二口山塊 大行沢・カケス沢
- GPS
- --:--
- 距離
- 16.9km
- 登り
- 1,459m
- 下り
- 1,451m
コースタイム
11:00二口キャンプ場(入渓)-12:30ゴルジュ帯出口(F1)-16:00幕営地
7月29日
9:00幕営地発-11:00カケス沢分岐-14:20遡行中止-15:15登山道着-18:00二口キャンプ場
天候 | 7月28日:晴れ 7月29日:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
※上流から下流側を見て右側を右岸、左側を左岸、と表記してます。 ○大行沢 難度的には初級ですが、ロープは必要かも。 (自分の場合はロープ使用しました) 目立った難所は以下の4か所。 1.ゴルジュ帯:泳げば通過はそれほど難しくない。 泳ぐのが厳しい状態(増水、水温が低い)だと難しそう。 通過が厳しい箇所に2ヶ所残置ハーケン有り。 2.5m滝(F1):直登は厳しそうなので少し戻って左岸を巻いて登る。 3.6m滝(F2):右岸側の岩小屋を辿って直登。水苔で滑りやすい。 4.2段10m滝(F3):右岸壁を直登。残置ハーケン2個有り。 F3以降は難所はなく、快適なナメ床歩きが楽しめます。 尚、登山道(大東岳裏コース)を利用することでこれら難所は全てカット可能。 石橋入口標識から入渓すればナメ歩きだけなので、ナメ歩き目的の人はこちらがオススメ。 ○カケス沢 大行沢より若干難度が高め。初級上、あたりかな。 難所は幾つかありますが、最も通過に手間取ったのは、深い釜の有る2m滝。 通過方法が解らなかったので右岸を高巻きして通過しましたが、 草付きの状態が悪く、かなり高度を上げた位置から懸垂下降で沢まで降りました。 (この滝での高巻きは危険が伴うのでオススメできません。) 北石橋までの最後の難所、と思われる2m滝に到達した時点で土砂降りになった為、遡行中止。 左岸側の藪を登って登山道へ脱出しました。 |
写真
感想
今回は二口山塊の大行沢の沢登り。
大行沢は長いナメ沢が続き「天国のナメ」とのフレーズで呼ばれ、沢登りをする人にはよく知られた沢だ。
大抵の人はナメ歩きが目的なので大東岳への登山道を使い上流から入渓するが、今回は下流側の二口キャンプ場から入渓。
沢の途中で支流のカケス沢へ入り、その先にある「北石橋」と呼ばれる名勝を目指す。
【7月28日】
11:00に二口キャンプ場出発。
橋の下を通り、遡行開始する。
すぐにきれいなナメ沢が続き、5分ほど沢を進むとゴルジュが始まる。
〜ゴルジュ〜
両岸が崖になっていて、幅が狭くなっている場所。
沢登りでは難所となることが多く、増水時には一気に水かさが増す為、危険な箇所でもある。
側壁は急斜でツルツルで、自然の状態だったらとても進めないような地形だが、所々に岩を削ったステップが付いており、
それを利用すれば大抵の箇所は通過が可能。
場所によってはきつい箇所もあるが、今の時期は水温が高いので水の中を進むのも良い。
水と戯れながら進むと、本日最初の滝である5m滝(F1)に辿りつき、そこでゴルジュは終わる。
しばらく滝を眺め、登れるかどうか考える。
深い釜を持つ滝で、直登は難しそうだ。
これは無理、とあっさり諦め、右壁を巻いて通過する事にする。
右壁には岩を削った細かいステップが付いているが、今日は1泊予定なので荷物が重い。
この重量で登るのは不安だったので、一旦荷物を置いて空身で登り、
ロープをかけてから、懸垂下降で降下。
再び荷物を背負い、プルージックでロープとハーネスを連結し、
プルージックを引き上げながら登り返す、というやり方で通過した。
滝を過ぎるとナメが続き、やがて右手方向に小屋が見えてくる。
この小屋を過ぎると、巨石が目立つ河原道。
まんまるの巨石や、10mはありそうな巨石、と様々な巨石が点在していて見所が多い。
巨石を眺めながら進むと、やがて独特な景観の6m滝(F2)に到着する。
滝の右岸側が広い岩小屋になっていて、増水さえしなければ住居として利用できそう。
薄暗いので少し薄気味悪いかもしれないけど、秘密基地にしたくなった。
滝の落差は6mくらいだが、水量は多く豪快。
今回の沢登りの中で最も印象に残る滝だった。
岩小屋を通って、滝の左壁を登る。
水苔が張り付いているので滑りやすいが、あまり難しくはなく、落ちたとしても滝壺に落ちるのであまり怖さは感じない。
ここはロープは使わずに通過した。
そこから先は長い巨岩帯。
巨岩が密集しており、どこを通るか判断に迷う。
岩の間を抜けるか、左岸を巻くか、右岸を巻くか、それとも岩に登るか・・・
選ぶルートが多すぎて迷路の様だ。
もし大人数だったら、どのルートを通るかで意見がかなり分かれてしまいそう。
立ち止まってルートを考える場面が多く、なかなかペースは捗らず。
また途中で右方向に大きな滝(梯子滝)が見えてきたので、京渕沢の方へ寄り道してみたり、
とそんなペースなので、この巨岩帯で大幅にタイムロス。
予定より遅れ、巨岩帯の終点、2段10m滝(F3)に到着した。
先のF2に比べれば簡単そうだが・・・
この滝の滝壺には岩が突き出ており、大木も転がっている。
もし、それらの上に落ちたら無事では済まなさそうなのでロープを使用。
