【厳冬期】富士山(富士吉田口)
コースタイム
二日目 03:00佐藤小屋-6合目03:30(これ以降強風の為、佐藤小屋と6・7合目を往復する)
13:00〜16:30頃 午前中に外国の登山家が滑落し、重傷の知らせを受け救助活動に入る。
天候 | 快晴(氷点下16度以下、風速30m以上) |
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過去天気図(気象庁) | 2012年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
2合目からアイスバーンあり。 途中、大きな倒木があり少し危険です。 5合目から上はウインドクラストツルツルピカピカでアイゼン、ピッケルがほぼ刺さらず、 滑落停止の制動はほぼ不可能。 |
写真
感想
大晦日の夜勤明けに友人と待ち合わせてそのまま馬返しへと向かった。
馬返しに着くとNHKの取材を受け、山梨県警が近づき話し掛けてきた。
「登山届は出していますか?出してないのならこの場で書いて下さい」と。
我々はネットで提出してたのでスルーした。
昼くらいにようやく馬返しを出発出来た。
ほとんど人はいない。しばらく静かな登山が続いた。
なんせ1年振りの登山が厳冬期の富士山w体力を温存しておかないといけなかった。
2合目くらいからアイスバーンがあったが、ゆっくり進めばノーアイゼンで行けた。
4合目からペースをあげたいからアイゼン装着。
15時過ぎに佐藤小屋に着いた。
今夜は飲むぞーって事で10500円を支払い、食べ放題、飲み放題を満喫した。
5合目は氷点下10度、風も強くドアがガタガタと揺れていた。
カウントダウンも終わり、何人か出発を始め、俺も1時間後くらいに偵察に行った。
やはりアイスが酷い。そして風も強い。頂上を眺めるとヘッドライトの灯りが7合目で止まって動いていなかった。
強風で進めないみたいだ。
一度、佐藤小屋に戻った。再アタックの為に身体を温めに。
4時、再アタックをかけた。7合目手前で強風で進めない。何度も身体が浮きそうになった。
もう一度、佐藤小屋に戻った。滞在し過ぎると体力を減らしてしまうし、凍傷になってしまうから。
6時、危険なので再々アタックはやめた。大人しく6合目で初日の出を見る事にしたw
美しかった…けど止まってるとめっちゃ寒い(´Д` )
初日の出を堪能し、佐藤小屋に戻り、みんなでお餅つきをしようとしたら、佐藤小屋の保さんの電話が鳴った。
「マジかよ…落ちたか…」
外国の登山家の滑落の知らせだった。
俺はとりあえず若い登山家と捜しに行ったが見つからず。
一旦、佐藤小屋に戻り体制を整え直していると、場所特定の連絡。重傷だが生きていると。
保さんはすぐにヘリを要請したが、富士独特の乱気流でヘリが飛べない、地上部隊も行けないとの事だった。
小屋にいたベテラン登山家N氏が
「行くか。」と。
「若い人、体力残ってるか?人数が必要だ。強制はしない、来て欲しい。」
なぬー!俺は4往復しており、体力が凄まじく消耗していた。
だが、その外国の方は前日に一緒に乾杯をした仲。見捨てる訳には行かなかった。
「行きます!」
その他の方も何名か挙手をし、俺を含めた計9人の山岳救助チームが編成された。
最悪夜になってしまう為、ビバーグ覚悟で望む事になり、お湯や毛布、ツェルト、スコップ等のセットを運搬、二次災害もあり得るので名前と住所も残した。
リーダーが言った。「いいか、危ないと判断したら降りるからな。これは見捨てる訳ではないと言う事だからね。」と。
連結させるソリを引っ張り現場へと向かった。
午後になっていた。富士山は本気を出していて風が更に強まる。
氷点下20度、風速35m。何度も身体が浮く。体制が崩れる。
絶対に転倒は出来ない。全滅してしまう。
現場は7合目の横の谷間。傾斜45度のカチカチのアイスバーン。
アイゼンとピッケルはもちろん弾かれる。カッティングしないと辿り着けない。
かなり困難をきわめたが、安全なとこに滑落者をピックアップしてひとまず避難。
手が…
俺は凍傷になりかけていた。指が痺れ痛みが襲ってきた。
そして感覚がなくなり痛みが引いた。これは危ない。
強く握ったり、手袋の中で拳を動かした。
何とか6合目まで搬送。ヘリがホバリングできるとのことで来てくれた。
全員助かった…生きている…。
みんなとりあえず氷点下20度の中でタバコを吸ったw
お湯で乾杯!救助中に2名滑落したが、身体でみんなで受け止め無事だった。
本当に恐い救助活動だったが、命を救えた1人として自分を誇りに思った。
この出来事は富士山NETの1月3日の記事に掲載されました。
目立たない記事だが、山岳救助ボランティアとして活動出来て、良かったと思う。
動画撮りました。救助前のですが、見て下さいね☆
http://youtu.be/bbL6dT357U4
yuuki3776 はじめまして 更なる惨事を臆することなく、多くの方が互に初対面にも関わらず、勇敢な姿勢に感激です お疲れ様でした。どんな些細なことでも山だけでなく困っている方には手を差し伸べたくなります。無事の下山!おめでとうございます
はじめまして。
コメントありがとうございます。
自分自身も危なかったのですが、山屋としてほおっておけませんでした。
お互い山の事故には気を付けて山を楽しみましょうね☆
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