2009年の山行から〜‘火の鳥’の国：コスタリカの山 「セロ・チリポ（3820m）」
mizuki
コースタイム
◆2009年2月21日〜2009年3月7日
【日程】
2月21日〜22：成田→✈→ヒューストン（泊）
2月23日：ヒューストン→✈→コスタリカ：サンホセ
2月24日：サンホセ→車→セロ・デ・ラ・ムエルデ（火の：ケツアール探鳥）→車→サン・ヘラルド村（登山口のホテル泊）
2月25日：サン・ヘラルド6:40→（ガイドと登山）→13:50クレストーネス小屋（泊）
2月26日：クレストーネス小屋3:40→（ガイドと登山）→5:45セロ・チリポ山頂→7:50クレストーネス小屋8:15（単独登山）→セロ・クレストーネス→セロ・テルビ→クレストーネス小屋（泊）
2月27日：クレストーネス小屋6:30→（ガイドと下山）→サン・ヘラルド村（昼食）→車→サン・ホセ（泊）
2月28日【夫と共に、コルコバード国立公園のジャングル・トレッキング】
ホテル→車→ネイチャーエアー空港→✈→ドレイク・ベイ空港→車→浜辺→（ボート）→コルコバード国立公園→「ジャングル・トレッキング」→公園内のホテル（泊）
3月1日：【カーニョ島：mizuki・シュノーケリング、夫・スキューバダイビング） コルコバード国立公園→（ボート）→カーニョ島→（ボート）→公園内のホテル33月2日：コルコバード国立公園→サン・ホセ
3月3日：コスタリカ大学訪問
3月4日：（mizukiのみ）
ヴォルケーノ・イラス登山→オロシ渓谷→ランカスター庭園
3月5日〜3月7日：サン・ホセ→ヒューストン→成田
| 天候 | 南アメリカのエリア選択肢しかないので、そうしてあるが、コスタリカは、パナマの隣国。「中南米」である。 登山日程中は全日晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2012年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
船 飛行機
成田→✈→米国経由（私たちはヒューストン経由）→✈→サンホセ空港→車→市街地のホテル ◆セロ・チリポ山の登山口の、サン・ヘラルド村へのアクセス ホテルから村まで、レンタカーと現地ドライバーを雇用 （公共機関は、途中までしかない） ◆登山に伴う交通機関や現地ガイド コスタリカにある現地エージェント（日本人経営）へ、個人でダイレクト手配。 「SAKURA TOURIST」�筺�506−272−8745） E-mail:[email protected] |
| コース状況／ 危険箇所等 |
◆セロ・チリポ登山に関して ・1日に30人にしか、登山許可が下りない。 ・宿泊予定日の1か月前から予約受付開始。 ・世界中からオファーがあり、ハイ・シーズンはなかなか予約が取れない。 ・私は、半年前から現地エージェントに頼んでおいたが、外れ。1名キャンセルが出て、許可が取れたのは出発10日前だった。 ◆その他の情報 感想の山行記を参照 |
写真
拍手
【2月26日】セロ・チリポ山からの日の出。晴れていれば、山頂からは太平洋とカリブ海が見下ろせるそうです。残念！この日は下界は雲が多かった。
この教会の地下に有名な「黒い涙を流すマリア像」があるのだけれど、私は人工物の見物だとすぐ疲れてしまうので、中庭で待つことに。そこで、葉きりアリの行列発見！
感想
8月28日に右膝半月板損傷切除手術。1か月間は登山休止。暇なので、少し前の記録をアップ。
山行記はは長いです。ご興味のある方はお付き合いください。
COSTA RICA（ COSTA＝海岸 RICA＝豊かな）
○セロ・チリポ(CERRO CHIRRIPO 3820m 中米第2位 チリポ：永遠の水の場所の意味)＊中米最高峰：タフムルコ火山4220m：グアテマラ
○セロ・クレストーネス（CERRO CRESTONES 3721m）
○セロ・テルビ（CERRO TERBI 3760m）
○イラス火山（3400m）
夫の今度の出張先は、コスタリカだという。コスタリカ？ 何処？
国名を聞いた時の私の認識は、中米の辺りかなと見当をつけられた程度。あとは、国会議員の選挙時期に、新聞紙上で「コスタリカ方式(*)」なる言葉を目にする位であった。
＊コスタリカ本国では、国会議員と地元との癒着を防ぐため、1期4年の任期終了後は、次の選挙には立候補できない。4年空ければまた立候補できる。日本では、この方式にヒントを得て小選挙区比例代表並立制を考案し「コスタリカ方式」とよんでいる。日本は継続して何期でも立候補できるので、コスタリカの名を騙っていても、コスタリカの選挙方式とは根本的に異なる。
早速、本屋へ行ってみるが、単独の出版物は見当たらず、「地球の歩き方：中米」編のただ一冊のみ。さらに大使館のホームページやウエブ（ほとんど情報が無い）で情報を収集。なんと、富士山より高い山があるではないか！ しかも、出張時期は「乾季＆花期」と重なる！
この2つの情報で、夫の出張にくっついてコスタリカの山を登ることに決めた。
【コスタリカ情報】
