南八甲田

コースタイム
黄瀬沼往復〜地獄峠10:30−駒ヶ峰入り口10:45−櫛ヶ峰入り口〜黄瀬萢〜
駒ヶ峰入り口12:10−駒ヶ峰山頂12:40−猿倉岳13:40
〜14:00登山道にて遭難者発見。介抱。開けた場所へ戻りヘリに合図→全く気づかれず
〜自力下山〜猿倉温泉到着17:30頃(エアリアタイムではこの間は1時間)
その後警察の事情聴取。
天候 | 晴れ。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2006年09月の天気図 |
コース状況/ 危険箇所等 |
☆コース状況 ・エアリアで示されている笹はかなり藪になってケモノ道のような状態。(身長以上の丈) 踏み跡があるので足でしっかり辿れば問題無い。(年によって状況は変わるそう。) ・逆に、笹薮以外の少しひらけた場所は道のような沢の跡が縦断、横断しているので 迷いやすい。(赤テープ以外にも、登山者が残したビニールテープが分岐に多数有り。) ・水場は地上30cm程の岩を水がしたたる程度。沸かせば問題なさそうだが、 今回は持参。 ・平坦なコースで、数日天気安定していたとのことだが、ぬかるみがひどい。 スパッツがあったほうがベター。 ・全山幕営禁止だが、駒ヶ峰入り口付近にいい具合のスペースが3箇所あった。 ・全くひとけが無い。登山者はほとんどいないらしい。 ☆携帯全く通じず。電話は猿倉温泉フロントの衛星電話借用。(3分200円) ☆登山ポスト登山道入り口(猿倉温泉脇)に有り。 ☆登山道入り口に駐車スペース有り。(2〜3台程度) ☆熊目撃情報無し。(もう少し下界に行かないといないらしい。) ☆猿倉温泉近辺はカーナビが利かず。電話番号で検索するととんでもない所へ連れて行か れるらしい…。 ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*☆.。.:*・☆.。.:*・°☆ 笹薮がひどいですが、地元の方は、『緑のトンネル』と言ってこの藪が雨による登山道の 洗掘を防ぐとしてとても大事にされており、あえて笹を刈らないようにしています。 毎年、誰かが勝手に笹を刈っていき(その方は登山道整備で良かれと思っているのでしょ うが)南八甲田を愛する人々は心を痛めているそうです。 地元の人々の考えとしては、山に人の手を入れない。安易に遭難するような人には絶対入 って欲しくない。山の経験が豊富で上記のことを理解している人にだけ入って欲しい。と のことです。 沢山の美しい池塘の周りはロープが張られているのみです。本当は木道を作り、保護すべ きとのことですが、それも同じことで登山者のモラルにかかっているのです。 ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*☆.。.:*・☆.。.:*・°☆ |
ファイル |
(更新時刻:2010/07/28 08:54)
非公開
2195.xls
計画書
(更新時刻:2010/07/28 08:54) |
写真
感想
長い1日になりそうな為、日の出と共に行動開始。5:30、登山口で青森県警のおっちゃん
に会う。(ほっぺにごはんつぶ付けてマンガみたい。)
「昨日この山で一人遭難してるから〜。見つけたら教えてね〜。」
一応遭難者の名前と年齢を確認する。テンションかなり落ちたけど、はりきって行こう。
なんだか我々が見つけそうな感じだよね〜。などと話しながら、発見時、怪我をしていた
場合、最悪の場合を想定しつつ進んでいく。(おろしたてのツェルト駄目にしちゃうかも
な〜。やっぱエマージェンシーシートも持って来るんだったな…。実は来る前に、いる・
いらないでもめた。私が必要ないと決めてしまっていた…。色々考えてしまう…。)
駒ヶ峰まではずーっと緩やかな登り。登山道には水が流れていて粘土質な為ぬかるみがひ
どい。上空をバリバリとヘリコプターが飛んでいる。(こんな藪じゃヘリで見つけるの無
理だよ…。)
美しい湿地帯をいくつか抜けると黄瀬沼分岐の表示。山奥にひっそりと佇むこの沼を見た
くて仕方なかった。が、藪がひどすぎる。また、水が流れた跡が登山道のようで、縦断・
横断しており、登山道自体もまっすぐでない為とても分かりづらい。こりゃ迷うわ…。と
不安になりながら進んでいく。この辺りまで来るとヘリの音も全くしない。
やっと沼へ…。
全く何も音が無い。鳥の声も無く、葉ずれの音さえしない。木道が沼を取り囲んでいるけ
れど、かなり荒廃している。4分の1程進んだ所で2人の足がピタッと止まる。
「なんかすごーく怖いよね?」「そう思った。」なんだかあんまり人が入っちゃいけない
ような気がして怖くなってすぐに退散。帰りも頑張って藪を漕いだ。
