蛭クライムの栗ノ木洞から鍋割山-大倉尾根
- GPS
- 06:54
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 1,396m
- 下り
- 1,376m
コースタイム
- 山行
- 5:34
- 休憩
- 1:19
- 合計
- 6:53
過去天気図(気象庁) | 2020年06月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車
復路:大倉からバスで渋沢駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・寄の登山口から栗ノ木洞付近までは正にヤマビルの巣窟状態。気候が奴らの活動に最適という事情があるにしても、5年前の梅雨と比べて相当ひどくなっています。前夜ディート剤をたっぷりスプレーした靴、スパッツにも取り付きます。立ち止まればすぐ1匹や2匹ヒクヒクしているのが見つかります。ただ、後沢乗越からの主要登山道では、大倉尾根を含めて見かけませんでした。 |
その他周辺情報 | ・弘法の里湯はコロナで入場制限を実施中(土曜4時ごろは女性は待ちなしでした)。受付の女性が不慣れで整理にいささか手間取っていましたが、7、8分待たされてから入ると、お風呂の中は人が少なくゆったりできました。 |
写真
感想
天気予報は晴れだったのに、朝外に出たら霧雨だった。まあ、やがて晴れるだろうと予定通り出発したら、なぜかこの日に限って電車の中でトイレが切迫。仕方なく途中下車したが、もう乗り継ぎの加減で寄行きのバスにはぎりぎり間に合わない。
舌打ちしつつ、塔ノ岳に目標を変えようかと乗換案内を探ると、小田急の特急富士山1号がヒットした。ダイヤでは松田下車で予定のバスに間に合う。今日はトイレ付きというのも安心材料だ。料金700円を許容して新宿駅に向かい、ガラガラの特急に乗り込んだ。
結局、梅雨らしい曇り空のままの相模野を走り抜けて松田着。バスに乗ったら、グループ客の一人が遅れたので待ってあげるという。なんのことはない、間に合わないと当方があきらめた急行で到着した男を乗せてバスは出発した。5、6分遅れて何ら困るわけではないが、どうも釈然としないというか、今日はついていないようだ。
寄に着いても山はどんよりとガスの中だった。気温は26,7度くらいか。無風で高湿とヤマビルにはこれ以上ないベストコンディションだ。昨夜、靴と靴下、スパッツ、ズボンの裾にたっぷりヤマビルファイターをスプレーした。今朝の霧雨で靴の薬剤は少し流れてしまったかもしれないので、きちんとスパッツを装着して出発した。
集落の道を指導標に従って右左折し、茶畑の中にS字を繰り返す農道を登る。年配の男性2人を追い抜き、「ここかな?」と左折した所は間違いだった。正しい道を辿る男性2人の後を追い、展望台で休憩する1人を置いて茶畑わきの登山道に入る。
東屋が見えたところで残る1人を抜き、鹿柵を通過。閉めてくれるよう、すぐ後ろの男性に声を掛けると、そのすぐ後ろにもう一人が迫っているようだった。休憩した人とは別人のようだ。
暗いジメジメした植林帯の登りが続く。蒸し暑く、たちまち汗が噴き出したが立ち止まるのは避けたい。落ち葉の下は彼らの絶好の隠れ家で、針葉樹の枯れ葉は格好の擬態材料だ。といっても、息が切れる。比較的土の見えている所で歩みを弱めてスパッツを見ると、早速お客さんが一匹たかっていた。
小分けしてきたヤマビルファイターのスプレーを見舞い、先を急ぐ。それでも素早くつま先に飛びついた奴にも一撃。歩みを緩めた際にすぐ先で鎌首をもたげた奴にもスプレー攻撃を仕掛ける。スパッツとズボンは用心で明るい色にしたので、取り付かれたらすぐ分かる。
平坦な未舗装の林道に出てやっと一息ついたが、今度は道が正しいのか不安になって少し後戻り。鹿柵で追いついてきた3人目の男性が現れたので道が正しいことを確認し、少し先で林道から左前方に分かれる細道へ入る。5年前、同じ梅雨時に通った時の記憶がぼんやり戻ってきた。
わずか進むと地図上、標高500m付近で交差する林道のアスファルトが見えた。小休止して足元を見ると、スパッツにもう1匹、靴のゴム部分にも1匹が取り付いていた。どうやらファイターの薬剤で先へ進めないらしい。スパッツのはスプレーで、靴のはアスファルトにねじ付けて処分。固い靴底で体重をかけて踏んでも、ゴムのような体は簡単には潰れない。
