杉波谷より鉢ヶ峰〜三ヶ谷山☆冬枯れの尾根を周回


- GPS
- 04:06
- 距離
- 8.8km
- 登り
- 713m
- 下り
- 718m
コースタイム
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
コース上にはp692〜鉢ヶ峰間を除いて一般登山道なし |
写真
感想
以前、HB1214さんとご一緒に不動尊の滝を訪れた時のことだ。滝は杉波谷の左俣の支流にあるのだが、左俣の流れに沿って谷の奥へと続いていく踏み跡が目に入った。この谷を跨ぐ送電線鉄塔に向かうための巡視路であろう。鉢ヶ峰にたどり着くためのルートは様々な可能性が考えられるが、この送電線巡視路からp692から東に伸びる尾根を辿ることが可能ではないだろうかと考える。
杉波谷沿いの林道を進むと、道の両側には結界を結ぶような二基の大きな石灯篭が現れる。石灯籠の前はかなり広い広地となっており、車一台を停めるには十分すぎるスペースがある。不動尊の滝への入り口にも車数台分の広地があるのだが、下山地点を考えると、この石灯籠の前から出発するのが適当な気がした。
左俣との出合をすぎて右俣に入ると、不動尊の滝の標識と橋が現れる。最初は植林地の急斜面をジグザグと登ってゆく。尾根を横切る地点には古い祠があり、不動尊の滝に対する信仰の歴史の古さを物語っている。左俣の左岸をトラバースするようになるとまもなく谷に落差のある二段の滝が目に入る。なるほど、どうやらこの滝を高巻くためにこのようなルートになっているようだ。
まもなく登山路は沢沿いを進むようになり、不動尊の滝への道標が現れる。滝のある左手の支谷に入ると、狭い谷間に滝音が響き渡っているが、滝の姿は見えない。谷を少し登ると斜面の陰から突如として楔形に広がる滝が現れる。
空からは小雨が降りだした。天気は晴れの予報であったが、おそらく俄雨であろう。再び左俣の谷に戻り、踏み跡を先に辿ると雨はすぐにも降り止む。崩落した橋が現割れるが、沢を渡渉することが可能であった。
幾度か渡渉を繰り返しながら沢を遡行すると、左岸に大きな炭焼き窯の跡が現れる。ここで巡視路は分岐し、谷の右岸と左岸の送電線鉄塔への道に分かれる。右岸への道は明瞭である上に尾根上には快適そうな自然林が広がっているのが見えたので、躊躇なく左の道を選択する。
p692から東に伸びる尾根に上がると巡視路は南の尾根にある次の送電線鉄塔を目指して、南側の斜面をトラバースしてゆく。最初は急登の細尾根から始まるが、すぐに傾斜は緩やかになった。尾根上には馬酔木が多く見られるが、通過に難儀するほどの藪はない。尾根上にはテープ類はおろか、全く踏み跡は見当たらない。こうした踏み跡のない未知の尾根を歩くのはちょっとした冒険心の高揚を伴うものだが、藪に進路を阻まれる可能性が少なくない。
しかし、やがて全く下生のない広々とした尾根になり、あたり一面は落葉の絨毯となる。登るにつれて落葉の褐色が鮮やかさを増す。落葉してまもないせいかと思ったが、まもなく尾根上には雪が現れると、溶けた薄雪のせいで落ち葉が湿っていたためであることを理解する。
多少はぎを強いられることを覚悟してはいたが、快適な尾根を辿るうちに杉波谷の右岸の尾根と合流し、p692に辿り着く。p692からは南の白尾山から尾根上を辿る明瞭な登山道が現れる。
鉢ヶ峰のピークが近づくと西側から植林地が上がってくる。登山路が植林地の中に入ると上からボタボタと間断なく水滴が降ってくる。最初は再び雨が降り始めたかと思ったが、昨夜の降雪が溶けて雫となって落ちていることを理解する。山頂の西側に植林地に展望を遮られているが、東側に展望が開ける。奥ヶ追(おくがせ)山からの南に下る尾根の向こうに見えるのは奥ヶ谷山だろう。その彼方には冠雪した銀嶺が目に入る。武奈ヶ岳のようだ。
鉢ヶ峰から尾根を先に進むと全く踏み跡はなくなる。しかし明瞭な尾根は下生のない山毛欅やミズナラの樹林となる。すっかり葉を落として冬支度を整えた樹林には一瞬、雲の間から溢れ落ちが陽射しが落葉の上に影を落とす。