・軍隊を捨てた永世中立国。中米一の教育水準を維持。アリアス現大統領は中米和平への貢献により、1987年のノーベル平和賞受賞。
・九州と四国をあわせた位の面積の中央部を山脈（火山が多い）が走り、首都サン・ホセをはじめとする主要都市は高原地帯にある。年間平均気温が23度位。晴れた日中は半袖でよいが、朝夕はセーターやジャケットが必要。カリブ海や太平洋沿岸は熱帯性気候。雨季（5月〜11月）と乾季（12月〜4月）があるが、同時期でも地域によって異なる。
・国土の24％が国立公園。牧場を国家が買い戻し、原生林の自然復旧に努めている。2008年：NHKハイビジョン「地球エコ紀行」で取り上げられた。
・主な産業は農業（特にコーヒー：日本にも輸出されている。）と観光。自然保護の先進国でエコツアー発祥の地。欧米各国からの観光客が多い。滞在中、アジアからの観光客には一人も会わなかった。
・中米の中では豊かな国なので、近隣諸国からの流入者が多く、近年、犯罪も多くなっている。スペイン人の入植後、その混血も進み、街中には、白人種、ネイティブ、混血、流入した人種と様々な顔が見られた。朝早くからよく働く姿を多く見た。
・訪問時で、US弗1：560コロン 1円：5コロン 米ドルも現地通貨（コロン）も使用できるが、小さな店や屋台では、US弗10以下の紙幣でないと使えなかった。
・車と国内航空航路、バス路線が発達している。日本からの直行便は無く、米国やメキシコ経由で入国する。私たちは、ヒューストンで1泊して翌日コスタリカに入国した。日本との時差は−15時間。ヒューストンとは時差0．
【エージェント】
ウエブで現地エージェントを選定し、コスタリカ国内の交通、ホテル、スキューバダイビング〔夫〕セロ・チリポ登山の入山許可やガイド等の予約については、ダイレクトに手配を依頼した。観光のための各種手配のシステムは整備され、きちんと機能している。現地で初めて知る小さな変更が幾つかあったが、全く支障は無かった。英語のガイドや運転手を指定可。日本語ガイドは少なくて困難。
【コスタリカ最高峰 セロ・チリポ 3820m登山に関して】
・入山許可証
購入した2007年度版「地球の歩き方」によると、山小屋の収容者数の関係で1日60人にしか入山許可が下りないとあったが、自然保護のため1日30人に引き下げられた。宿泊予定日の約1ヶ月前から予約を受け付けるシステムだが、ハイシーズンのため、国内はもとより海外からもオファーが殺到し、半年前から現地エージェントに依頼していたにもかかわらず、私の予約は取れなかった。キャンセルが出て許可証を得られたのは、なんと出発10日前。5500円位。
・サン・ホセからのアクセス
最安：長距離バスを2本乗り継ぎ、終点から1時間ほど歩いてサン・ヘラルド村（登山口）へ。私は、途中、ケッツアール探鳥をしたかったので、専用車と英語ドライバーを頼んだ。
・山岳ガイド
標高が高く山も大きいが、特別な技術はいらない。トレイルも標識も分かりやすく、単独でも迷う事は無い。私はガイドとポーターを頼んだが、次の2点でよかった。�‘察后�動植物や造山の過程、土地の人々の暮らし等、様々な情報が得られた事、また、夜中の登山が出来た事。��登山口の村人の多くが、ガイドやポーターで生計を立てている。そのお役に立てたこと。
入山から下山までの全ての食事はガイドが作ってくれる。昼食はサンドイッチ・ジュース・りんご・スナックバー。食材や燃料、調理鍋等はポーターが荷揚げ荷下ろしを受け持つ。
・クレストーネス小屋（3400m）
レンジャー常駐の国営の小屋。正式には「BASE CRRESTONES」。日本の大規模山小屋も真っ青の近代設備を整えた清潔な小屋。自家発電で電気も点くし、大きなパラボラアンテナを設置してあり、インターネットも使える。生まれたての水はそのままがぶ飲みOK。水洗トイレ（紙はボックスヘ）に水シャワー。立派なキッチンがあり、燃料は卓上カセットコンロ。個人でいく場合は、ガスカートリッジとガスヘッド一式を有料で貸してくれる。マット付2段ベッド2台を入れた個室。詰め込む事はしない。シュラフの有料貸し出しもある。みやげ物や絵葉書等は一切扱っていない。
・装備等
シュラフは三季用とゴアのシュラフカバー、薄手の手袋、フリース、ゴアのレインウエア、半袖Tシャツ、サングラス、帽子、サンスクリーン、ヘッドランプ、軽登山靴、ザック等。
【記 録】
◆2月21日〜23日 【成田〜ヒューストン(泊)〜コスタリカ：サン・ホセ】
・CO1446便は満席。あまり余裕を持たずにチェックインする夫の習慣に従ったので、席は離れ離れ。定時離陸。ヒューストンまで13時間のフライトだ。9.11以降、事前のESTA申請や、両手指の指紋採取や顔写真の撮影等、米国の入国審査が厳しくなった。メキシコ経由にすればよかったと後悔。
・空港近くのいわゆるトランジット客専用ホテルは、空港内に専用ダイヤルを設置。電話をして到着ロビーを告げれば、専用車で無料お迎をしてくれる。ありがたいシステムだ。
・22日、朝食を済ませ空港へ。空港名は「ジョージ・ブッシュ空港」。インターコンチネンタル航空会社のハブ空港だが、前大統領の出身地だから？
