焼山 -イグルー泊は再試験-
- GPS
- 11:46
- 距離
- 19.8km
- 登り
- 2,022m
- 下り
- 2,016m
コースタイム
天候 | 1日目:晴れ→みぞれ・暴風、2日目:ピーカンしかし暴風 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
笹倉温泉-770m林道つづら折り: 右の谷を見るようにショートカットでよい。帰りは林道に沿って適当に滑ってよしショートカットしてよし。行きも帰りもビシャビシャの雪。 770m-アマナ平: どうしても登り返しができてしまうが、帰りは我慢で漕ぐ。同じくビシャビシャの雪。 アマナ平-1250m: 低いところを進めば自ずと台地に水を吸った重い雪。デブリが転がりまくっている。 1250m-大曲-1750m: 大曲を過ぎて右に溝の切れ目があるのでそのあたりを目指していく。1750mを超えて右折。雪は徐々に軽くなる。最高のゲレンデ。 1750m-溶岩溝超え: 樹木の立ち並ぶ溶岩溝右岸から無理やり降りる。そして左岸の雪庇を壊しつつ無理やり登る。帰りは一番上からトラバースして簡単に通過。急ではあるが2040mくらいまで登って超えた方が楽なのかもしれない。雪はサラサラ。強風で再配分されて吹き溜まっている。 溶岩溝超え-火口: 右上に見える岩峰の左に入るようにひたすら登る。今日は樹林の切れ目で板をデポしアイゼンピッケルで登ったが、膝ラッセルの苦行。スキーで岩峰まで上がれただろうが、急でジグ切りは忙しくなるだろう。 岩峰を超えてからようやく固くなり歩きやすくなった。しかし時折5cmくらいの厚みのスラブが落ちていく。右に落ちると下から見える喉の部分に落下。左に落ちると登ってきた岩峰の狭まったところに落下。どちらにしても体はばらばらか。 火口-外輪−ピーク: 夏道の鎖・ロープ場を偵察に行ったが、岩場自体は着雪は少なく登れそう。しかし強風で取り付きにたどり着けない。断念した。ピーク直下の斜面を膝ラッセルで登りあげると外輪。雪は少なく夏道の岩砂利と少雪のミックス。強風で立っていられないことも多々あり。 |
その他周辺情報 | 笹倉温泉。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
マフラー
ネックウォーマー
バラクラバ
日よけ帽子
毛帽子
着替え
ブーツ
ザック
ビーコン
スコップ
ゾンデ
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
ガムテープ
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
ナイフ
カメラ
ビンディング
スキー板
シール
ピッケル
ポール
テント
テントマット
シュラフ
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感想
1日目: 夜勤明けのシンモンさんとお昼前に笹倉温泉に到着。この時点で天気は良いのだが、樺太辺りに強めの低気圧があり、そこから伸びる前線が夜にかけて通過の予定。そして気温が高く、全国的に風が強く、北陸では春一番になっていた。イグルー作りには気温はマイナスであることが望ましいとのこと。いや、標高1000mを越えて夜間でもそうなりそうにない...
トレースは出来ていたので順調に進み、標高1000mを越えてアマナ平。まだ午後2時半ほどで時間的余裕はあるのだが、焼山山頂には雪煙があがり、予報でも強風なので、台地にはあがらずここで泊まろうと、トレースを外れて緩い丘に上がって宿泊地を定めた。
イグルー作りは、僕が内側、シンモンさんが外側を担当して進行。僕は足元からブロックを切り出しながら掘り下げるが、踏み固めた雪からの1層目、その下の2層目はブロックが取れたが、その下はザラメ層で固まらない。早々に資源枯渇してシンモンさんからのブロック補給を待つ。シンモンさんにしてもなかなかいいブロックが掘り出せず、取れても割れやすい。上部へとすぼめて行くのも技術不足で上手くいかない。こんな調子で2時間位かけてやっと完成。一応形にはなり、中も快適、夕食宴会も楽しく、立派なベッドで就寝についたのだが...