追い付いてきた男性が怪訝な顔をしたので「蛭ですよ」と告げると、自分の足元を見て「あっ」と叫んだ。見ると左右の靴に2匹、ズボンの裾にも2匹くらいが付いている。裾をまくるとさらに3匹、4匹。後ろにも2、3匹・・・。「え、なんだ、これ」と驚く口ぶりからは何の備えもしてきていないらしい。
とりあえず、取り付いた連中と靴全体にスプレーをかけてあげた。自分のスパッツ、ズボンにも増し掛けし、さらに足元をチェックしている男性に声を掛けて進発する。お気の毒だが全部付き合ってはいられないし、スプレーも少なくなってきた。この先、まだまだ危険地帯が続く。蛭を拡散させないためにも、対策していない人には引き返していただくのが一番ありがたいのだが。
気を付けて足元を見ると、いやあ、いるいる。歩みを緩めると、体を伸ばしたりピクピク飛び跳ねたりしているのが、すぐ見つかる。いちいちスプレーしていたら切りがないほどだ。急坂を超えたら2mくらいの範囲を往復しながら息を整え、休憩の代わりとする。
しばらくして右手の指がもぞもぞするので見ると、中指に1匹取り付いていた。「うわあ」と驚いて手を振ったらどこかへ飛んで行った。足元にスプレーした際に取り付いたのだろうか。油断も隙も無い。
ガスの漂うくぬぎ山では、わずかな草地に安心を求めて立ち止まったが、それでも1匹くっついた。栗ノ木洞まで来ると気温はいくらか涼しくなったのだが、1分の休憩でやっぱり写真の1匹が寄ってきた。どうなっているのだ、この山は? これじゃhill climbならぬ蛭 crimeである(オヤジギャグ)。
栗ノ木洞からは、いったん100mほど急降下する。足元の見えない下草の茂みを駆け抜け、精いっぱいの速度で下りきって登り返すと、登山道が小石状の土になり、ミズナラの生えるどことなく明るい雰囲気に変わった。これなら蛭も潜みにくいに違いない。
初めて逆方向へ向かう登山者と行き会った。夫婦連れらしく、足元にはスパッツも目立つ泥汚れもない。蛭多発の話をすると驚いた様子。十分注意するように脅して?から別れた。そこから若干下ると人声がしてきて、後沢乗越に到着した。皆さんスパッツ姿はまれで、蛭におびえた様子もない。二股からの道にはヤマビルが出ないらしい。ようやく安心して立ち止まって休憩する。
さて、ここまで2時間足らずだが想定以上に消耗した。蒸し暑さは変わらず、後沢乗越からの胸突き八丁はこたえる。山荘向けの重い水のペットを持ったハイカーにも抜かれ、やっとの思いで1000m地点。シャリバテかと大量の水と大豆バーを口にしたがパワーは出ず、やがて頭部が熱を持って軽い頭痛も感じるようになった。これは熱中症の症状ではないか?
思い切りペースダウンして頂上手前の木道を辿り、なんとか鍋割山頂にリュックを下ろした。繁盛する鍋割山荘前で「ビール!」と叫んで、冷えたそれで体のクールダウンに努める。腹は減ったがとても湯を沸かず気にならず、お握りとコンビーフで済ませた。幸いそよ風程度は吹いていたので、まずまずの休憩にはなった。
ミョーキン、ケケケのエゾハルゼミの合唱が周囲を圧する鍋割山稜を東へ辿る。目にさやかな緑と微風が心地よい……はずだったが、このわずかな登り基調が今日はつらい。すると、小型オフロードバイクがエンジンを吹かすような耳障りな音が響いてきた。正体は若者の操る小型ドローン。「やかましいから、飛ばすならもっと人のいない深い山でやってよ」と文句を一言。きょうは虫の居所が悪いんです。
時おり日が差し、木漏れ日のきれいな大丸を通過。とても塔ノ岳へ寄る気力は起きず、金冷シで休憩してそのまま大倉尾根を下ることにした。日差しの暑い花立を下って山荘前のベンチにへたり込む。周囲の皆さんの様子を見る限り、今後、蛭に警戒しないでもいいらしいことが心強い。
堀山の家前でもベンチで休憩。足が疲れて木段でスリップしやすくなり、一度尻もちを着いた。尻は平気だが以前伸ばした右膝じん帯をまた少し傷めたようだ。速度を落としながら緑のもみじ回廊を下り、見晴茶屋でトイレがてら三たび休憩。ここまで降りると下り坂でも汗が出る。
克童窯から先はアスファルト道路。空は白っぽく、暑い夏の日差しが注いでいた。バス停前で恐る恐るスパッツを外し、靴下をチェックする。良かった、流血の惨事だけは免れたようだ。
もう”蛭時”の栗ノ木洞コースはこりごりです。
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