・出国手続きは簡単で、サン・ホセ行きの飛行機に乗り込む。3時間30分のフライトになるが、時差が無いのがありがたい。アナウンスの第一言語がスペイン語に変わる。臨席のお嬢さんに、スペイン語挨拶の発音指導をお願いした。ネイティブのスペイン語は、はじけるような躍動感がある。
・しばらくカリブ海の上を飛び、やがて中米大陸の上を飛ぶようになる。
・機内アナウンスがあって、目的地に近づいたことを知る。窓から見下ろすと、先ず、大きな山々が目に飛び込んできた。其々が裾野を大きく広げ、中腹から上は厚い雲に覆われている。下調べでは、その多くが3000m級の火山との事。それらの山々に囲まれて赤い屋根を基調とした街が広がる。首都サン・ホセは高原都市である事が俯瞰できる。非常に美しい。期待が高まってくる。
・コスタリカへの入国手続きは簡単。到着ロビーに出ると、夫の仕事関係の男性：P氏が手を振りながら出迎えてくれる。早速、覚えたてのスペイン語で挨拶。彼の車でホテルまで送ってくれることになっている。左ハンドルのトヨタ：レクサス！ ゼイタク〜！
・片側2車線の高速道路を通り、サン・ホセ市内の「グラン・ホテル・コスタリカ」へ。中央広場や国立劇場と隣接する老舗ホテルというだけあって、なかなか立派な構えだ。コスタリカは、中米一豊かで安全な国であるが、近年、近隣諸国からの流入者が増え、治安が悪くなってきているという。私たちは、安全を第一としてホテルを選んだ。
・チェックイン時に現地エージェントが託しておいてくれたバウチャー一式を受け取る。その後、待っていてくれたP氏が市内案内をしてくれた。旅行者が一人で歩いても大丈夫なエリアや通り、コスタリカ大学行きのバス停留所の場所、名所のミニ解説等、大変、ありがたかった。電気店で、「電気炊飯器」を見つけたのにはびっくり。P氏に聞くと、主食は米だという。
・ホテルはもちろん、スーパーやデパート等の入り口には、必ず複数の警備員が立っている。また、街角には警察官の姿も。治安の維持に特に力を入れているようだ。
・私たちの部屋は、中央広場に面したデラックスツイン・・・広さも眺望も申し分ない。しかし、中央広場の催事や、夜中まで騒ぐ若い人たちの声がうるさくて、二人ともこの夜は全く眠れず。
・翌朝一番で部屋替えを要求した。静謐を第一条件としたところ、少々狭いが、中庭に面したツインに変えてもらえた。以後、私たちはこの部屋を「納戸ツイン」と呼ぶことにした。
・23日 夫は仕事で今日からコスタリカ大学に通う。私は、24日からの登山準備とホテル近辺のリサーチ。大きな店でも、責任者は英語を話すが店員は話せない。
・ホテルの朝食は毎朝6時から5階のダイニングでとれるが、明日は6時に専用車がピックアップに来る。夕食を食べた1階のレストランで、明朝5時に朝食を作ってくれるよう交渉。コンチネンタルならOKとの返事を得て、安心して就寝。納戸ツインは静かでよく眠れた。
◆2月24日【サン・ホセ〜セロ・デ・ラ・ムエルテ〜サン・ヘラルド（泊）】
「貴女が日本から来たので、ケッツアール（＊）は日本へ飛んでいったかもしれないよ。」
＊ケッツアール：世界一美しい鳥。エメラルドグリーンの背中、ルビーレッドの胸、サファイヤブルーの主翼、長い尾翼、愛らしい顔。隣国グアテマラの国鳥で通貨名にもなっている。捕らえて籠に入れると死んでしまうので、中米では自由の象徴。手塚治虫はこの鳥をモデルにして「火の鳥」をデザインした。
・きっかり6時に、フラメンコの踊り手のような素敵な青年がピックアップに来てくれる。声は若き日のマーロン・ブランド！ 登山口の村まで専用車で4時間。途中、ケッツアール探鳥にセロ・デ・ラ・ムエルテに立ち寄る予定だ。
・1時間ほど走ると、道は次第にカーブのきつい山腹や稜線を走るようになる。標高が次第に上がり太平洋に近くなると、ねっとりとした濃霧に覆われ視界が極端に悪くなる。視認は出来ないが、熱帯雲霧林が広がっているのだろう。高度計は3000mをさしている。この辺りが峠だ。
・峠を少し下り、幹線道路を分けてセロ・デ・ラ・ムエルテへ。舗装されていない道の突き当りにレンジャーキャビン。窓に下げられた餌付けポットに何匹ものハチドリ。こんなに間近で見るのは初めての経験だ。濡れたような孔雀色の羽を高速で羽ばたかせてホバーリングし、美津を吸っている。その合間にも、絶えずさえずっている様子は、「ハミングバード」の別名そのもの。
・大型双眼鏡と望遠鏡をかついだレンジャーと原生林の中へ踏み込む。深く息を吸い込む。酸素が濃い。レンジャーの話によると、この森の一部は、国が60年前に牧場を買い戻し植生の自然再生を図っているのだという。一見しただけでは何処が牧場であったか分からないほど、大きな起伏を重ねて密度の濃い熱帯雲霧林が広がっていた。
・30m〜40m位ある大木はオークだという。日本では家具用材木として知られている木だ。ケッツアールは、アボガド（小さな実をつける原種）を食べるが、オークの枝にも好んでとまるそうだ。