駒ヶ峰入り口から櫛ヶ峰入り口まではとても歩きやすい。櫛ヶ峰に登りたかったけれど、
時間の関係で惜しくも黄瀬萢鑑賞のみで引き返す。どこまで行っても誰にも会わず、山は
本当に深く、ひっそりとしていた。
駒ヶ峰への登りはまた笹薮を通っていく。ぬかるみに注意しながら、笹をどけながら登っ
ていくのは結構ハードだった。腕がとても疲れてしまった。頂上へは30分程で到着だが、
展望が悪く狭い為(2畳程度)すぐに猿倉岳へ向かった。
猿倉岳は山頂がはっきりしない。この辺かな…高度も大体合ってるし…(適当)。後は1
時間の下山で終了だ。と少しほっとしながら下り始める。
そうなるとやっぱり気になるのは遭難された方の事…。
時々、「なんか物音がした。誰かが石をたたくような音…。」
(もしかして声も出ない状況で倒れて助けを求めてるとか?嫌な映像が頭に浮かぶ…。)
「誰かいませんか〜?」「誰かいませんか〜?」と叫んだりしながらの下山。
そこから少し下った辺りでばったり人に会う。もしやこの人?自分の足で立っているけ
ど、…少し取り乱して、パニックな様子。名前を確認。…うわ、この人だぁ〜。
「本当によかった〜。大丈夫ですか〜?」ひとまず座らせて、話を聞く。怪我は無し。
「のどが渇いた…。」ポカリを飲ませる。食べ物を色々出すが、全く受け付け無いと言
う。飴をいくつか渡す。会話がかなり変。(パニックだ。)
ゆっくりと休んで、水分補給したら大分落ち着いてきた。
…前日家族に伝えて出かけたが、山奥まで来てしまい、下山が分からなくなり、日が落ち
たのでじっとしていた…と。寒いのでカイロを貼って寒さをしのいだ…と。幻聴が何度も
聞こえて助けを呼んだ…と。菓子パンのみ持っていたがもう食料は無い…と。今日は日の
出と共に行動再開し、何度かヘリにタオルを振るが見つけてもらえなかった…と。今日も
また野宿かと覚悟していたところだ…と。
水はもう尽きており、私から見て、また登り返そうとするところだった。(危ない危な
い…)でも、本当に出会えて良かった。ヘリの音が遠くなったり近くなったり、手を振っ
たりライト振ったりするが、ガスもかかっており全く見つけてもらえず。まだ14時過ぎだ
が、日暮れも早い。この人をおぶって降りるのは我々には無理。荷物なら持ってあげられ
そう。本人とも相談し、歩く意志がある為、自力で下山することに決定。そして、エアリ
アの3倍以上の時間かかって(フラフラなのに歩かせた為。)やっと下山。
登山口では帰り支度を始めてる警察が…。慌てて呼び止め、生還を皆で喜びあう。
(警察も消防も山に入ったが発見出来なかったらしい…。翌日は大雨でかなり気温が下が
った。本当に今日見つかって良かった!私、今日南八甲田に来て良かった!と思った。)
家族からお礼を言われ、警察からお礼を言われ、猿倉温泉の従業員みんなにお礼を言わ
れ、なんだか恥ずかしかった。(東京じゃ無事でも『遅い』ってヤジ飛ばされることが多
いんだ。助けられるのが当たり前ってみんな思っているからね。…と東京消防庁の主人。
スレてるよ…)
ここじゃみんなが自分の事の様に感謝の言葉を出してくれた。大好きな地元の山で人が遭
難したり、亡くなったりする事が本当に嫌なのだと思った。青森の人々の温かさを感じ
た。
後日、捜索隊の方(山岳ガイド、八甲田十和田を愛する会代表、久末氏)から電話をいただ
きお話する機会があった。遭難された方はお元気だが、下山したこともほとんど記憶が無
いそうだ。南八甲田は北八甲田と異なり、人の手が入っていない事が魅力なんだそうだ。
「もっと整備を。」という声もあるが、南八甲田の地質から、藪を払うと雨で土が流れて
自然破壊に繋がってしまう。また、絶対的に登山者は少なく、はるかに北八甲田で怪我や
遭難する人の方が多い。とのこと。これ以上人が入りやすいようにすると更に事故が増え
ることが予想されるそうで、整備をしてかつ人の安全を守る事と自然を守って行く事。
その2つのバランスがとてもとても難しいとの事。
私にとってとても勉強になった山行だった。
webニュース↓良かった良かった。
http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/20060926130253.asp
http://www2.toonippo.co.jp/news_too/nto2006/20060926233504.asp
青森県警からの感謝状は丁重にお断りしました。
大変遅いコメントで失礼致します。
南八甲田はGPS持参でないととてもじゃないですが大変ですね。
強烈なヤブコギ&洗堀された道の歩きにくさ 一級品です。
まだ櫛が峯は未踏で来年こそと思っています。
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