朝日連峰 石見堂岳 ワサビ沢右岸尾根
- GPS
- 06:52
- 距離
- 9.6km
- 登り
- 958m
- 下り
- 953m
コースタイム
- 山行
- 6:35
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 6:48
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
●ワサビ沢右岸尾根 急登、細尾根が多く、他の石見堂岳登頂ルートに比べると難度は高い。 明瞭な尾根型を辿るのでルートは判りやすいが、標高点833までの前半部には難所が集中する。 今年は記録的な雪不足の為、尾根に雪は少なく特に困難なく通過できたが、豪雪の年はかなり厳しい尾根になると思われる。 標高点833以降は、難所となるような個所は特に無し。 終盤で大井沢ルートと合流し、尾根は終わる。 |
写真
感想
その尾根を教えてくれたのはmokkedano氏だった。
石見堂岳の北東部。
そこには「ワサビ沢」と地図に記された沢があり、その右岸には一つの尾根が続いている。
尾根は月山道の荒沢橋から始まり、石見堂岳へと至る。
荒沢橋の前には広い駐車帯があり、入山には問題ない。
ルートはそれ程長くなく、石見堂岳への冬期登山ルートとして利用出来そうな尾根だ。
石見堂岳へ至る道は、代表ルートである大井沢からのルートと月山道大越川橋からのルートを私は知っているが、この尾根の存在は氏に教えられるまで気が付かなかった。
ワサビ沢右岸尾根。
と、私はその尾根に名付け、氏に教えられて以来、その尾根から石見堂岳を登頂する機会を伺っていた。
冬季ルートとしては良さげなルート、であるが、問題はその地形である。
地形図を見る限りでは、標高点755〜833にかけて長い細尾根が続いており、危険な尾根である事は明らか。
尾根上に描かれる密なコンター地帯も不気味である。
如何なる危険が潜んでいるか判らない、未知の尾根。
地形図から見るに、ワサビ沢右岸尾根からはそんな印象を受ける。
実際、この尾根については情報が乏しく、ネット上で探ってみたが記録なし。
情報源であるmokkedano氏も、この尾根の存在については気付いたものの、
登行記録は見た事はなく、登ったという人の話を聞いた事はないらしい。
やはり、ネックとなるのはその細尾根か。
他にも登りやすいルートは有るのに、明らかに難ルートと判るような尾根を敢えて行く者は少なかろう。
故に、情報は殆ど無い。
だが、まぁよい、行けば判る。
と言う経緯で今回、mokkedano氏に唆された私は人柱・・・もとい、調査員として、
ワサビ沢右岸尾根を辿って石見堂岳へ登ってみる事にした。
まず、この尾根の特徴として言えることは、とにかく傾斜が急だ。
尾根に取り付き、登行開始して30分後、早々と突破困難な急登にぶちあたる。
尾根上に人のトレースは無く、カモシカの足跡のみが続いていたが、
どうやらしくじったらしく、足跡の先には明らかに滑落跡と思われる滑り跡が残っていた。
登攀能力に長けたカモシカですら滑落するのだから、相当な傾斜である。
この尾根の傾斜が、如何に急であるかを示す証拠と言えよう。
とは、言うものの、そのカモシカはルート取りが悪い。
こんな尾根を直登で行っては落ちて当然である。
尾根を巻くなり、灌木を掴んで腕力で行けば登る事は可能なのだが、知能が弱く、手を使えないカモシカには無理だったのだろう。
滑落は3m程度の高さで、落下地点からは再び足跡が続いていたのでカモシカは無事だったようだが、尾根の突破は諦めて、沢へと下ったようであった。
カモシカの足跡と別れ、更に進んで行くと、尾根は狭まり、問題の箇所。
標高点755〜833の細尾根へと行きついた。
この尾根の核心、と想定していた細尾根地帯である。
だが・・・
それは、想像していたものとは違っていた。
両側が切れ落ちた狭い尾根上に、ずらりと巨大な雪庇が連なる。
そんな光景を私は想像していたのだが、今年の雪不足が影響したか。
細尾根上に、雪庇は殆ど無し。
それどころか、尾根上は地面が出ており、ただの藪尾根状態。
確かに、地形図通りに尾根は細く、両側が切れ落ちており危険ではあるのだが、
私が見たかった光景はコレジャナイ。
肩透かしを食らいつつ、灌木掻き分け進んで行く。
雪は乏しいものの、藪がそれ程濃くなかったので細尾根通過は滞りなく進み、標高点833を無事通過。
それ以降は尾根幅が広がり、石見堂岳までは開放感のある気持の良い雪稜が続いた。
かくして、石見堂岳登頂。
一月前にも訪れた山頂だが、今回も無人でトレース無し。
前回同様、視界は優れず、朝日主稜はもちろんの事、障子ヶ岳、赤見堂岳すら見えず。