・レンジャーは、森の奥に分け入りながら時々立ち止まっては、双眼鏡を手にする。30分位探すがなかなか見つからないようだ。私の方を振り向いて曰く、
「貴女が日本からきたから、日本に飛んでいってしまったかも知れないよ。」
早く、戻ってきてよ！
・谷への急勾配の斜面でレンジャーが望遠鏡をセットし、手招きする。日本から急遽、帰国してくれたようだ。覗くと木の枝にとまっているケッツアールが見えた。この後も、前向きや後ろ向き、雄や雌などを見た。でも、葉陰に、その美しい色を確かめられるだけで、全体の姿を見ることはできない。
・1時間ほど探鳥するが、警戒心が強いことと美しい色は保護色でもあり、姿全体を見られる事は少ないとの事。あきらめて斜面を登ってくると、バサッバサッと頭上で音がする。見上げると、目の前のオークの高い枝に、ケッツアールがとまったではないか！ しかも雄！ こちらを向いている！
息を殺して立ち止まる。レンジャーが望遠鏡をセットする。なんとカラフルな鳥だろう。3つの宝石の色を独り占め！ 尾翼がスーッと垂れた大型の鳥だが顔は何とも愛らしい。少し経つと今度はバックスタイルも見せてくれる。そして、羽をいっぱいに広げて下の枝に滑空！ やがて、森の奥へ消えていった。光の中に「火の鳥」の残像が残る。
レンジャーが「貴女はラッキーだ！」と言って、肩を抱いて祝福してくれた。
「エルドウ―ラ温泉 ああ、歩いて30分位だよ。」
・車で南下することさらに2時間、谷間の未舗装のでこぼこ道を走って、サン・ヘラルド村のホテル到着。質素な4〜5棟のロッジと管理棟があるだけだ。ドライバーの青年にチップを渡して分かれる。彼は、これから又4時間をかけてサン・ホセへ戻るのだ。
・オーナー兼コックのご主人は、見るからに人が良さそう。流暢な英語を話す。早速、ランチを作ってくれる。焼きすぎて少々硬いハンバーグであったが、私の目を覗き込み、心配そうに「いかがでしょうか？」と聞くので、つい、「とってもおいしい。」と言ってしまった。
・オーナーには、3歳の娘と5歳の息子がいた。孫と同じ位。可愛い。しばらく庭で一緒に遊ぶ。
・まだ13時半。時間があるので、近くの温泉に行ってみることにする。オーナーに地図を描いてもらい、時間を聞くと、歩いて30分もあれば着くという。
・車で送ると言うオーナーの申し出を断り、タオルと水着をビニール袋に入れ、ぶらりと歩き出す。ところが30分歩いても着かない。人家はとうに途切れ、土埃の急坂が延々と続く。何度も地図を確かめるが道は間違っていない。汗びっしょりになって、もう戻ろうかと思う頃、突然、大きな看板の立つ家が現れる。スペイン語だがSPRIN――までは英語と同じなので温泉に間違いない。
・中に入るが誰もいない。大声で呼ぶと、お爺さんが現れる。ところが全く英語が通じない。以後、日本語とスペイン語、筆談（絵）、身振りと、あらゆるコミュニケーションツールを使ってのやり取りとなる。結果分かったこと：温泉は上と下と2箇所。上は入浴料が高い。私は安いほうを選ぶ。
・お金を支払って、温泉の入り口はここかとドアを指して聞くと、お爺さんが「ジイ。（爺ではない！スペイン語で、はいの意）」という。ドアを開けると、なんとトイレ！ お爺さんが大笑いして、こっちへ来いと手招きする。ちゃめっけたっぷりの面白いお爺さんだ。
・お爺さんの後にくっついて、さらに山道を5分ほど登ると、谷川の反対の斜面にコンクリートで囲われた小さなプールが見える。村の女性二人と女の子二人が気持ち良さそうに入っている。目が合うと皆、にっこりしてくれる。プール横の簡素な脱衣場で水着に着替え外に出ると、村の女性たちが出るところ。後は、私一人。湯温は41℃位で気持ちよい。プールサイドの大岩の上からホースをつたって、温泉が流れ込んでいる。下に行くと結構な水圧の「打たせ湯」だ。
・打たせ湯にも飽きて、後は泳いだ。ターンして戻ってくると、いつの間にか青年が入っている。ばつが悪いので、軽く挨拶をして何処から来たか聞いてみる。カナダとの事。セロ・チリポに登ってきて、筋肉痛。この温泉はいいと言っていた。
・帰り道は、村の人々の日常生活を垣間見ながらぶらぶらと。途中、教会と学校の横を通る。先生らしき男性が出てきたので、先生かと聞くとそうだとの事。ついでに幾つか質問をして分かったこと。
義務教育年限は日本と同じ。午前中は小学校1年生から〜3年生、午後は4年生から6年生の授業。英語は4年生から学ぶそうだ。ちなみに彼は英語の先生だった。
◆2月25日【サン・ヘラルド村〜クレストーネス小屋】
・昨夜の打ち合わせでは、今朝はガイドと一緒に朝食をとることになっていたが、15分待っても現れない。6時半ピックアップ予定なので先に頂くことにする。
・なぜか6時半かっきりに、ガイドやポーターの手配会社の社長さんという人が、車で迎えに来てくれる。社長の車は三菱チャレンジャー・・・。コスタリカを走っている車の半分位は日本車だ。
・社長の車でさらに谷間の道を5分ほど登ると、セロ・チリポのトレイルヘッドに着く。ここで、ガイドのF氏とご対面。今までの海外登山のガイドは全てイケメンだった。（日常は不細工な夫と生活をしているので、ガイドはイケメンがお望みなのだが・・・） 少しの失望を隠してご挨拶。でも、とってもいい人だった。
