九州シリーズ第一弾 阿蘇 高岳/中岳
- GPS
- --:--
- 距離
- 5.6km
- 登り
- 690m
- 下り
- 691m
コースタイム
天候 | 曇-山頂付近地吹雪-下山後晴天 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
仙酔尾根は中程から岩場の連続。特に稜線手前は浮石も多く危険。 筆者の登山時は、雪自体は小雪レベルでしたが、風が異常に強く、稜線に出てからは 本当に強風。登山で初めて身の危険を感じました(-_-;) また、中岳、火口東展望所跡も、雪のせいもありますが何度も道を間違えかけました。ペイントはありましたが、後日地図を見直すと、ちょっと想定のコースと違うコースを通った?かも。ロープウェイ沿いの道は、安全快適。天候も収まり、ほっと。 |
写真
感想
日本列島は龍の形に例えられることがある。一般には、北海道が頭部で、沖縄の方が尾になる。しかし、九州では、その真逆。九州の方が頭で、北方領土、アリューシャン列島が尾部と。桜島は炎を吹く口で、阿蘇は龍の目。
そんな友人の言葉が今も心に残る。20年勤続でいただいた長期休暇。理解のある家族に承認いただき、九州へ四泊五日の一人旅に。
だが季節の変わり目は、私の予想より早く進んだようだ。月曜日の博多はともかく、火曜日に熊本から阿蘇に入ると、冬になっていた。前日に車で大観峰から、今回のターゲットを見通そうとしたが、折からの曇天で何も見えない。風の強さは真冬のようだ。それでも、大地の広大さと、迫力は十二分に感じられる。なんとか明日は天候が回復してほしいと願いつつ、宿で眠る。
天気予報では高山付近では雪という予報の中、駐車場まで。残念ながら予報通りの翌日も予報より悪い気候。車を降りたものの、9時過ぎという遅い時間にかかわらず、気温の低さ、平日故か、人気の少なさ、有毒ガス注意の看板に、しばし躊躇する。紅葉も見ごろのようだし、登山は諦めて観光でもするか。決心がつかないうちに数分経過する。その時、迷う私に、援軍が到着。私と同様、単独登頂予定のMr.Mが、”よかったら途中まで一緒に行きましょうか”この言葉に救われて、いざ高岳を目指すことに。これが結果的によかったのか、悪かったのかは分からないが、とにかく、私は決断した。
予報が悪い日は無理をして登山しない。そう決めていたのに、とにかく私は、天候の回復を信じて、ここで出会った仲間と出発する。仙酔峡付近には、ミヤマキリシマの花が、本当に少しだけ残っていた。最盛期の美しさが容易に想像できる。でもこの山も夏の季節が向いているのだろう。
通称バカ尾根と言われている仙酔尾根を進む。しかし、そんなガイドにあったような単調な道とはいえない。岩場で、浮石もあり、あられのような雨が降り出し、更に気温も下がる。途中、岩場の陰で、パートナーと休憩しつつ、ふとこのまま山頂目指すべきか、また逡巡する。どうせ山頂、何も見えないな、これ。
結果、戻ることをどちらも言い出すことなく、もう一人、先をいく方を追って、再度スタート。中間点を過ぎると、山の表情は一変する。前夜、麓では雨だったが、この当りは雪だったらしい。岩場が少し積雪していて、慎重に歩を進める。アイゼン必要?11月の阿蘇で?火の国じゃないの熊本?様々なクエスチョンと少しの後悔が頭の中をぐるぐるする。風はますます強くなり、雪を巻き上げる。岩場で途切れると、もろに風を受ける。三点確保、足元も滑り、厳しい行程だ。
時間的にそろそろ稜線に出てよい時間だが、視界が悪く、進む方向がよく見えない。パートナーが、少し歩を進め、先をいく方にコースのアドバイスを伺う。稜線に出た。凄い風で雪が舞い、会話の内容もよく聞こえない。先をいく方、神様と呼ぼう。この方は、私とパートナーと違い、何度もこの山に登られているようだ。曰く、戻るのは厳しい。暫くは厳しいが当初予定通り、ロープウェイ脇を降りるのが無難だと。この言葉に私たち急増チームは、そのアドバイスに従うこととした。
稜線上は当たり前だが、登り下りはない、平坦だが、何せホワイトアウトで5メートル先も見えない。
わたしゃ晴れた日にきたかったよ、まったく。
天は我を見放したか。
あっ、それ遭難モードじゃない。
戻った方がいいですよ。これ。
などとネガティブ思考全開の私に比べて
こんな時もパートナーは冷静だ。まず携帯が繋がるか確認しよう。彼のD社、私のS社ともバリ3だ。これでいざというときは、