幸い、滝の左壁には2ヶ所、残置ハーケンが打ってある。
それらを利用し、プロテクションをとって通過した。
そして、F3を超えた先で幕営に良さそうな河原を見つけ、時間も16時を過ぎていたのでそこで幕営を決める。
恐らく以前ここで幕営した沢人が居るのだろう。
端には枯れ木が積んであり、焚き火の跡がかすかに残っている。
沢に近いので増水した時が心配であるが、今夜は雨の気配は無く、近くには避難できる高台もある。
野営場所としては申し分ない。
先人が残してくれた焚き木を利用し、盛大にその夜は焚き火をする。
焚き火、といえば沢登りの醍醐味の一つ。
いろんな山行形態があるけど、山中で焚き火が出来るのは沢登りだけだろう。
焚き火で料理するのもまた楽しい。
焚き火で料理、となると難しそうな印象があるかもしれないが、アルミホイルを使えば簡単なもの。
焼きたいものをアルミホイルで包んで、火の中に放置するだけ。
焼け具合がわからない、という欠点があるけど、直火が当たるわけではないので
よっぽど長時間放置しない限り焦げ付くことはない。
焚き火の明かりが届かぬ闇の中に目を向ければ、そこには幾つかの点滅する小さな光。
ホタルが居るようだ。
焚き火の明かりとホタルの光を交互に眺めながら夜を過ごす。
あまりにも良い雰囲気なので23時過ぎまで夜更かしし、持参したウィスキー350mlは全部飲んでしまったよ。
【7月29日】
昨夜は遅くまで焚き火をしたので、朝はなかなか起きられず。
7時過ぎにようやく寝床を出る。
幕営地を出発したのは9時すぎ。
巨岩帯はもう超えていたので通過に手間取るような箇所はなく、快適に歩が進む。
途中、深い釜のある小滝があったので少しそこで泳いでみたりと、
勝手気ままな楽しい沢歩きが続く。
やがてこの沢の本領とも言える美しいナメ床が広がり、更に沢歩きは楽しくなる。
そして、標高654m地点分岐で本流を外れ、支流のカケス沢へと進んだ。
カケス沢は大行沢よりも若干難度が高く、小滝と言えど侮れない滝が幾つかある。
特に手間取ったのは2m程度の小滝で、川底に足が着かないくらい深い釜があるのでなかなか上に這い上がれない。
たった1m程度登る事が出来ればクリアなのだが・・・
その1mがなかなか超えられず、水の中で長時間悪戦苦闘。
やがてすっかり体も冷え切ったところで、直登をあきらめる。
滝の右岸側を巻いて通過する事にした。
しかし、この高巻きはかなり状態が悪い。
今回の遡行の中で最も危険に感じたは滝の直登よりも、この高巻きだった。
ここはもう少し知恵をしぼって滝を直登すべきであった。
あらかた難所を通過し、北石橋までもう少し、
というところで天候が崩れ、土砂降りの雨となる。
沢登りで最も怖いのは増水であるが、
今進んでいるカケス沢のようなゴルジュ帯は増水するのが早いので避難が遅れれば非常に危険。
もう少しで目的地、というところでの撤退は非常に悔しいが・・・
目的よりも安全優先で。
沢からの脱出を決意する。
地図とコンパスで方向を確認しながら北側の急斜面を登る。
やがて尾根の上を走る登山道へ到達し一安心。
時間も大分過ぎていたので、そこで沢登り終了とし、下山する事にした。
あとは登山道を辿って大東岳裏コースに出て、裏コース経由で二口キャンプ場まで下山。
帰路、秋保温泉(テルメ)で風呂に入ってから帰宅した。
コメント
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涼を求めて沢登り。
撤退は残念でしたが、楽しめたのではないでしょうか?
ナメ、たくさんの滝、まんまる岩等の写真を見ていると自分も行きたくなってしまいます。
道具も経験もありませんけど。
ナメだけは長靴があれば歩けそうに見えますが・・・。
夜の雰囲気も抜群ですね!
普段の山では作らない料理、そして焚き火の横でのウイスキー!!
想像するだけで楽しくなります。
Luskeさんはお酒強いですね。ウィスキーの350mlともなると自分は次の日ダルダルになってしまいます。
普段はあまり飲まない自分ですがレコの雰囲気で行ったつもりになってパソコンの前でウィスキー飲んでます(笑)。
今回も素晴らしいレコをありがとうございました。
またのレコを楽しみにしています!
撤退は残念でしたが、美しい沢を堪能できたし野営も最高の雰囲気。
とても楽しめました
大行沢は前半部分は辛いですが、後半は大部分がナメ歩きになります。
ですので、前半は登山道利用でカットし、
後半から入渓すれば初心者でも安心して沢歩きを楽しめます。
長靴は滑りやすいのでオススメできませんが、「ワラジ」という手があります。(手というよりも足?)
実際、沢歩きをする上で最もフリクションに優れているのはワラジだそうで、今でも沢登りで愛用する人がいるくらいです。
問題は耐久性が無い、という事と売っている店が殆ど無い、
という点でしょうか^^;
何はともあれ、大行沢は東北でも有数の美渓。
今回レコでは訪れてませんが、後半部分が大行沢の真骨頂。
初めての沢登りに、強くオススメします!
酒は・・・
実はあんまり強くありません^^;
お陰で翌日は胃の調子が悪かったです><
飲みすぎには注意しないといけませんね・・・
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