・6時40分、セロ・チリポへの一歩を踏み出す。トレイルヘッドの標高は1700m。更に1700m登って標高3400mのクレストーネス小屋までが、今日の行程だ。
・クライアントのペースにガイドが合わせてくれるので、写真を撮りたいだけ撮りながら歩く。なにしろ、花々が美しい。見たことも無い花や日本のものに似ている花等、色鮮やかで足を止めずにはいられない。ガイドに名前を聞くが、情けないことに次の花の名前を聞く頃にはすっかり忘れてしまう。
・トレイルは自然のまま。ところどころに馬糞。谷に沿ってなだらかに標高を上げていく。樹高が高く、木漏れ日が心地よい。半袖半ズボンで十分だ。2時間ほど登ったとき、馬を連れて下山してくる人と会う。荷下ろしをしているのだという。この後も次々とポーターたちが下山してくるのとすれ違った。皆、麓の村の人たちで私のガイドと顔見知り。でも、一人ひとりと固く握手しながら言葉を交わす。コスタリカの男性同士の挨拶の仕方だった。
・標高3100m位の竹やぶにハチドリがいた。ガイドが、巣があるよと教えてくれる。よく見ると枝の付け根に葉っぱの繊維を積み重ねるようにして作った巣があった。いろいろな鳥の鳴き声が頭上を行きかい、大型の鳥はその姿を捉えることが出来る。
・標高3200位で、樹高が低くなり、やっと、山々が見渡せるようになってくる。大きな山々が重なり、その山肌にトレイルが確認できる。小屋まで、あと200mだなと思って歩いていると、なんとトレイルは100m近く下りてしまう。下りきったところには谷が入り込み、水場になっていた。
・上り返すと、行く手にセロ・クレストーネスの大岩峰が見えてくる。ガイドが、山小屋はあの山の谷を挟んで向かい側の斜面に建っていると教えてくれる。
・クレストーネス小屋に13時50分到着。自然に影響を与えない部分はハイテク管理されたきれいな小屋だ。レンジャーが私に関する情報をPCから取り出して確認。署名して手続きは終わり。
・歩いているうちは汗をかいたが、さすがに寒い。フリースのジャケットを2枚重ね着する。
・「A：04」が私たちの部屋。先客はアメリカのブロモント州から来たと言う、若き日のブッルクシールズに似た背の高い若い女性。一人で来たと言う。
・荷物整理が終わる頃、ガイドがアスパラガスのスープを作ってくれる。これが実においしい！ コーヒーも、一回一回豆を挽いて入れてくれる。これも絶品！
・汗を流そうと、シャワールームの栓をひねり水に手を触れてみるが、やっぱり冷たい。体を拭くに留めて部屋に帰ると、ブルシちゃんが水シャワーを浴びられたかと聞く。冷たくて私には無理だったと言うと、私もそうすると言って出て行った。しばらくして戻ってきて曰く、「そんなに冷たくなかったわ。髪はぬらさなかったけど、浴びられたわ。」 肉食人種は寒さに強い！
・今夜の夕食のメニュー{ 鶏肉のグリルにソース・ブロッコリー・トマト・マッシュポテト・スープ} おいしいが量が多くて半分しか食べられない。次回食事の分量を半分にしてくれるよう頼む。ワインを出してくれたが私はあまり好きじゃないので、少し頂いて、サン・ホセから持参したビールを飲む。
・調理は、キッチンかダイニングで行う。食事時は宿泊者が全員集まりにぎやか。アメリカからが一番多く、ついでカナダやイギリス、ドイツといった順。アジア人は私一人。若者が圧倒的に多い。
・ガイドと明日の打ち合わせをする。
2：30 起床 3：00 朝食 3：40出発 山頂でご来光
・8時消灯。この夜は若者たちがダイニングで夜遅くまで話をしていて、一睡も出来なかった。
◆2月26日【セロ・チリポ、セロ・クレストーネス、セロ・テルビ の三山登山】
・身じまいをして予定通りに出発。同室のブルシちゃんが、ヘッドランプが暗いので一緒に行ってよいかと聞いてくる。昨夜の私たちの打ち合わせを聞いて、ご来光を見たいと思ったのだろう。
・2人Pが2組先発。私たち3人が最後に出る。今日は、ご来光組は7人だ。外に出ると満天の星空。どの星もきらきらと輝いている。見えすぎて星座を特定できないほどだ。外は文字通り漆黒の暗闇。
・ヘッドランプをつけて、しばらくモレーン地帯を歩く。1時間ほど歩くと前方にコルらしき地形が黒く識別できるようになる。トレイルはそのコルへ向かっていくようだ。コルへは結構傾斜がきつい。
・登りあげて目を上げると、ピラミダルな山が、薄明るくなった空にシルエットになってすくっと立っている。ガイドが目指す山であることを教えてくれる。美しい形の山だ。
・セロ・チリポへは、前衛の山をトラバースし、もう一つ先の山とのコルから急な登りとなる。そのコルからは、はるか左下に3つの湖を見下ろすことが出来る。まだ黒々として、湖面がにび色に鈍く反射しているだけだ。先行Pの若者が山頂に着いたようだ。歓声が聞こえてくる。彼らのヘッドランプがクリスマスツリーの天辺に飾る星のように光って美しい。
