紅葉に酔い、急登にあえぐ…金鉢山


- GPS
- 06:55
- 距離
- 9.4km
- 登り
- 962m
- 下り
- 956m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年11月の天気図 |
アクセス |
写真
感想
昨年、同じ時期に剣龍峡から焼山、コマタ山を経て、花ノ木平コースを下る周回コースを登った。その折、コマタ山から、道を間違えて、金鉢山方向に行ってしまった。大分登ってから気が付いて、戻ったのだが、地図で見ると、金鉢山という五頭連峰北端の山への登山道がその道だということが分かった。その時から、一度この山に登ってみたいと思うようになった。
朝から快晴の空が広がる。7時40分に剣龍峡登山口に着いたが、車は一台もいなかった。山の神までの最初の急坂を登り、尾根に出ると、強い風が色づいた木々の葉を揺らしていた。紅葉は真っ盛りといってよく、焼山まで登って来ると、赤、黄、橙、緑の織り成す山腹のグラデーションに目を奪われる。前方には、これから目指す金鉢山がどっしりと大きく聳えている。
焼山からはいったん下り、ブナ林の中の細い尾根となる。この尾根道が、まるでブナの並木を行く天空の遊歩道のようで、登山道の中で最も美しい場所と秘かに思っている。
堀切という水場を過ぎ、急斜面をひとしきり登ると、コマタ山山頂となる。剣龍峡登山道最高峰コマタ頂上・六三四Mの道標が立っている。ここからは、剣龍峡の谷あいと、その向こうに、日本海、佐渡まで見渡すことができる。さらに、二王子岳、飯豊連峰も眺められる。
そして、ここからが本番となる、金鉢山への道だ。まずは、杉林の中の急登を690m峰まで登る。いったん下って、灌木の中の緩登がしばらく続く。道は急に狭く藪っぽくはなってきたが、ところどころ刈払いした跡があって、道は明瞭で、ほとんど迷う心配はない。「ヤマレコ」のいくつかの記録を読ませてもらい、ある程度の藪は覚悟してきたのだが、刈払いの直後なのか、季節的な要因か、ほとんど藪らしきところがなく、助かった。
水場の標識を過ぎたあたりから、急に傾斜が増してきて、ロープもところどころあらわれてきた。山頂直下は、一直線の棒登りで、あまり人が登らないせいか、ステップがついていない。しかも、滑りやすく、急傾斜なので、登るのに非常に苦労する。ロープや、灌木の枝につかまりながら、体を持ち上げ、あえぎあえぎ登る。ふと、数年前に登った赤津山のことを思い出した。あそこもこんな感じのところが連続した。
これでもか、という急斜面を乗り越えて、ようやく山頂に到着した。山頂には、「金鉢山888M」「たかが里山されど里山ありがたきかな」という標識が木に掛けられていた。「されど里山」の言葉はあの急斜面を登ってきた身には、実感として胸に落ちるものがあった。
山頂は、割と狭く、木々に覆われているが、東側の斜面が開けていて、ちょうど人が3,4人腰かけられる草原になっている。
二王子岳、焼峰山、蒜場山、そしてその彼方に飯豊連峰・大日岳、御西岳、飯豊本山、北股岳がわずかに雪を頂いて連なっている。それにしても、この時期に二王子岳に全く雪がなく、飯豊連峰も真っ白でないのは珍しいのではないか。
草原に腰かけて、景色を見ながらしばらく休む。木々の間から南峰が見える。意外に遠くに見える。いったん下って登り返さなければならない。頂上直下の急登で、もう足に力は残っていない。南峰は断念することにした。
家に帰って、新潟の山の開拓者・藤島玄の「越後の山旅 上巻」を読むと。何と山頂の標識のある888m峰は、折居山で、南峰が金鉢山とあるではないか。本には「金鉢山と折居山を明瞭に区別する。山頂部の形容からの命名だから、山麓と松平山から見て、南峰が金鉢そのもので、一目瞭然である。」とある。ただ、国土地理院の地図には北峰が金鉢山とあるので、このあたりは謎である。いずれにしろ、もう少し若い時なら、北峰まで足を伸ばすことができたろうにと、未練が残った。
下りは、登り以上に大変だった。非常に滑りやすく、ステップが切られてないので、ロープに頼らないと、到底下るのは困難だ。ロープは本当にありがたかった。下り始めて直ぐくらいに、あいついで、単独行の女性と男性に遭った。二人ともに、頂上まであとどれくらいですか?と訊かれた。どちらもこの山が初めてだったのだと思う。その気持ち、よく分かります。
コマタ山まで下ってきて、やっと一息つくことができた。食事を済ませてから、下りにかかる。いったん150mほど下った後の、焼山への登りがきつい。しかし、金鉢山への急登を経験した後だと、さほどの登りとは感じなかった。このあたりの山全体の紅葉は、午後の陽光に照らされて、見事なほどだ。何度も立ち止まり、カメラのシャッターを押す。数日たった今も、目に焼き付いて消えないくらいだ。
剣龍峡登山口にたどり着くと、いつの間にか秋の陽も傾きかけて、無事下ってきたことの安ど感と、これで今年の秋も過ぎていくのだと、少し淋しいような気分に襲われた。
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