真夜中に顔が冷たく感じて起きたらば、雨が降ってきている。イグルーの中なのに何で?? え、屋根がない、ライトを点けると、僕の下半身は雪に埋まっていた。イグルーは崩壊したのだ。崩壊の原因は、先ず雨で雪の構造が緩んだことだが、初心者2人の作ったものにも弱点が多々あった。断面真円でなくゆがんだ部分があり、ブロック間の隙間も沢山あり、作ってはいけない十字の継ぎ目も随所にあった。結局保険で持ってきたシンモンさんのテントに逃げ込むことになった。
2日目: 翌朝テントを置いて出発。湿り雪に昨日のトレースを辿って行くが、台地に上がり、標高1300mを越えると乾いた良い雪になって来た。焼山に火打山も見えて気持ちいいが、昨日以上に派手に雪煙が上がっている。そして僕らにも強い風が当るようになってくる。標高1500mを越えて大曲辺り、先行トレースは薄れて辿る意味がなくなる。標高1800m辺りで大きな溶岩溝に近づき、堅雪も出てクトー装着。溝を越えて標高2000mで樹木限界、そこでアイゼン・ピッケルに換装。シートラでは風に煽られるのでスキーデポとした。
これより上でスキー無理となっても換装・デポ作業が難しくなるだろうとの判断だったが、その後標高2150mの火口壁までツボ足ごぼりまくりで、ここまでスキーで来れて火口壁一端の窪地にデポもできたのだが、結果論。火口内もごぼり箇所はあったが、アイゼン快適斜面も増えて、最後は露出夏道を辿って2400mの山頂に達した。
ここまでスキー、ツボ足とも相当のラッセルがあり、休憩後一度は僕が先行するが、交代してからはラッセルのシンモンさんに僕が追いつかないために長々と引いてもらうというパターンの繰り返しだった。シンモンパワーに感謝。
山頂でも絶景だったが、爆風で長居は禁物。しんどかった深雪登り道も下りはズボズボキックステップで楽々。そしてスキーに戻れば快走が続く。焼山がどんどん遠ざかり、標高1300m辺りまで下りてくると、軽くクラストしているが緩斜面でゆっくり曲がれば大丈夫。台地端からアマナ平に下りるところは、朝はレインクラストだったが、すっかり緩んで曲がれる雪になっていた。標高2000mのデポ地から1000mのテントまで30分足らずで到達。
テント撤収+コーヒーブレークで1時間ほど過ごし、最後の下り。重荷になって腐れ雪でどんなに苦労するかと心配していたが、ここも最悪雪ではなく、そう破綻せずに笹倉温泉へと帰り着いた。
冬にどうしても行っておきたい山。火山活動が活発になりいつまた登山禁止となるともしれない。
気合を入れればワンディも出来るのかもしれない。
折角の好天続き、泊まりに行きたい。しかし自分が土曜夜勤明けということもあって土曜は中途半端な時間しかない。相談の結果、台地でのイグルー泊を試してみようとなり、そのうち風の加減から台地ではなくアマナ平での試行となった。
さてイグルー泊。それぞれネットなどで学習しNishidenさんは試しに麓で作ってみたと言う。自分は先日ザラメ雪で積み上げてみたが、崩れやすいザラメ雪では傾斜をつけることができず屋根まで至らず。
今回作ってみて分かったことは、二人以上(中1、外2くらいが理想か)で作ることと良い雪が取れる場所を選ぶことが肝心だと分かった。
あとは傾斜は二段目からすぐに付けなくてはいけない。5-6段で球体にするのだから一回で15度くらいは傾斜が必要。また円周は狭まっていきながら角度が付くのでブロックは微妙な角度のついた六面体になる。
完成したイグルー内で無事に夕食を終えて就寝。風は強いがびくともしない(ふさがっていない小穴から隙間風は入る)。おーさすがだーと思いながらうつらうつらしていると、ぽちゃん、ぽちゃんと音がする。どうも水滴がシュラフに落ちてきているようだ。煮炊きしてる訳でもないのにどうしてかなーと寝ぼけながら考えて居たら突然バサーっと屋根雪が落ちてきた。と、同時に雨・みぞれ・強風のコンボ。雲が出るとは聞いていたが降るのか…しかも雨!
テントと違いイグルー内では雨音は聞こえないらしい。水滴は隙間から雨が漏れてきていたようだ。
自分はシュラフから抜け出せたが、Nishidenさんは顔は出ていて喋れるが動けない。雪をどかして埋まった荷物の確認をして、すぐにイグルーの横を新たに整地して予備で持ってきていたテントを立てた。ビシャビシャになったシュラフを抱えてとりあえず避難し、1.5人用テントに身を寄せて夜を過ごした。雨音と風はうるさいがテントが上から崩れることはない(笑)。
さて、翌朝。5時半に起きて崩れたイグルーの残った壁の中で風よけをして煮炊きし朝食。テントはデポして出発。
快晴だが、春一番が吹き荒れている。天候はいいので特に問題なく進む。
大曲で休止。ここより上ではさらに風も強まるだろうから、電熱線ゴーグルに変えて一枚ミドルを加える。
溶岩溝を超えて火口への入り口の岩峰下の樹林が切れるところでスキーはデポした。
このあたりの判断はNishidenさんに従う。斜面途中でクトーも効かないカチカチ斜面になってスキー登行不能となった時に、吹きさらしの斜面ではスキーはデポ出来ないし強風下でシートラでは歩行も困難。このデポ地が今日の風では正解だった。
アイゼン・ピッケルに換装して岩峰へ向かう。
アイゼンラッセルは慣れていないのと急斜面のピッケルワークもいまいち。Nishidenさんに指導してもらいつつ登った。岩峰下に入るまでの斜面が膝ラッセルと爆風でとにかく心も体も削られた。
岩峰から先は比較的固く締まった雪で登行は楽になった。しかしこの滑り台は落ちるとほぼ間違いなく外輪の一部の岩にぶつかって命取り。気を付けて一歩、一歩…
火口に降り立つがさてどこから登ろうか。一応夏道の岩場を偵察に行った。雪付きは少なく登れそうだが、近寄ると強烈な爆風で立って居られない。これは危ない。
引き返して外輪直下の斜面をまたまた膝ラッセルで登りあげてようやく外輪にたどりついた。
外輪に出ると夏道の地面と雪のミックスになる。あぁ楽できると思ったが、ピーク近くではこれまた爆風で這って進むところも出てくる。
ピークでは雲ひとつなく360度の展望が得られた。が、落ち着いて写真を撮れるような状態ではない。
なんとか撮影し(しかし水滴でボケたものばかりになってしまった…残念!)下山へ。
アイゼンでも下りは早い。あっという間にデポ地にたどり着きスキーに換装する。
溶岩溝は一番上をトラバースすると段差なくあっさりと台地の真上に復帰できた。
ここからはご褒美タイム。1450くらいまでは雪が生きていて楽しく滑走できた。
宿泊地に戻りテントや宿泊装備を片付け、Nishidenさんにコーヒーとおやつをごちそうになった。
下山は20kgを超える装備での滑走で膝がガクガクになりつつも無事笹倉温泉にたどり着いた。
とてもよい登山になった。
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