・岩がごつごつとした急登を一部手も使って登りあげると、山頂だった。5時45分、3820mに立つ。はるか足下に一面の雲海。空が青さを増し、雲海との境目がオレンジ色に染まり始める。やがて、厚く重なる雲を引き剥がすようにして新しい太陽が昇る。皆、黙って見つめる。
・山頂標識にはコスタリカ国旗も併設されている。順番を待って記念撮影。いい気分だ。
・太陽が上がるにつれて、急に雲が沸いてくる。付近の山が見る間に雲の中。下山前に、山頂の鉄の箱の中のノートに記帳。下山の時に、色の着いた湖を見たいと思ったが、それも雲の中。振り返っても、セロ・チリポも雲の中。日が高くなると常に雲が沸き、なかなか見えないのだそうだ。
・コルへ戻り、ここでもう一度振りかえる。かすかに山頂付近が見えるのをカメラに収めて、小屋へ戻る。7時50分着。小屋の前提では荷下ろしをするポーターたちが計量の真最中。
・一人になりたいので、ガイドに別の山に登ってくるので、その間、休んでくれるように言い、いらないものをベッドに置いて、8：15、セロ・クレストーネスへ向けて出発。小屋の前から谷川に一旦下り、橋を渡って登り始める。目指すは巨大な岩峰。寝不足で頭も体も重いが、好奇心が勝つ。1時間ほど登って基部近くに達する。小屋に向いた面はすごいハング。左手に回ってみる。下部のフェースから50mほど上にワイドクラックが走っている。クラックに沿って見上げると、やっぱり、黄色いスリングで支点が作ってあった。でも、そこまでノーピン！ 取り付きから100mはあるだろう。ロッククライミングには許可が必要で、なおかつ全て自己責任で行うという宣誓書に署名が必要だそうだ。許可をもらっても、上手くないと離陸さえ出来ないだろう。
・時間があるので、尾根伝いにお隣の山まで1kmほど歩く。3760mのセロ・テルビの山頂にも、記念の記帳ノートを納めた鉄の箱が設置されていた。日本語を期待して最初からページをめくるが、無し。私は漢字と平仮名で記帳してきた。こんな高所にも何種類ものトカゲ。からかいながら下山。高山植物も美しい。
・16時まで昼寝。目を覚ますと、若いカップルが同室になっていた。
・夕食はスパゲッティを作ってくれたが、疲れで、半分も食べられない。
・明日の予定を話し合い早々と就寝。今夜の若者たちは8時には各部屋に引き上げ、静かだった。
5：30 起床 6：30 下山
◆2月27日【クレストーネス小屋〜サン・ヘラルド村(昼食)〜サン・ホセ】
・ポーターに預ける荷をまとめて玄関へ置き、予定時刻に下山開始。見納めになる美しい景色をしっかりと目に焼き付けて歩き出す。歩き出して30分もすると、次々と荷揚げのポーター達に出会う。こんな早い時刻にこの標高で出会うとは、彼らは何時に麓の村を出ているのだろうか。ガイドに聞くと、彼らは登り4時間、下り3時間、計7時間で往復してしまうとの事。ものすごいスピード！
・馬を連れた一団とすれ違う。彼らと別れてから、ガイドが今のは、父親だという。64歳との事。私が、「お父さんと私は。同じ世代だ。」というと、目を丸くして「Too young！」
・今日登る人たちが登ってくる。「オ・ラ」と挨拶するのはスペイン語圏からの登山者。「アディオス ターディス」と挨拶するのは、「場面で覚える旅のスペイン語」なんて本で一夜漬けの外国人。
・今日の昼食は、入山時のホテルでとることになっていたが、ガイドの友人の家で食べていけという。
・トレイルヘッドから4〜5分下った、黄色い壁の民家にお招き頂いた。友人の奥さんが料理を作って待っていてくれる。普通の民家。玄関先にはたくさんの鉢花。ベコニア、アマリリス、インパチェンス・・・と、日本でもおなじみの花々。庭には実をたくさんつけたアボガドの木。私は木になったのを見るのは初めてだった。
・昼食は、伝統的なコスタリカの家庭料理 (インディカ米のぱらぱらしたライス、小豆を煮たもの：甘くなくて本当においしい、パパイヤとたまねぎとパプリカを細かく刻んだカレー風味の炒め物、トマトのサラダ、ツナを春巻きのような皮で包んで揚げたもの)
・今日の専用車の運転手だというスキンヘッドの青年も一緒に食事。彼はクライミングに興味を持っている。日本の山のことを聞かれたので、丁度デジカメにアイスの写真が残っていたので、氷瀑を見せると、これは日本かと、びっくりしていた。セロ・チリポの薄氷がこの国の最低気温の象徴。
・スキンヘッドの青年が、厚さ10cmはあろうと思われるノートを開き、記念に記帳しろという。書いているとガイドが「Fガイドは良かったと書いて。」という。「ドライバーも良かったと書いて。」とスキンヘッドも相乗り。日本語で最大の賞賛を書き連ねてやった。ぱらぱらとめくると、2年前の日本人女性の記帳を見つける。二人とも、なんて書いてあるんだと興味津々。ミズキ流超英訳をして伝えてあげた。
・食事後、ガイドと奥さんにお礼を言い、専用車（三菱チャレンジャー）でホテルへ。
・預かってもらったスニーカーに履き替えていると、なんと、3日前に村へ送ってくれたあのフラメンコ青年が近づいてくる。スキンヘッド青年は、私の荷をフラメンコ青年の車に移しておいたと報告に来る。この旅行の期間中、度々、小さな変更が予告無くあるが、連携はきちんとしていて全く支障は無かった。フラメンコ青年の専用車はベンツ。そこで、スキンヘッド青年に目配せして「ドライバーはもちろんだけれど、貴方の車の方がずっと良い。」といったら、噴き出していた。
