの樹の高いところにつけられているプレートにお目にかかることが出来た。
鎌倉山の手前の鞍部には、ここでも千年杉として知られる見事な杉の大樹がある。鎌倉山の山頂広場の手前では、八丁平では既に花が散っていた夏椿がこちらを向いて出迎えてくれた。樹に近づくと膨らんだ蕾もいくつか散見するので、もうしばらくは花がみられるのだろう。
鎌倉山の山頂を過ぎるとようやく霧も晴れる。なだらかな下りが続くので時間と距離を稼ぐことが出来る。尾根はすぐに植林地となるが、ブナ平のあたりに差し掛かるとようやく自然林が広がる。名前からすると山毛欅が多いことが期待されるが、山毛欅よりもコナラや楓の樹の方が多いように思われる。
林道を過ぎると勾配がやや急になるが、登山道は良好に整備されているので歩きやすい。登りの尾根とは異って、足元には蛭は見かけないようだが、念の為と思って立ち止まってチェックすると靴下の上を大きな蛭が一匹、這い回っていた。後は蛭に取りつかれることなく無事、水神社に帰着。神社にお参りして山行の無事を感謝する。
神社から登った斜面を見上げると、よくぞこんな斜面を登ったものだと思うが、それにも増して、蛭だらけの斜面を歩きながら、よくぞ蛭に噛まれずに済んだものだと思う。今回のルートは少なくとも蛭の出現する季節は到底おすすめ出来ない。
コメント
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湿原には、霧の風景が似合いますね。
1か月ほど、山へ行けていませんが、yamanekoさんのレコのおかげで八丁平の様子がよく分かります。この季節、昨年は見逃しましたので、見に行きたいです。
鎌倉山へ登る時に左手に見える、人工の斜面の上の尾根を登られたのですね。駐車場や登山口付近からは取り付けるようなところは無いと思っていました..
コメント有難うございます。
確かにmichikusaさんの八丁平のレコが上がらないな、と思っておりました。きっと下書きのレコが溜まっているのではないかと思っていましたが、本当に行かれていなかったんですね。そうとわかっていたらもう少し写真を載せればよかったです。あまり八丁平の写真も載せていなかったので申し訳ないと思います。
雨上がりだったせいかもしれませんが、このルートは最初の尾根の取付きが凄まじい数のヒルがいたので、ヒルの季節は避けた方が良さそうです。
もうすぐ暑い夏になりそうですね。
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