早々と山頂を後にし、登りと同じルートで下山した。
以上、
初めて歩いたワサビ沢右岸尾根であるが、当初予想していた程、困難な尾根では無かった。
だが、そう思えるのは、あくまでも今年の異常な小雪のせいである。
もし、これが例年通りの雪量であれば、細尾根上には巨大な雪庇が連なり、
踏み抜きの恐怖に怯えながら進んでいたに違いない。
朝日連峰に細尾根は数あれど、これほど長い区間に渡って細尾根が続く場所は稀有である。
もし、この尾根に雪庇がついたらさぞ凄味のある光景になる、と思えるだけに惜しいものだ。
2月中旬を過ぎてこの状態では、今季中にこの細尾根に雪庇は出来ないだろう。
残念ながら、今期中にその光景を見る事は叶わない。
だが、いつか、豪雪の年にこの尾根を登ってみたいものである。
その日を夢みて次回この尾根を訪れる時まで、震えて待つ事にしよう。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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先週あんなに雪が降って大分雪山らしくなったと思ったのに
小雪は前回とあまり変わらずといった感じですか。
例年はできるであろう巨大雪庇群がとても気になりますね。
人柱…もとい、調査ご苦労様でした
先週末、この山域では大雪となりましたが、今週の陽気のせいでしょうか。
すっかり溶けてしまったようで、春山の雰囲気が漂っておりました。
今回は残念ながら、巨大雪庇群は見られませんでしたが、
いつか見てみたいものですね。
来年の降雪量に期待したいものです。
Luskeさん、こんばんは。
1月19日、BC帰りに見かけたのと同じような車が
昨日も駐車帯に停まっていたような… と思ってました
112号線から見える山々の斜面には亀裂が入り
いつ崩れ落ちてもおかしくないような状況で
すっかり残雪期の山の様相でしたね
雨でつくられた縦溝は本当に滑りにくかったです
それにしてもイグルーが似合いそうな雪原が広がってますね
石見堂へもいつか行ってみたいですが、難しそうです
すっかり、月山道の不審車両になってますね^^;
今後も月山道で見かけるかもしれませんが、生暖かい目で見守り下さい。
記録を拝見させて頂きましたが、月山も残雪期のような雰囲気でしたか。
まだ2月だと言うのに、この状況。
今年のスキーは早終いになりそうですね。
月山も良いですが、朝日連峰も良い雪山です。
月山に比べると雪山登山色が強いので、入山するには気合がいりますが、
それがまた魅力でもあります。
その登竜門として、この石見堂岳は良い山だと思います。
今回のルートはオススメできませんが、スキーに適した良ルートもありますので、
いつか是非
過去にしたような記憶が微かにありますね。
それが酒の席なのか、石見堂の山頂だったかは定かではありませんが
広い駐車帯からすぐに取り付けるから、歩けたら良いよね!みたいな話ではなかったでしょうか…
地形図を見ればガリーや崖の記号があちこちにありますが、やはり険しい地形だったようで
例年のように雪があれば、雪上技術を持った方ならば登高欲を掻き立てられることでしょう。
今年の様子であれば、ポイントとなるのはテクニカルな課題よりもヤブを越える体力勝負の感がありますね。
しかし、私にとっての核心部は最後のペラいスノーブリッジで落ちるかどうか、ではないかとw
雪庇の連なる細尾根を進むLuskeさんのレコを拝見するのは来年以降にお預けですね
人柱もとい偵察山行お疲れさまでした
お、おい!
ついこの前、話したばかりじゃないか@@
まぁ、酒が入っていたから記憶が曖昧なのかもしれないけど、痴呆症には早すぎますぞ(笑)
なにはともあれ、面白い尾根を教えてくれて、ありがとうございます。
雪が少なかった御蔭で人柱にはならずに済みましたが、雪が多かったらまた違った感想になってたでしょうね。
でも、今の状態でも十分手応え感じる良い尾根です。
確かに細尾根は残念な状況でしたが、急登部はなかなか手応えがありまして、
ここで詰んだか?と思うような場面が何度かありました。
藪はありましたが、意外と薄く、きつい藪漕ぎはありませんでした
と、言うより、傾斜がきつすぎて灌木に頼らざるを得ない箇所が幾つかあるので、
薮、灌木はむしろ味方のような感じでした。。
石見堂岳は冬季限定のピーク、と私は思ってましたが、藪の薄さを考えると、
この尾根を利用すれば、もしかしたら、夏でも登頂可能かも?
気が向いたら、無雪期の石見堂岳、チャレンジしてみますかね。
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