・サンホ・ホセまで、又4時間のドライブ。ぐっすり寝込み、ホテルに着いた時、フラメンコ青年に、「おはよう。」と声をかけられて目が覚める。チップを渡して分かれる。
・部屋のバスタブで入浴のあと洗濯。一晩干しておけば、あらかた乾いてしまうので便利だ。
・明日(土)から3日間、夫と一緒にコルコバード国立公園へ行くので、不必要な荷をホテルに預かってもらうことにした。
◆2月28日【コルコバード国立公園のジャングル・トレッキング】
ホテル→（専用車）→ネイチャーエアー空港→（飛行機）→ドレイク・ベイ空港→（車）→浜辺→（ボート）→コルコバード国立公園レンジャーキャビンのある浜辺→【ジャングル・トレッキング】
→浜辺→（ボート）→少し北の浜辺のロッジ（泊）
＊コルコバード国立公園は手付かずの自然保護のため、最低の施設と最低のトレッキングルートしか作らないとの事。映画「ジュラッシック パーク」の撮影地。ここでも昼食等はボートで持ち込み、全てを又持ち帰る。
・6：45、迎えの車で国内航空の空港へ。カラフルな絵の描かれた20人乗りの飛行機。荷物は1人につき11Kgまでは無料なのだが、私の荷は少々オーバーウエイト！ でも、係りの青年が今日はおまけにしてくれた。乗客が4人と少なかったからだろう。
・飛行高度が低いので、山々の上まで耕された畑や美しい波をまとった海岸線、中央高地の山々などが見渡せる。やがて、小さな家が1件あるだけのドレイク・ベイ空港に着陸。ここは熱帯。
・送迎車が待機していてこれに乗り込む。川には橋が架かっていない。浅瀬をそのまま走るのが新鮮！
・浜辺に着き、迎えのボートを待つ。やがて海からボートのお迎え。波打ち際まで青年二人がボートを引き寄せて動かないように押さえている間に、裸足になって乗り込む。下船はこの逆。自然保護のために桟橋は一切作ってない。
・ボートは海面をはねるようにして南下。高速で気持ちよい。やがて、コルコバード国立公園のレンジャーキャビンの建つ浜に上陸。ジャングル案内のガイドが来るまで、待つように言われる。
・海岸の大きな木にコンゴウインコが飛んできて止まる。オレンジ色の大型の鳥だ。そのほかにも様々な鳥が行きかう。海ではペリカンがお食事中。愛らしいクワティーという動物が木の下を歩き回っている。此処にいるだけでも、自分も自然の一部に還っていくような錯覚を覚える。
・やがて、海からガイド登場！ 夫が「おい、あいつ、○○にそっくりだなあ。」と、数年前に来日した米国の数学者の名前を言う。本当にそっくり。馬鹿でかい足まで・・・。
・レンジャーキャビンの東屋で先ず昼食。青いテーブルクロスの上に、色とりどりの南国の果物、パン、野菜サラダ、チーズ、飲み物と、それはそれはカラフル。今日一緒にジャングルトレッキングツアーに参加する私たちを含めた7人で、にぎやかに食事。
・いよいよジャングルへ分け入る。植物のこと、木々にいる虫のこと等を説明しながら進んでいく。専門用語が多く、日常英会話程度の私には半分も分からない。川に沿って遡る。やがて大きな滝が現れ此処で休憩。大岩をよじ登りながら滝壺へ行こうとしている青年がいる。私も見たくてよじ登る。途中で私に気づいて「With me？」と聞くので、そうだと返事をすると手を伸ばして引き上げてくれた。深い滝壷だった。下では夫が、奥さんはどういう人かと皆から聞かれ、「希少人種の一人だよ。」と答えたそうな。確かに、私が一番年寄りだったもの・・・。
・休憩後、同じトレイルを下山。途中の小さな滝の滝壷で泳ぐ。岩や木々の上には、精いっぱい上体を反らして警戒態勢の「バシリスク」がいるではないか！ 近づくと、水の上を高速で走って逃げる。高速すぎて姿は目に留められないが、水面に足跡の波紋が走るので、逃げていく方向は確認できる。面白い。テレビでは見たことがあるけれど、本当に水面を走れるのだ！
・レンジャーキャビン前の浜辺からボートに乗り、少し北にある浜辺に上陸。海岸から100m位上がった斜面に、「レインフォレスト＆マレンコロッジ」という長い名前のホテルがある。事務所棟、ダイニング棟、スタッフ棟、宿泊棟が原生林の中に点在。私たちのロッジは森の一番外れ。テラスの前から原生林が海岸まで続き、海が眺められる。大木の上ではサルが遊んでいる。絶えず鳥の鳴き声。ロッジの周りには花々、見上げると木々にも色とりどりの花が咲いている。本当に「花期」なんだ。
◆3月1日【コルコバード国立公園：カーニョ島へ】
・夕食や朝食はダイニング棟まで歩いていってとる。朝は庭をクワティーが散歩していた。
・今日は、夫はスキューバダイビング（飛行機には、ダイビング後24時間空けないと乗れない。明日午後サン・ホセへ帰るので、今日の午前中の1ダイブしか不可。仕事で来ているのだから仕方がありませんね！） 私は泳ぎとシュノーケリング三昧。（遊びに来ているのだから当たり前ですね！）