連絡手段確保されている。後5分進んで何も変わらないなら諦めましょう。そんなこと確認しつつ進む。わずか10分弱の行程が、非常に長く感じられる。風は更に強くなる。姿勢を低くして進む。と、一本の道標がおぼろげに見えてきた。駆け寄り、雪がついた部分をグローブで拭う。
高岳だ。まずは一つ目の目標にたどり着く。ちなみにパートナー曰く熊本では、高岳の標高をひごくに1592と覚えるそうです。この雪の中のプチ知識に感謝だ。
そして中岳へ。ここからが本当に火口から(見えてないですが)の風が強い、油断していると、体をもっていかれそうだ。20分の行程が長い。慎重にペイントやマークを確認しながら、進む。道標があらわれる。またグローブで、雪を落とす。
中岳だ。油断はできない、ここから神様が最大の注意点といっていた強風ゾーンに入る。しかもホワイトアウトで次に進むべき道がわからない。パートナーは私にウェイトを指示。自身は少し先を見に行く。しかしマークが見つからない。そして
私は見つけた。鎖場を。これじゃないですか。地図と実際の方向感が違うような気がするが、そこには間違いなくマークがあり、注意して進むと、その先にも、また、マーク。慎重に互いにマークを探し、見つけるたびに、歓喜の叫びをあげつつ進む。そして、歩を進めると、それまで靄で相変わらず何も見えなかった我々の目指す方向のガスが急にとれて、建物らしきものが、急に見える。廃業したロープウェイだ。この時の気持ちは、今となってはよく覚えていない。しかし、それまで大自然の前の自分たちの無力ぶりを再認識させられていたので、足元の雪もなくなり、風も弱くなった段階で、人間の造ったものが見えた時に、凄い安心感を覚えたと思う。いわば、人間の住む縄張りに戻ってきたような。途中から、どきどきしていた硫黄臭もここまでくれば気にならなくなる。もう大丈夫、慎重にいこう!
ところが、天はまた、ここで我々を試すように、試練を。それまで、確実にマークを確認して進んできたが、山肌にあるマークをここまできて見失う。その上、猛烈な霰が体を打ち付ける。うーん、どうすればいいか。二人で必死にコースを探す。
下り方向は赤いバツのペイント。では横に移動するのか。なるほど、また見慣れた黄色ペイントらしきものがある。漸く進むべき方向を確認する。ロープウェイ駅跡へ登るのが正解のようだ。そして、駅にたどりつくと、視界もはっきり、また、遊歩道のように整備された道となる。今度こそ生還だ。
駐車場近くで、今回のパートナーにコーヒーを振舞っていただく。とにかく、この人がいなければ、無事降りてこれなかったかもしれない。感謝だ。
いや待てよ、この人が来なければ、登らなかったかも。うーんどっちだ。いや、いずれにしても旅は出会いも大事。本当に感謝しよう。何も見えなかったものの、阿蘇で一番高い2つの山頂も制し、得たものは大きかったのだから。ありがとうございました!コースにアドバイスをいただいた神様にも感謝だ。
生かしていただいて、ありがとうございます。
パートナーがいう。これからどうされるんですか?
私。はい、車で熊本市内に戻り、新幹線で鹿児島に。明日は霧島です
パートナー。えっ、こんな目にあったのに、また明日登山ですか。
私。 はい!
阿蘇はいいとこだと思います。ただし、もう少し暖かいときに今度はいきたい。
それこそミヤマキリシマが満開の頃に・・
コメント
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苦難のなか、出会った仲間とのチームワークで登頂し
無事に下山したことに大きな価値を感じます。
精神力こそ登山で最も必要だと実感させられる報告ですね。
アルピニズムを感じました。
また、20年ほど前の年末年始に阿蘇へ行ったことを思い出します。
ロープウェイで登っただけの観光ですが、下界からドカ雪で、車はチェーンが無いと走れませんでした。
とても懐かしいです。
でも、くまモンに遭遇するなんて、すごく羨ましいぞ〜!
Sadaさん、ありがとうございます!
20年前に、別手段とはいえ既に足跡を残されていたこと
敬服いたします
阿蘇はいいとこだと思うのですが、やっぱり天気ですな、
山は。
でも、これを良い経験に、今後の活動に反映させます。
ちなみに同行していただいた方、あとでお仕事きいたら
おまわりさんとかで、、これまた、凄いオチがつきました。
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