尾根上のピークca760m峰で北向きに方向を転じると左手にはイワヒメワラビの繁茂する展望地が広がる。北西の方角には堀越峠を中心として頭巾山に至るまでの若丹国境尾根を眺望する。尾根上には自然林の中に一本だけ、大きな台杉があるが、残念なことにその主幹が台上部からバッサリと折れてしまっている。この幹が折れなければどれほど均整のとれた樹影を示したことだろう。
この鉢ヶ峰からp727までの稜線は快適な自然林の尾根がどこまでも続いている。尾根の右側に目を向けるとすぐ近くにこれから辿る三ヶ谷山が見える。斜面には所々に植林が見えるが、有難いことに尾根上には山頂部まで自然林が続いているようだ。
p727への鞍部に至ると、登りの斜面には樹林の間に一筋の回廊が現れる。柔らかい落葉のカーペットの敷かれたプロムナードは山頂まで続いていた。
p727からは鞍部にけけてなだらかな尾根を下ると、紅葉を纏う樹々が目立つようになる。尾根上には不明瞭ながら踏み跡が出現し、テープがつけられている。送電線巡視路なのであろう。鞍部には送電線鉄塔があり、南側の杉波谷川には次の送電線鉄塔にかけて送電線の下は広く伐採されている。伐採地まで下ってみると目の前には鉢ヶ峰の山容が大きく広がる。通過している時には山頂部は小さく思われたが、オバタケダンから南の白尾山に至る長い尾根における最高峰であり、大きな山容を誇るのも不思議ではない。
三ヶ谷山にかけてはいくつかの小さなコブを越える。ユズリハの小さな藪が現れるも、藪の間には通り抜けるのに十分な間隙が空いており、藪漕ぎを強いられることはない。三ヶ谷山の近づくと尾根の上には残り火ともいうべき紅葉の樹々が現れる。気がつくと先程までは曇天に覆われていた筈の空には蒼空が広がっており、紅葉を明るく煌めかせる。
三ヶ谷山の山頂は三角点の石標があるだけの樹林の中の小さな広場であった。山頂からは南東に伸びる尾根を辿ると、尾根上には藪化した潅木が現れるが、その間を薄い踏み跡が続いている。p641の手前で南に下る支尾根に入る。馬酔木の間を縫って急下降を下る。尾根の下部では下生のない植林となり、杉波谷川の広い河岸段丘に降り立つと、寺谷と記された立て看板がある。どうやらこの山林は美山にある寺の所有林らしい。無事、杉波谷川を渡渉すると林道を歩いて駐車地に戻る。
車に乗り込み知見口に出ると一週間前には目の醒めるような深紅色を見せていた由良川沿いの楓の紅葉は既にほとんどが落葉していた。美山から京都に向かう国道162号線を走ると、山向こうに陽が落ちてゆく。雲のない空にはいつしか橙色の光が広がっているのだった。
コメント
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最近は、美山から若丹国境付近をよく歩かれていますね。yamaneko0922さんの中でマイブーム?それにしてもこのあたりの山は、見ているよりも登らなければその魅力がわからない感じです。美しい山です。まさに美山の美山ですね。
でも不動尊の滝の巡視路が気になると言ってられましたが、まさかこんなに早く実行に移されるとは。
明日辺りから気温もグッと下がり、山も冬の顔になるのでしょうね。私はこの先しばらくはかなり忙しくなるので年内にもう1回山に行けるかどうかです。
なるほど、そういう洒落が使える訳ですね。
確かに先週は若丹国境尾根を縦走して朽木の名杉から美山に下りましたが、美山から登ったのはHB1214さんとご一緒させて頂いた時以来です。実は美山を再訪したのはもう一つ理由があって・・・というのも先日の帰りに立ち寄った道の駅ふれあい広場で売られていた北山の峠越えに関する本を求めたところ、「この本は注文しないと入ってこないんですよ」とのこと。果たしてそんな本を一体、誰が注文するのだろうかと思いながら、今回の山行のついでにその本を受け取りに行ったのでした。その筆者はなんと権蔵坂の立て看板の作者でありました。
家内ともHB1214さんならきっと気に入られるのではないかな、などと話をしながらp767を歩いておりました。またお時間が出来ましたら、是非、ご一緒に参りましょう。
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