・別々のボートでカーニョ等へ向かう。
・行く手に、突然すごいものを見た。大きな鯨の尻尾が海面から突き出ている。ブリーチングというそうだ。まもなく海の中に消える。ボートのエンジンを止め、耳を澄ますように言われる。もぐったばかりは鯨の鳴き声が聞こえるというのだ。船頭がこんな鳴き声だとまねしてみせる。
「hwe~~~~~~~~il」（whale：鯨）おかしくて大笑い。でも、すぐ耳を澄ます。本当に聞こえる！ メゾソプラノで船頭の言ったように聞こえる。何回も！ やがて聞こえなくなる。
・カーニュ島の近くの海で、ボートから海に飛び込み、泳いだりシュノーケリングをしたりして過ごす。砂っぽくて小笠原や沖縄のほうが透明度は高いが、大型のカラフルな魚がいっぱい泳いでいた。
・浜辺で食事。アメリカから来た4人組と仲良くなり、浜辺で一緒に昼寝をしたり本をよんだり、思い立って泳いだり、磯のシュノーケリングをしたりして過ごす。
・ロッジに帰るボートにイルカが集まり、ボートと競争。舳先を先導するかのよう泳ぐイルカあり、伴走するイルカあり。また、次々と三日月形ハイジャンプをするイルカありと、国名通りの豊かな海。
◆3月2日【サン・ホセへ戻る】
・来たときの交通手段を逆にたどって、サン・ホセへ戻る。今度も「納戸ツイン」にしてもらう。
・私が登山中に夫が開拓しておいたレストランで夕食。現地の人たちが普通に食べる郷土料理がたくさん並んでいて好きなものをとってもらう。取り分ける量に関係なく、お皿1枚いくらという料金の取り方がラテン系のアバウトさを感じさせて気に入る。どれも、日本人の口に合う。お腹一杯たべても二人分で700円〜900円位。このようなレストランは、市場の中やスーパーの2階にある事が多い。高級レストランは1階にあり、必ず張り出しテラスがあって窓ガラスが無い。夜は冷え込むので、寒くて1度で懲りてしまった。以後、安くて美味しくて暖かいこの手のレストランの常連となる。
◆3月3日【コスタリカ大学訪問】
・バスは市内均一料金で185コロン（37円位）。バスは前のドアを開けたまま走る。停留所でなくても、昇降自由。大学は「COSTA RICA UNIVERSITAT」と書かれたバス停留所から徒歩5分ほど。コスタリカの最高学府で、学生数3万人。校内には樹高の思いっきり高い赤松が多い。滞在中、夫は研究室を一室もらっているので、そこに寄り、学内のカフェでコーヒーを飲む。夫と分かれて敷地内を散歩し、無事バス停へたどり着く。屋台の果物屋で大きなメキシコマンゴーを一つ買う。たったの70円。ホテルへ戻り、明日の準備をする。
◆3月4日【ヴォルケーノ・イラス登山〜オロシ渓谷〜ランカスター庭園】
・最終日は、ツアーに参加。お目当てはイラス火山だ。
・ホテルの玄関で待っていると、ガイドらしき男性がやってきて氏名を確かめる。バスに乗り込むと、私が最後のようで既に満席。各ホテルを回ってツアー客をピックアップしてきたのだ。
・イラス火山は19世紀末の大噴火で、山頂はエメラルドグリーンの水をたたえた火口湖（火口直系1km余、深さ300m余）になった。富士山と同じ位か？ この爆発で麓のカルタゴの街は壊滅的な被害を受けたという。古く見えるカルタゴ大聖堂も20世紀になって再建されたもの。
・溶岩の火口壁とエメラルドグリーンの対比が美しい。3400mあるので、風が強く寒い。
・私は、いわゆる名所旧跡の見学は苦手だ。すぐ疲れてしまう。ガイドについて歩かず、建物の脇の溝をふと見たら、小さな葉っぱがチョコチョコと動いている。しかも行列で！ 目を近づけてみると、なんと赤茶けた小さな蟻が皆小さく切った葉っぱを口にくわえて運んでいる。テレビで見た、「葉切り蟻」だ。大発見！ これは飽きずにメンバーの見学が終わるまで見ていられた。
◆3月5日〜7日【サン・ホセ〜ヒューストン〜成田】
・虹がかかったサン・ホセの街を上空から見下ろす。バイバイ、コスタリカ！
・ヒューストン空港で、夫の荷が紛失。係官に連絡をして探してもらう。なんと、遠く離れた全く違う便のターンテーブルの横にあった。たぶん乗客の一人が運ぶ途中で気づき、適当に置き去りにしたのだろう。この騒ぎで、ホテルに着いたのが22時近くになってしまう。近くのレストランは閉店。私が非常時のために持参していた山用α米やレトルトのおかずや味噌汁が大活躍。
・帰路のフライトは全て定時に離着陸。7日、無事帰国。
軍隊を捨てて永世中立国となり、徹底した自然保護とそれによる観光収入を図る国策に、小国の賢い選択をみた。車中から見た、現大統領の私邸の質素なこと。それを教えてくれたタクシー運転手の誇らしげな表情や、様々な場面で出会ったコスタリカ人の勤勉さから、この国の明るい未来を感じた。
コメント
関連する山の用語
山行記録を公開しました
X
Facebook
リンク取得
メール
ブログパーツ
情報提供のお願い
山行記録を投稿して、ヤマレコのコミュニティに参加しよう！
この山行記録の写真
kawaken1 さん
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する